OH GREAT RABI RABI

よつんばいの天使、コタツの幻
2003年05月31日(土)






やさしいおんなのこは


とべないおとこのこをかだんにうえて


おろしたてのジョウロであみのさんをやります





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真夜中の夜明け。


少女の眼は白く、





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そら を


譜面どおりに発音して、


彼女は五月を見あげた。


幻のような夏、その






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青。






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キャンディー・カラーのうきわを腰でくるくる回しながら


エレファント・ガールがやってくる


ぼくがほめると


喜んでうきわの回転速度をあげる


ついには太陽光すらはじかれる






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天使は暗い眼でわたしを見あげた。


だって、わたしは扉なんか


隠してないもの。


天使はすりきれてぼやけてゆく足首を抱えこんで


しとしとと泣きはじめた。










灰かぶり姫の走りかた
2003年05月30日(金)






避雷針のてっぺんでV字バランス、






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たいふうのかぜがふいています


たいふうのあめがふっています


でっかいめだまはあしたのあさにくるらしい


せまりくるしせんのせいで


ぼくらはこんやめだまやきせんそうのゆめをみる






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祈りは真夜中の夜明けに似ている






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象はたまごから産まれると思う。






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そらはいつだってはいいろをしていて



わたしがいてもはいいろがすこしこくなるくらいで



だれにもみつからなくて



だからわたしははしった










もしもはぐれたら君は蛸を探せ
2003年05月29日(木)




ぼくは蟹を探す。





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オレンジとホワイトのストライプよりも



オレンジと白のストライプのほうが目にやさしい。



みかんいろやだいだいいろはまた別の問題。



ぶんたんいろやでこぽんいろはまた宇宙人的な問題。





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今日の宿題は、半径が家の高さと同じ雪玉で玉乗りをして


うっかりタガメを踏みつぶすこと。


ぼくらの先生は努力を評価するので


まず雪を掘るスコップの原料の鉄を取るために


U字磁石を持って砂場へ行こう。


(磁石にはあらかじめポリ袋をかぶせておくと砂鉄が離れやすい)





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今日の早口言葉


トマトポトフを20回言え








意外と言える気がしてきたけど


それよりフの音が苦しい。



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ぼくらの最終の目的は、いかウインナーを手に入れること


28匹のたこウインナーと35匹のかにウインナーを分解接合したら


何匹の偽いかウインナーが出来る?










ギターから少女への進化
2003年05月28日(水)






この、広大なロビーから



わたしは離陸を見届ける。



そこから180度離れた場所で、



あなたは着陸を促している。






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重厚なテーブルは牛に変化し


抱かれたギターは嘘少女へと進化する


あらゆるものの思い出に埋もれながら


少年だったスプリンクラーは水圧で化石を掘りおこそうとしている







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いぬはいつまでもついてくるので


どこかでつきはなさないとならない


ロープ?


いぬ は ついてきていたのではなかった


わたしのゆびにむすんでいたいとがほどけて


からまったいぬはひきずられてきたのだった







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リンドウ という美しい音にどうして竜が含まれているのだろう







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沖に浮かんだ無数のコックピットがしろい菌糸を吐きだし


巨大なさなぎになろうとしている





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少女は坂のしたで両腕をひろげ



いつか転がってくる果物もしくは自転車を待ちうけている










みどりいろのえんがわ、かせき
2003年05月27日(火)






緑と縁をまちがえた。



た。



ぼくの眼の容器、くき と張りだせ。






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とてもみちがえたよ。


あめがふって


どろりととけたじめん、


あのこはいちどみづからうまって


よみがえった。


つぶやく おかえり のこえに


じんじんとふるあめのしつどをおもいかえす。


ねえ、ぼく、みちがえたといいたかったのに


みまちがえてしまって、いたん、だ。


ねえ、きびすをかえすまえに、


ねえ、このはなしにかえるはなんびきかつようされた?





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ベランダとまちがえて



彼女は紫色の花畑から飛び降りた。



そして何処へ着地した?






同じく、ロッキング・チェアーと思って



椅子百合に腰かけた姉さんは食べられた。



いえ、わたしの姉さんはまちがっていない、



のみくだそうと花弁は激しく上下にスウィングする。



最初に踊りはじめたのは誰だった?







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惑星的に、ぼくは傾いた。



リコーダーを支えにしようとしたが、



ぼくの背はとっくにソプラノを追いぬいていたんだ。





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空も同様に傾く。


意味不明の言語の蟲に誘われて、


弔いの戦争がはじまる。


今日の、夕焼けの動機。






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わたしは花畑で飛び降りた。



そして美しく着地した。






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何処へだって着地できるよ。


地下鉄は、とっくに土を離れてしまったもの。









ろんろんと鳴く足長ゴルコンダ
2003年05月18日(日)

某即興掲示板に出すタイトル候補たち。








「ノアの結婚式」





「しょくぱん物語」





「象の美術館」





「のどかなカルピスおろかなカルピス」





「ハコブネ、リリク」





「しろいもくせい」





「獏の出てこない話」





「わにくん」





「プロペラ墓地」













ウサギの着地
2003年05月10日(土)





ストッキングをかぶったウサギの大犯罪


長い耳は(そのために作られたように)完璧に奥まで納まり


わずかなたるみも作らなかった


そのあまりの完成度に


白昼行われた犯罪


大勢の目撃者にもかかわらず


ウサギはらららと逃げおおせた





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白い昼、


わたしの眼は潰れたのだろうか、


かげろうさんが横ぎる、


幻のような すみれいろの陰が


瞼のすみにおちる、





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永遠スキップにはもう疲れた




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リンドさん、


真昼のベンチで手を広げて


僕らを迎えた リンドさん、


僕らは毎夜 小花柄の夢にうなされる、


その柄は彼女のギャザ・スカアトとして


僕らの夢で繋がっている





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カモメが死ぬのは白い昼である。




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獏は、ほがらかに跳ねることを、もはや、やめてしまった




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獏の夢見に関する物語


語りはじめる前に、


僕たちはまず「闘争」について思い出さねばならない。


次に、群青色の絵を思いうかべ


そこから連想をはじめねばならない。


そして、過程がどうであれ、


最後には潮で錆びた城にたどりつかねばならない。


そのときようやく、僕たちは獏の、咳こむような寝息をきくことが出来る。




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ウサギは両耳を大きく水平にして飛び降りた。


けれども僕らは、堤防に転がった彼の亡骸をカモメと判断してしまったのだ。









僕たちのゆるりとした戦い
2003年05月08日(木)





うつろな眼で


彼女はスミレ科生物の生態について暗唱する


僕はその隣で耳をふさぎ


ブドウ科生物の進化の過程を暗記している





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翼は何度でも生えてくる


だからわたしは何度も切りおとす、


いつかかたわの翼が生えてきて


進化の瞬間をこの目にしよう、




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黒い犬、


暗号のように。


ナクナ の切れめがわからずに


クナクナクナ、と くりかえす





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リップクリィム、


あなたとわたし、


両側から塗る方法、


うすももいろに透けて見えるよ。


海の側へ行こう。


くちびる、きさきさに荒らして


一刻も早く、


使い切ろうよ、


早く、


出会おうよ、


わたしたち、




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戦いは終わった。


スミレは立ちあがろうと体を震わせるが、


じきに力つきる。


やがてヨーグルト・レーズンの匂いが街を覆っていく。


「あなただけはプルーンの香りを忘れないでね」


と言い残して、スミレは死んだ。








かすめた翼影、ブリッジ色の丘
2003年05月06日(火)





釣り糸をひとさしゆびに巻きつけながら


貴方が泳ぎから戻ってくるのを待つ。


欝血した指先は、昨夜の月の集合体。






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ヘリコプター、舞台で再現

どちらへ走るよ?

ふりあげたわたしの右手と

すっとしたあなたの左手が交わるように

空間を、歪めよう。




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ことり、



わたしにうめてもらおうと



いま、 おちたね。



あいにくわたしは はんとうめいのこざかなをかっていて、



かれらにうみをおしえないために



わたしは きょう、



そとにでていない。



さいごのときはおくじょうでまちあわせようときめていた、



ことり、



もうよあけはあけてしまったよ。




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あのこのむねの、むかってひだりがわの


くうどうをぴんくのぺんきでぬって


だめおしにおおきく しんぞう とかいた。


これであのこはもうしなない


ふたつめのいのちを ぼくは


えいきゅうしようでつくった。





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橋の色は、渡る者を選ぶ。

仮に、二枚葉を追ってきた少女飛行機は

陽炎の橋を渡る、

それも途中でキンシチョウが横切ると

少女飛行機は谷(と自覚されたオブジェクト)の底に墜ちていく。





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ばらばらばらばら


この音が全てを救うと信じるあのこは


両てのひらに心持ち神経を送って


呟きつづける、


(ばらばらば・らば・ら)


ねえ、今はライトを消したあとでしたっけ、


それとも、





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ら ら ら と歌うらばがいるという砂漠を


今朝、窓から見つけました。


それだけの記録で足りたのだけど。









近しい山、菜の花の児の記憶
2003年05月05日(月)





わたしを何処までも引き延ばしていくものは、


春の欠片を握り潰してしまったのだろう。


しきりに、


まばゆい、





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やまをつくった あなたのてのひらのかたち、



わたしのせなかのかたち。


なみは やまからよせてくると、



わたしはいま しんじられる。





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旗は視界の果てまで続いている


それらの大群は永久記憶を不用意にかきたて


わたしは「冒険」と呟く。



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ジャックは箱に閉じこめられたまま、

僕等は箱を見失った。

箱のなかのジャックの呼吸音が真夜中にとつぜん響き、

僕等は泣きながら幾度も飛び起きる。




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たとえば、


きいろ といういろを見る度に


屋上のことや


熟れた炭酸ジュースや


奪われたマントや


三つの段階のことや


しあわせだったことや


眼の痛みを思いだすのだろう。









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