ジンジャーエール湖畔・於
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| 2003年07月22日(火) |
ホットケーキタイムは午前4時 |
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朝の女神が今目を覚まそうとしている、午後4時半。
わたしは、夜中じゅうずっと部屋の掃除をしていた。
今、一段落してホットケーキ焼いてる。
ひい、ふう、みい、よお、いつ、むう、、、、、、
こんなに沢山のホットケーキ一体だれが食べるんだろうと思いつつ。
楽しくて止まらないよー!
きつね色したホットケーキがヒトリグラーシビギナーのわたしの”自由”を体現している。
憧れがフライパンの上でふくらんでます。
わぁーーーーー!
ひさしぶりにココにきた。 変わんねーなー。
わたしの名前はスジャータ。 恋人は褐色なの。 堅焼きの醤油せんべいに有精卵マヨネーズつけて食べてます。 (うそ) 褐色は映画監督志望の若者で母親も有名な女優。 母親の恋人は巨匠一歩前の映画監督で彼らとともにヴァカンスに来た時、 褐色とその町の少女スジャータは出会った。 褐色はスジャータをヒロインに映画をつくった。 その映画をみた母親の恋人の巨匠一歩手前映画監督はスジャータを愛してしまう。 スジャータも若さをもてあまし理想主義に走る褐色より 穏やかなやさしさをもつ巨匠一歩手前映画監督に惹かれ、 彼女は巨匠一歩手前と町を出てしまう。 褐色はスジャータに捨てられた。 それからの褐色の生活は荒れに荒れ、心を病み入院してしまうほどだった。 しかしそんな褐色をずっと見守り愛する聡明な女がいた・・・。 数年後、スジャータは人気女優になっていた。 巨匠一歩手前は褐色の母親とヨリを戻していた。 褐色は新進気鋭の映画監督となっていた。 聡明な女は褐色の妻となり一女をもうけていた。 スジャータは褐色がつくる新作映画のアイデアを偶然耳にする。 褐色の母親の女優が出演し、巨匠一歩手前も俳優として出演するらしい。 あの夏のヴァカンスを褐色は映画にする気なのだ。 スジャータは自分の役はだれが演じるのか気になった。 そして褐色をホームパーティに招き2人は再会を果たすのだった。 褐色はスジャータの家にいき、何年かぶりにスジャータ本人に会い、 スジャータが話す言葉、スジャータが着ている洋服、スジャータの友達、 スジャータの家の中、スジャータの生活をみた。 帰ろうとする褐色を前にスジャータは倒れてしまう。 介抱をする褐色にスジャータは「私の役をやらせて。」と懇願する。 こうして褐色は最高のキャストを得て、新作映画の制作がはじまった。
こういう映画がある。チェーホフの「かもめ」を題材にしてるんだ。 インタヴュ−で記者が、 「数年後女優として成功した後のスジャータはちょっと俗っぽくなりましたね。 町を出てから褐色と再会するまでのサイドストーリーなんてあるんですか?」と質問したら、 監督は 「確かにスジャータはちょっと下品になった感じがあるでしょうね。でもそれは違うんですよ。 スジャータが下品になったのではなく、彼女をとりまく環境が下品になったんです。 青春時代というのはもっとも神聖な時期です。その季節が過ぎてしまったスジャータは失楽園の状態なんです。 彼女が町を出てからのストーリーはあります。 まず、巨匠一歩手前と恋人関係をつづけ彼の作品にいくつか出演します。 しかし、すべての物事には終わりがあるように、巨匠一歩手前との恋愛もそのうち終わります。 それでも彼女は才能があったから、他の監督からも女優として注目され多くの作品に出演し スジャータはそのままキャリアを続けていきます。 褐色と再会して彼はスジャータの家を訪ねることになりましたが、 そこで彼女がどうやら一人で住んでいるのではなく他の誰かと暮らしていることを知ります。 褐色も聡明な女と結婚し子供もいます。 そういう風にして人生は進んでいくのです。」
(クロード・ミレール監督、出演リデヴィーヌ・サニエ、ロバート・ステヴナンの「可愛いリリィ」のこと)
| 2003年05月18日(日) |
爪赤きときも爪短きときも永遠に彼女を愛す |
サンリオで大量に買物! 小学生の私だったらサンリオで一万円近く買物するなんて、 「ユメの中の絵に描いたモチ」だなぁ。。。
ピンクのチワワのぬいぐるみのケイタイカバーが失神ものの可愛さ。 毛がフッサフッサしてて、実際にケイタイ装着したら 片桐仁のケイタイに匹敵するくらいの仰々しさになってしまうんだ。でも買った。 使う使わないにかかわらず、このチワワは私が持つべき運命、と直感した。 (「ハロー」を覚えるよりはやく茶魔語の「こんにチワワ」を使っていた私だものね!) キキララももちろんいた。彼ら相変わらずの仲良しぶり。 バツ丸や着物きたタヌキ(名前わすれた)やそのた懐かしいキャラクターにも会えてうれしかった。 世にも可愛い奴らがひしめいてる素敵なところです、サンリオは。 そしてなんといっても今日イチバンわたしが心からよろこんでいること、それは・・・
(ジャンジャジャーン)キティとキティの恋人・ダニエルの結婚!!!
ウェディングドレスとタキシードに身をつつんだ2人のぬいぐるみ。 キティはベールをつけ、真っ白なドレスのスカートをひろげてすわっている。 彼女の横にはやさしい恋人・ダニエルがほほえんでいるんだ。
うれしくて
うれしくて
倒れてしまいそう!!!!
わたしはつねづね、地方限定キティとか日焼け風キティとかシャネル風キティとか キティちゃん家電セットとかプリクラキティフレームとか、ありとあらゆる場所で キティをみかけるもんだから、馬車馬のように働かされ無理させられてる彼女をみるにつけて 気の毒で仕方がなかった。すごく心配してたんだ。 (くわしくは9/3と11/8に飛ぶとわかります)
だけど、もう安心だ! だってキティは大好きなダニエルとこれからはずーっと一緒だもの。 妹のミミィやパパやママもどれだけよろこんでいることでしょうね! 今日の良き日を迎えた2人は人生に対する勇気そのもの。
キティ&ダニエルのこの光景はきっと永遠につづく。 ははーん、目眩がするほど退屈で美しいふたりね。
100¥ショップでハート型のクッキングリングを買ッタ。 ハート型の目玉焼きが作れるんだよ。 わたしはハートのホットケーキを焼いてバターとメープルシロップをかけようと思ってる。
( コ レ デ ア イ ツ ハ ワ タ シ ノ モ ノ ! )
今日は買物運よくて、大隈講堂前でやってた古本市で『贅沢貧乏』(森茉莉)も買ったんだ。 装丁も凝ってて美本なの。300¥は安すぎ。 なにを隠そう、わたしがセーターを「スウェータァ」と発音してしまうのは、森魔利ゆずりなのさ。 室生犀星の「ビフテキの薔薇色と脂」という言葉を知ってから魔利は、 ビフテキというものを考えるときに、どうしてもその言葉がうかんでくるといっている。 それと同じように、もはやセーターは「セーター」でなく魔利みたく「スウェータァ」として 私の脳みその中では君臨してるんだ。 そしてまた更に、今度はわたしが「ビフテキ」というものを考えるときには、 犀星から発信されたビフテキが、魔利の夢と現実のフィルター(薔薇色と脂)をとおして、やっとわたしのもとに到着する。 ビフテキの長い旅。 地球に届く太陽の光は、本当は太陽から発された時点よりすごく後のものっていうのに似てますね!
(こんがらがルナー?意味通ジテマスカ?)
だからこれを読んだ人は、今後ビフテキを考える時には、 犀星、魔利、というビフテキの旅の最後にどうかわたしのことも想いめぐらせて欲しい。 わたし経由でビフテキが考えられることがあれば成功といえる。 今どき「ビフテキ」、なんて言う人いねーか。
今日は、卒論計画書の発表があって久々に学校へ行った。 わたしは、テーマをよく練ってなくて、ひたすら甘さを指摘され、 教授のいうことにウンウンうなずきながらひたすら時の過ぎ去るのを待っていた。 「君の趣味はだいたいわかってきた。私はあまり共感はできないけど。」だって。
あーこんな日は、ゴースト商店街のあの銭湯へ行こう! 知ってる?あそこへいくと勇気がわくんだぜ。 ほとんどの人がおばさん以上の年齢の人で、その人たちに囲まれて、 あーぁ、すごいシワシワなおっぱいだなーとか、贅肉すごー!とか心の中で想って そして自分と比べてみる・・・。そんな優越感と熱いお湯に浸るんだ。 いーやーなーやーつーだーねー! でもいいじゃない、わたしがそうしてるのも今だけさ。
髪の毛が濡れたまま銭湯を出て、ジュース飲みながら帰るんだ。 のぼせ頭 アップルジュース シンとした夜の空気 コインランドリーの洗濯物よ回れ 空き地にかかれた落書きはダイイングメッセージのように 緑色に光る公衆電話はきまって沈黙している ケーキ屋のシャッターの兎は夜しか姿を現せないの刑 2軒先に住んでるピーター(柴犬)はすでに眠っていた あぁ、ピーター!かれはいつも眠っている 眠っている犬は、眠りながら現実を生きている すべての現実は夢におおわれている。 血のしたたるビフテキですら − H O R A << 薔薇色の脂>>>
「室生犀星の「女のひと」の中に、「ビフテキの薔薇色と脂」という言葉がある。その言葉を読んで以来、ビフテキというものを考える時、魔利の頭にその言葉が、浮かんでくる。ビフテキをナイフで切ってたべるということは「現実」であり、ビフテキ自身も「現実」であるが、ビフテキを美味しいと思い、楽しいと思う心の中にはあの焦げ色の艶、牛酪の匂いの絡みつき、幾らかの血が滲む薔薇色、なぞの交響楽があり、豪華な宴会の幻想もある。又は深い森を後にした西欧の別荘の、蒔の爆ぜる音、傍らで奏する古典の音楽の、静寂なひびき、もあるのである。ある男が、埴輪のような土の人形を愛する時、その愛情は生きている女への愛情よりも深いのかも、知れない。ある男の娘への愛情は、或時からは、その妻への愛情より深いかも、知れない。愛情や、楽しさが、現実だけのものなら、現実のもう一つ奥に、何かが隠れていることはない筈である。魔利は何とかして、自分の頭の中にある夢の世界の存在を、正当化しようとして、こんな意見を引っぱり出して来るので、あるらしい。<<夢こそこの世の真正の現実。そうして宝石>>」・・・・・ (森茉莉「贅沢貧乏」より)
| 2003年05月12日(月) |
五月の中華風緑豆春雨シャワー |
ここ数日、雨フル雨フルって天気予報がしきりに叫んでるから 毎日折りたたみ傘携帯してるんだけど、ちっとも降らないんだよね。 せっかく傘をもっているのに、ソンをした気分。
あーめあーめふーれふーれ母さんが−アイム・シンギン・ザ・レイン
一緒にいた仕事の先輩は、ビデオカメラと大きな三脚と大きなリュックサックを背負いながら 「こんな荷物の多い日に雨に降られたらわたしは死んでしまいます」 って真直ぐ前を見て言った。 私は彼が本当に消えてなくなってしまいそうな気がして一瞬どっきりしました。 背が155センチの私と同じくらい、かもしくはもっと低くて 愛嬌のある顔に口ひげを生やしていて、髪の毛が天然パーマでクルックルはねている。 好ましくふっくらしている体型にサスペンダーが良く似合ってるんだ。 大きなリュックサックを背負っていて、チャックのところに爽健美チャを買うとついてくるクマをつけていた。 彼はケーキの上にのっている砂糖でできた人形みたいな人。 砂糖菓子のオジサンは、雨に濡れるときっと溶けてなくなってしまう。 こんなに可愛い人が死んでしまうなんて、なんて絶望的な世界なんだろう! ドラえもんの映画をみてて、ドラたちのピンチのシーンで思わずダメ−ッ!!って叫びしたくなる。 そんな心境を押し殺して、 「大丈夫!私がついている。二刀流で傘もちますから。」
と言うと、オジサンは小さく「お願いね」って答えた。 はねあがった天パーの髪がひと束更にはねあがっていた。
| 2003年04月24日(木) |
ライク・ア・清少納言 |
いま、大学の他に仕事もしていて、 その関係で、都内を縦横無尽にウロウロすることが多いんだ。 あたりまえだけど、東京ってやっぱ花のお江戸なんですね!銭ガ〜飛〜ブ〜
お昼どきの"日比谷"は、街全体がまぶしくキラキラ輝いてる。 ランチタイムのサラリーマンやOLたちの仲間に入りたい。 日比谷公園で「ベーグル食べましょッ!」とかいってさあ 六本木の美点は夕暮れどき。 オレンジ色と紫色を混ぜたような色の空に、 ぽつぽつとネオンが灯り始める風情がSU・TE・KI 東京タワーもチラリズムの美学で六本木の胎動に華を添える。 六本木は夕方に蒲団から出て欠伸をする。 そして顔を洗って化粧をし始める。その瞬間がよい。 お仕事中フルメイクの午後9時半の六本木はこわいもの。
そういえば、チングが新宿の母に会いにいきたいって言ってたけど、どうなったのかな。 この前新宿の母の隣でミニうさ売られてた。ウサギちょー可愛! 5匹くらいのウサギが段ボールに入ってて、みんなシロとクロの斑模様で、その分量が違うことで ウサギたちおのおのに特徴をあたえている。やっぱシロうさ可愛ー。 あと、全体は白いんだけど目の回りだけ黒く縁取られているコもいて、 「このコ、なんかビジュアル系だね...」って友ダチと笑った。 三原ミツカズとか読んでいそうだね、原宿の橋のとこにいそうだね、などと 笑われるゴスうさ。何故笑われてるのか、それどころか自分がこれからどうなるのかすら まったくわかっていないゴスうさを想うと申し訳ない気持になる。 笑っちゃだめね。
| 2003年04月20日(日) |
渚のストレプトマイシン |
(今、2003年4月20日0時32分、わたしはねこを背後から抱きしめてその両手をつかんでいて、彼のピンク色の可愛い肉球に圧されるキーボードによって、この文字が撃たれている)
今 日 ミ ニ バ ラ の 蕾 が す べ て 咲 き ま し た 。
| 2003年04月19日(土) |
青鬼の褌を洗うヲンナ |
タイトル変えました。 「湖畔でジンジャーエール杯」 時計の針が0時を越えた時刻のわたしの有り様。
ここはわたしにとって、まったく自由な場所、 湖でスワンボートに乗って、ジンジャーエール飲みながら大きなノートにめもしてる感じ。 (足はボートを漕いで、口はストローをくわえ、指はペンをにぎっている。わぁ、大変そうだ・・・) 新しいページに好きな写真を貼ったり、気に入ってる言葉をかきとめておいたり、思いついたことをなんでも。
わたしは小さい頃からお菓子よりもスルメやらほっけやら枝豆などを好きだったから、 A子ちゃんには「大人になったら絶対この子は”のんべえ”になるね!」と言われていた。 「えっ!あたしオトナになったら”呑兵衛”なんて名前になるの?!」なんて頓珍漢な心配していた。 けど、実際は自分から能動的にアルコホル摂取することもないんだ。 苦手ではないけれど、酒好きにはならなかった。
わたしにとってもっとも好きな飲み物はお酒ではなく、ジンジャーエール。 お酒飲むよりも、ジンジャーエール飲む方が楽しいんだ。どうして? カナダドライのペットボトルに 「禁酒法が定められていた時代、人々は酒の代用品としてジンジャーエールを飲んだ」 て書いてあった。
前世のわたしはきっと、この時代に生まれたアメリカ人でお酒なんてものの存在も知らない野暮天だったんだと想う。
でも、まだわたし23だし!さきはわからないでしょう。 あの赤塚不二夫センセイなんて30になってから急に飲酒開眼したというし。 これから呑兵衛になるのかもしれない。ほっかむりとかして。ひげはやして。
いつも通ってる道で、誰かから微笑みをかけられているような、 とても人懐っこくこちらを見ている、そんな視線を感じた。 あたりを見回してみてもそれらしき人物はいない。 ふと、視線を足下に落とすと、 そこには3人のおしゃべりパンジーがこちらに向かって笑いかけていたんだ。
「カリフォルニアの窓ふきのおじさんはいいわよねぇ〜。」 「まったくだわ!」 「毎日仕事中に水着の女の子たちがみれるんですものネ!!」
なんて3人のパンジーはぺちゃくちゃと寄り添うようにおしゃべりしていたんだ。
・・・・n a n t e n a
パンジーって(特に黄色と紫のコンビネーションの)、どうも顔みたくね? そしてそれとは反対に、シーズ−犬の顔面はパンジーみたくね? 北野武の絵でひまわりにライオン?の胴体がついたのがあるけど、 パンジーにシーズ−の胴体ついた絵を思い描いている。
さあ!ヨッテラッシャイ
かお巣(ヒトリグラーシの部屋)のベランダはいつのまにかちょっとした花園。 お誕生日プレゼントにもらったプランター2つ分の花と、 自分で買ったラナンキュラス、 引越し祝いにチングがくれたミニバラ、 近所のおばさんがくれたミニバラ
太陽が優しく照らす午下がりにはきっと彼女たちも合唱してるんでしょう。 それはきっとこんな歌・・・
Little bread-and butterfly kiss the tulips (バター付きパンのちょうちょがチューリップにキスして) And the sun is like a toy balloon (太陽はおもちゃの風船みたいに浮かんでる) Three are get-up-in-the-morning glories (朝顔さえも目を覚ます) In the golden afternoon (きらめく午下がりに) There are dizzy daffodils on the hillside (クルクルまわる水仙が丘の上に揺れ) Strings of violets all in tune (すみれの弦楽奏が調べを奏でる) Tiger lilies love the dandy lions (オニユリがタンポポに恋をした) In the goleden afternoon (きらめく午下がりに)
| 2003年03月31日(月) |
美千雪、恋の小田茉生(ミチユキコイノオダマキ) |
美しい千の雪が降る日に生まれた男・美千雪(ミチユキ)と、その恋人小田茉生(オダマキ)。 カラフルな地下鉄の路線図を舞台としたラブストーリーを知っている。 平日午後3時半の銀座線。 地下鉄銀座線は、駅に入るまえに一瞬車内の電燈が消えることがある。 そこで、物語の主人公・小田茉生は見た。 向かいにすわってる男が、電気が消えた一瞬に隣の女性にキスをした。 車内が明るくなると、鳩が豆鉄砲を食らったやうな顔をしたその女性と、知らーん顔してる男の姿があった。 瞬きをしている間のほんのわずかな刹那の出来事。 男と女はまったくの見ず知らずである。 まもなく電車は浅草駅に到着し、男は何ごともなかったように降車していった。 一度も振り返ることなどなく。 あーゆー遊びがはやっているのかしら?小田茉生はしばらく呆然としていた。 しかし、その不埒な男こそが約1年後、雷の銀座線で小田茉生と恋に落ちる美千雪である。 それはそれは東京タワーの高さ333mから飛び降りるような......
今日地下鉄におかれていた雑誌のインタヴューで浅田次郎がいってたんだけど、
「地上の電車にのれば、世の営みや喜怒哀楽が窓の外から見えているけれど 地下鉄の中は人間がいるだけ。その人間が自分の日常を胸の中に隠して乗り込み、 暗闇の中を疾走していく。そして、地下鉄に乗っている人は思惟する。 昔のこととか、今やらなければならないこととか、哲学したり、内向する。 外に目がいかないし、適度な闇が思考を誘うんだろう。」
あーーー正鵠!正鵠!と心の中で叫んだ。 ロマンチックな乗り物なのね。
(ヒトリグラーシ(イタリア語風の発音で)の部屋で大豆を煮つつそんなこと考えている)
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