再生するタワゴトver.5
りばいぶ



 村松英子サロン劇場『冬に想う〜O・ワイルドと三島由紀夫の小品から〜』パンフレット文。

演出の戯言

繋がりの希薄が言われる昨今、
気がつけば今年も師走の足音が聴こえ、
年の瀬に向かい忙しない日常が続いている。
そんな11月の終わりから12月初旬にかけ、この旧細川邸サロンでの《語り芝居》、『館の殺人2』の後、昨年はお休みをいただいて今回で5回目。この時期はこれがないと、と言ってくださるお客様もいて、嬉しく思います。
第一回は村松作の『海を越えて』書簡の情緒豊かなやりとり。第二回は『冬の怪談』夏目漱石(「夢十夜」より)、小泉八雲(「雪女」など)の作品群をとりあげ、第三回は『冬の夢』漱石、室生犀星(「蜜のあはれ」)に光をあて、金魚と老作家の軽妙で奥行ある情感に触れ、第四回は『冬のロマン』。犀星、漱石、そして村松脚色「扇の不思議」の世界へ誘いました。この脚色の原本がO・ワイルド、やはり繋がっているのです。
今回は『冬に想う』と銘打って三島由紀夫が大いに影響を受けたであろうそのワイルドの作品群、そして三島13歳!の処女小説を村松英子が語ります。この春にはサロンのB-sideも始めた娘のえり、そしてゲストに二木てるみさんを迎え、どんな繋がりが聴こえてくるでしょう。

日本語の響きと、自由で奔放、ウィットに富んだ発想に身を委ね、言葉と思いに、耳を、心を傾けてみる。
想いは繋がる、想えば繋がる−

『冬に想う』どうぞごゆっくりお楽しみください。

藤井ごう




2017年12月04日(月)



 サロン劇場朝日新聞掲載。

俳優の村松英子が、三島由紀夫とオスカー・ワイルドの小品を構成して朗読するサロン劇場の語り芝居「冬に想(おも)う」(藤井ごう演出)が28日、東京・目白台の和敬塾内「旧細川邸サロン」で始まる。
 サロン劇場公演は14回目。採用するのは、13歳の三島による「酸模(すかんぽう)」、ワイルドの「わがままな大男」など。耽美(たんび)主義の担い手の作品中、心温まるものを集めたという。「『酸模』は純粋と俗物の対比の中で、純なるものの美しさ、純の勝利を描く。美しい三島文学の原点です。『わがままな大男』の影響を感じます」
 娘の村松えり、二木てるみも出演、鈴木章浩のフルートも加わる。セリフと音楽による「晩秋の四重奏」だ。「夢かうつつか。演劇とは夢のようなもの。ないがしろにされがちな言葉の美しさを重視して、夢を描こうと思います」。えりは「私自身、参加できることの喜びを表現でお伝えしたいです」。
 12月3日まで。5千円。開演時間などは03・3945・5384(同劇場)。(米原範彦)

2017年11月17日(金)
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