再生するタワゴトver.5
りばいぶ



 『太平洋食堂』パンフ掲載文。

演出の戯言 

あなたは今の世界をどう見ていますかー
本稽古が始まるこの五月に、和歌山県新宮市にある墓の前で問いかけた。

過去の革命は少数偉人の手により為されたりといえども将来の革命は多数凡人の自覚によって行わるべしー
自分は決してストライキそのものを善い事だとは云えぬ。併し悪いものを悪いと主張する元気や、嫌なことを嫌だと言いぬく自由の精神は最も尊重すべきものではないか、こういう元気と精神を青年の頭から取り去ることは即ち、青年を屠ることと同じであるー
今から百年以上前、こんなことを書き記した人物がいる。

大石ドクトルこと、大石誠之助である。劇中、大星誠之助、大星ドクトル。
大逆罪という汚名をきせられた人物の一人。
その発想の豊かさ、自由さ、奔放さ。そして人間らしい身勝手さ。
この人物に惚れこんだ嶽本さんの筆圧は強く、物語は紡がれていく。

もちろん、これはそこに材をとったフィクションである。
明治後期という時代のうねりに右往左往しながら、煌く生きていた人物たちのイキイキとした『現在』が舞台上にあるよう、
稽古場にて、俳優さん、スタッフさんたちとの対話を重ねながら、
今の日本の問題はこの時代に目をつぶったことの多くから未だあるのではないか、なんて思っている(その後二つの大戦を通り過ぎるのだが)。
チェーホフのようでありブレヒトのようでもあり、大衆演劇的(?)でもあるこの嶽本戯曲フルコース。正に一つのテーブルに寄り集まって、最善を探る日々である。

あなたには『今』がどう映っていますか?

ふと思う。この事件に連座した一人一人、またその友人知人にいたるまでどれほどの物語が蓋されてきたことだろうー

本日はご来場いただきありがとうございます。
最後までごゆっくりご覧ください。


藤井ごう

2013年07月08日(月)



 総括しとく。。。

まあ、色んなことはあるし、
色んな意見もあったけれど、
概ね(相対多数の。当日券の出方もすごかった)『太平洋食堂』は評価を受けたようで、
兎に角、作家でありつつも、この実現の為に走り回り、財布の紐を解き、かつ、書き直しも続けた嶽本さんのアツサがこの結果を生んだのだよなと思う。
嶽本さんがもっともっと注目される人になる一助になれていればいい。
[売れたら、返してね(笑)]

全身全霊でバックアップくれた人々、
名前だけで商売に転化した集団、
真摯に作品世界、稽古場に向き合った方々、
向き合ったつもりで別方向を向いていた人たち、様々いながらも、
全てはマンパワーの結集にてあった結果である。
それは良き作品を生み出す為の素晴らしき
誰が欠けてもこの『太平洋食堂』の成り立ちはあり得なかった。感謝。

中盤からの僕自身のオブラートゼロの物言い(汗)、イロイロ裏ストーリーみたいなものを舞台上に展開させながら、
とはいえ、やはり、舞台は俳優さんのものであることを、痛感させてもらえたし、
こだわり続けた変化が、舞台上でおきた(楽日だから、そうゆう意味では遅いのだけれど)一俳優さんの変身から、それを[きたー、待ってましたー]と受け取る周りの化学反応は、爽快でさえあった。共にマイノリティーであるやり方のお墨付きをもらった感もある。。

思えば、一年以上の長きに渡って思い続け、書き直しに同席し、ようやく陽の目をみた作品。
作品世界を成立させる美術から、効果から、絵から先行し、の一人旅はなかなかコンセンサスもとれず、
なるほどうちの師匠なぞがぼっちで進行する感とは、こうゆうことなのかもしれんなあ、と、感じたりして(もちろん、最終的に一致に至るのだが)張り続けるのはなかなかにしんどい。よき疲労感もあるけれど。


とにも角にも、
ご来場くださいました全ての方々に感謝いたします。

時は待ってくれない。
浸っている時間などない私である。
中間発表、
だるま座さん、
二週間強のペースでやってくる。
ない時間の中だが最善の準備を!

2013年07月07日(日)
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