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■ 忘却の彼方
ぼけている。 まだ春は来ないのに、暁を覚えず。
携帯を忘れる。 さっき使ったスイカの入れ場所を忘れる。 持っていかなくては、と、わざわざ目につくところに置いておいたものを忘れる。 この間は、あろうことか、十キロはあるだろうでかい鞄を電車に忘れ、 東京、大阪を行ったり来たりしているうちに、今日の日付と、約束を忘れたりして、 新幹線の切符拝見で、切符の行方を忘れ、
えらいこっちゃである。 これでは近いうち、わたしはだれ?だ。 こういう仕事の関係上、 一度言ったことを忘れないように、 なるべく以前と違うことを言わないように、 いう場合は、ちゃんと理由を添えるように、 心がけている。 芝居はその場でオコルことに対して演出するからこそ、軸の部分は絶対に。柔軟に対応するためには、絶対に必要なのである。 そうでないと、ただ、その日の感想を言うだけの人になってしまう。 もちろん、すべてというわけにはいかないのだが、 昔、二現場を抱えるくらいまではノートも取らずで、なんとかなったものごとが、三現場を超え、かつ、旅公演とかあって、半年振りの稽古なんて言う場合もあって、さすがにノートを準備してここ数年。 それでも、なんとか…
しかし、この間稽古場にて、通しの稽古をしつつ わたし「あ、このセリフ、忘れか?」 と思う瞬間があり、 で、そう思ったことすら忘れ(なにせ、この通しの場合一時間弱なわけだが、助手の方もいないし、自分でチェックをしながら見ていたり、で、台本が前回からの書き込みもあって、どれがダメ出しやら…←言い訳) 逆に質問。先ほど思った当該場所。 「あの、このセリフ、カットすると、部屋を出ていく動機が…」
わたし「え?」
「動機が…」
わたし「うん、だから今日、言わないなと……え?」
「……」
わたし「俺がカットって言った?」
(ト書き)わたし、あわてて台本などをチェックするが、書き込みもカットの跡もない。回り、騒然。
「いや、では、復活(これは一度はカットするがまた流れ上必要になったりして戻すこと)ってことでいいんですよね?」
わたし「うん…」
身に覚えがないわけある。 そもそも、この流れで、確かにその当該本人が部屋を出ていく動機を失うわけだから、カットなどするわけがないのだ。 しかし…わたし以外…なわけはない。 カット? ええ?
…その後、どうもその前に、そのセリフにおいて「今、そのことは置いておいていい、今の段階では」と言った覚えはあるので、それが湾曲して伝わったのだろうと思い当たり、ちょっと安心したわけだが、 言った覚えすら、実はなかったことだったりすると、 これはもう目も当てられない。 考えるだに恐ろしい。 そして、こんなことがあったことを忘れていくだろうわたしは、もっと恐ろしい。
2009年03月05日(木)
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