君が星になったように、僕も星になろう
僕はこのまま星になる。 君の望みを叶えたあの日、僕の体はなかった 星になると言う君の願いが叶ったからだろうか。 月で見た世界は僕の心の背景だ。 そこで何をされたのか、僕はすっかり忘れてしまった。 体が消えたのは、君のせいか、月のせいか、はたまた僕のせいなのか。 それはわからないだろう。 体の概念はもうないけれど、生命がつきれば本当にお終い。 星になれば、僕は、どれだけの時間考える事ができるだろうか。
僕はこのまま星になる。 宇宙の虚無に取り残された僕は、 呼吸こそ出来るが、どこへ行くことも叶わなかった。 宇宙遊泳が永遠に遊べるくらい広かった。 けれど、永遠なんて僕の命に合うはずもない。 どっちが上か下か右か左か、それとも新しい方向か。 慣れたはずの感覚がズレて、懐かしく吐き気を覚えた。 このまま死ぬのか、そう思う暇を作らないように、 いくつも考えごとをした、思い出したりした。 星になると言う、ことだけ。
僕はこのまま星になる。 人は死んだら星になると、小さい頃良く聞かされた。 一番最初に死んだ人間が太陽だと、ホラも吹かれた。 何年も時間が過ぎても忘れて居なかった。 もちろん、嘘だとわかってる。 けれど、僕はそれを信じるしかない。 死の先に何があるのか、と考えて その先に何もないのが僕の死に対する最強の恐怖だから。
僕はこのまま星になる。 ・・・考える、ことさえもできず、 ただ朽ち果てる。 朽ち果てる? 体もないのに? 体のない僕が死ぬときって、いつだ? 何も、興味がなくなった時ぐらいしか思いつかない。 今、僕を生かすのは星になると言うこと、 それを知るには死ななくてはならない。 しかし、僕は星になることに興味があるから死ねない。
永遠に輪廻し続ける。 宇宙遊泳も今ならできそうだ。 もう、何もしたくはないのに。
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