...ねね

 

 全てフィクションです

【DRESS】 - 2004年01月13日(火)

「いらっしゃい。あら・・・お友達?珍しいわね」

カウンターの中からママ(?)らしき男性(?)が笑顔を向けた。
もう彼と呼んでいいのか彼女と言うべきか分からない。
オカマ口調ではあるが単に女装による口真似なのか
本当に心が女性なのかも分からない。
凄いアイメイクで顔の良し悪しの造作すら分からない。

僕はおのぼりさんの様に周りをきょろきょろ見渡した。
全員女装だ。
普通のOLみたいなスーツもいれば
ピンクのロリータ服を着ているのもいる。
一人は男装の麗人の女性という設定なのか
宝塚に出てくる男役の様な袖や襟がひらひらしたブラウスに
真っ青なパンツスーツを着ているのもいた。
話し声を聞いていると、オカマ口調な者や
普通に低い声で話している者など様々だ。

僕がきょろきょろしている間に木戸は何やらママと話していたが
ふとこちらに顔を向け、「着替えて来いよ」と言った。

あそこのドアよ、と声をかけられて僕はそのドアを開ける。
今でも覚えている。
ドアを開けたときの僕の胸の高鳴りを!
美しい衣装が煌びやかに並んでいた。
夢を見るような気持ちでその中の一枚を手にとって見る。

「ドレス・・・」

女性の服独特の柔らかな手触り。
僕は夢中になって洋服を選んだ。
真っ白なワンピースに目が留まり、それを胸にあててみる。
逸る気持ちで奥のメイクルームへ向かった。



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