再生するタワゴトver.5
りばいぶ



 「ガラスの動物園」戯言

演出の戯言

今年は人数的にも密度の濃い一年、いつもこの養成所で作品を創る時、夏の中間発表は日本の現代劇、で、モノづくりの考え方や、役作り、相手役との交流、本の読み方、などなど共通体験をもって修了公演の高いハードルを超えることを目標としてきた。今年は夏の発表を担当しないままの修了公演、色々悩んだけれど、一番高そうなハードル(作品選定)にいきついた。
「ガラスの動物園」は有名なんですねぇ…なんでだろ? でも海外戯曲でしょう! 外人でしょう!と上辺を飾り、饒舌に抑揚たっぷりに喋る姿は段々と消え、テネシー・ウィリアムズがこれでもかと書き込んだト書きや人物背景の意味を捉え、人がなぜそうするのかそうしてしまうのか、そしてあらためて家族って、母って父って兄弟って……と文化国籍を超えた普遍的なところまでたどり着いている。あとは客席とどう出会えって作品として昇華できるか。
稽古場は創意工夫に溢れているべきで、それは演出的な創意はもちろんだけれど、俳優が人間をいかに豊かに深く理解し、いい意味で疑い、それでもわからない部分を楽しみながら他者との交わりの中でその面々でしか創れない世界があるのだと信じてトライとエラーを繰り返す、思い切って失敗をして良い場所だ。その失敗から多くを得、進むべき道を座組みなで見つけていく。誰かが提示してくれる正解は一つみたいなまやかしで安心せず、自分の表現と日々向き合う。わからないへの挑戦である。
この苦しんで楽しんで自分を突きつけられた時間はきっと嘘はつかない。
本日はご来場くださいましてありがとうございます。
このキャリアだからこそ魅せられる追憶の劇、最後までごゆっくり、そして温かく(笑)、ご覧ください。

藤井ごう

2024年02月19日(月)



 スターダス・21Neu養成所修了公演。

1930年代、アメリカ・セントルイスの裏通り。ウィングフィールド一家はその路地裏のアパートでひっそりと暮している。家族を執拗に愛する母、内向的な姉、夢見ながらも一家を支える息子、姉の憧れる青年。登場人物はたったの四人、そして暖炉の上には父の大きな写真─
人物たちの思惑のすれ違いの果てに生み出されるのは、拭い去れぬ家族への郷愁。それは国を超え、時代を超えて人間の普遍的な物語として浮かび上がる。テネシー・ウィリアムズの数ある作品の中でも最も愛されてきた「ガラスの動物園」に目一杯背伸びをして挑戦!


『ガラスの動物園』
スターダス・21Neu養成所修了公演
『ガラスの動物園』
原作:テネシー・ウィリアムズ
構成・演出:藤井ごう

日程:2024年
2月17日(土)14:00【A】/18:00【B】
2月18日(日)14:00【B】/18:00【A】
≪キャスト≫
アマンダ・ウィングフィールド:吉田倫子
ローラ・ウィングフィールド:【A】木村あすみ
              【B】林めぐみ
トム・ウィングフィールド:【A】青木文哉 
             【B】松橋奈々於
ジム・オコナー:石原愛美

場所:スターダス・21Neuアトリエ
料金:前売り・当日共 1,500円

2024年02月17日(土)



 エーシーオー沖縄「島口説」東京公演。

泣いて 笑って 笑って 泣いて 島人ぬ物語(むぬがたい)
1979 年に謝名元慶福が自身の体験をもとに書き上げた。沖縄ではじめて文化庁芸術祭優 秀賞を受賞。新たな演出は「毎日芸術賞千田是也賞」などを受賞した注目の演出家、藤井ごう。沖縄戦、 廃墟の中で、メリケンコの袋で作ったワンピースで花嫁となった青春。好きな三線を弾き、歌を歌うこと で戦った父の生き様。基地の街、沖縄市にある民謡酒場で働く、陽気な二人の女がウチナー大和口で客たちに語りかける。
歌と踊りと語りにのせて、泣いて、笑った島人の物語。

ストーリー
米軍基地の街、沖縄市にある一軒の民謡酒場。店で働く二人の女が独特のウチナー大和口で客たちに語り かけ 興がのると沖縄民謡を歌い踊るという陽気な性格。「私の話を聞かないと本当の沖縄のことはわかりませんよ」そう前置きして語りだしたのは、降り注ぐ砲弾の雨の中父母とともに墓の中に逃れて生き延び た、沖縄戦のこと。そして廃墟の中で乙女となり、メリケンコの袋で作ったワンピースで花嫁となった青 春。台風の夜、発熱した息子を死なせてしまった離島苦。基地の建設の中での夫の苦悩と死。米軍に土地 を取り上げられ、好きな三線を弾き、歌を歌うことで抵抗に立ち上がった父の生き様。歌と踊りと語りに のせて二人の沖縄の女優が演ずる。したたかな半生。そこに浮かびあがる沖縄の戦後史。
概要
日程・会場:2024年3月20日~23日 R‘sアートコート
出演:城間やよい 知花小百合
歌・三線:平良大
脚本:謝名元慶福
脚色・演出:藤井ごう

エーシーオー沖縄とは
エーシーオー沖縄の舞台を創り続ける原動力は「沖縄に生きることに向き合い続け、沖縄に生きる人びとの心を舞台とおして伝えたい」という思いです。
創立以来沖縄発信のオリジナル作品を次々に発表、沖縄の芸能をベースとした意欲的な作品づくりを続けています。
また、国内外の芸術団体とのネットワークを築き、海外の劇団、アーティストとの国際共同制作作品も多数創作しています。
公式サイト:https://www.acookinawa.com



2024年02月14日(水)



 演劇集団Ring-Bong11回公演情報。

演劇集団Ring-Bong第十一回公演「シングルファザーになりまして。」
作 山谷典子
演出 藤井ごう

【 出演 】佐々木梅治(劇団民藝)、大滝寛(文学座)、津田真澄(青年座)、明樹由佳、
辻輝猛(演劇集団Ring-Bong)、坂本岳大、遠藤好(青年座)、鈴木亜希子(文学座)
大井川皐月(Jクリップ)、島田連矢、平岩彩花(スターダス・21Neu)、藤井ひかり(スターダス・21Neu)、烏田鈴渚、小波咲良(B-Box)、大本恵美(アナウンス学院)

【 劇場 】 座・高円寺1  
【 公演期間 】2024年3月27日(水)〜3月31日(日)
【 タイムスケジュール 】 全6回
3月
27日(水)19:00
28日(木)14:00
29日(金)14:00★
30日(土)13:00/18:00★
31日(日)14:00

★=終演後アフタートークあり。
受付は開演の60分前、開場は開演の30分前。
未就学児入場不可。
<アフタートークゲスト>
聞き手:山谷典子
29日(金)14:00…永井愛(演出・劇作家)
30日(土)18:00…片野清美(エイビイシイ保育園園長)


【スタッフ】
美術:乘峯雅寛 照明:鷲崎淳一郎・ライティングユニオン 音響:山崎哲也 音楽:高崎真介 
演出助手:katze 舞台監督:吉成生子・伊東龍彦 衣装:友好まり子 宣伝美術:川本朋子 制作:イビケイコ 制作補佐:最首志麻子 主催:演劇集団Ring-Bong 提携:NPO法人創造ネットワーク、座・高円寺 後援:杉並区 協力:エイビイシイ保育園

【 チケット料金 】 
前売り・当日共 一般…4,500円/アンダー25(25歳以下)…3,000円。
ギフトチケット…3,000円 
※アンダー25とギフトチケットは劇団のみ取り扱い。アンダー25は要年齢証明証提示。
ギフトチケット 生の舞台芸術に触れる機会が少ない子どもたち(18歳以下対象)が無料で観劇できる、大人が子どもたちの観劇を支援(ギフト)するチケットです。

【 チケット発売 】 2024年1月25日(木)
【 チケット取扱い 】 
■劇団 
WEB予約(CoRichチケット) https://ticket.corich.jp/apply/293267/
メール:ringbong.ticket@gmail.com  TEL:080-3385-9451(平日12:00〜18:00)
■座・高円寺チケットボックス 
窓口(月曜定休)03-3223-7300(TEL10:00〜18:00/窓口10:00〜19:00)
座・高円寺WEBチケット https://za-koenji.jp/

【 作者より 】0歳児育児…まとまって寝られなくて常に寝不足で、抱っこしてないと泣きだすからご飯も立って食べて、お風呂あがってからも自分は濡れたままで…。「分かる分かる!そうだった!」と共感するママ(私)たち。そんなママの頑張りは少しづつ知られては来ています。が!「大変だよね、ママって」と他人事に呟く夫。大変だと思ったら、手伝えることを探さんかい!!とママは心の中で噴火。自分事として考えてくれないものか…。と、見当はずれの少子化対策のニュースを見ながら感じていました。それと同時に、「私は産んでいないから」と謙遜するキャリアのある女性たち。男性からそんな謙遜は一回も聞いたことはありません。ここにもモヤっとするのです。「女性とはこうあるべき」という枠が、私たち女性を、そして男性をも苦しめているんじゃないか…そう感じています。

【 あらすじ 】予約必須の中華料理店「Hattori」の経営者であり料理人、服部敏郎60歳。娘が産まれ、店舗拡と張り切る中、妻が家出。生後3か月にもならない娘と二人残され途方に暮れる。両親もすでに他界しどこにも手助けがない中、従業員の王に勧められ夜間保育園に娘を預けることに。そこで出会った保護者は、20歳そこそこのピンクの髪の女性であったり、日本語が片言のネパール人であったり…。こなけりゃよかった…とため息をつく敏郎だったが…。

【 お問合せ 】演劇集団Ring-Bong
TEL:080-3385-9451(制作/平日12:00〜18:00)
Mail: ringbong.ticket@gmail.com
HP: http://www.ring-bong.com


2024年02月11日(日)



 椿組演出の戯言

演出の戯言
文言ばかり先走る多様性が言われるようになって久しい、さらにコロナ禍を過ぎこれまでの価値観が大きく変わった。一方明治期、大きな時代の変化に出会って変わっていく人たち、変わらない人たち、変われない人たち、それぞれがもがく姿は滑稽で、それはまるで僕らの合わせ鏡のようでもある。あるがままを受け容れるって簡単じゃないけど、
「今、目にしているモノを、自分の目でちゃんと見ている? 見られている?」
僕にとって椿組との4回目の取組が中止になり、ようやく漕ぎつけたこの機会、秋之桜子さんのホンを元に、椿の面々、ゲスト、スタッフさんと、顔を合わせ寄ってたかってモノを創る楽しみを味わいながら、その楽しみを満を持して客席との固い握手に繋げたいと思っている。本日はご来場ありがとうございます。
藤井 ごう

今後の予定
○エーシーオー沖縄『島口説』(作:謝名元慶福)上演台本・演出
3月20日(水)−23日(土)@R‘sアートコート(労音大久保会館・東京)
○演劇集団Ring-Bong『シングルファザーになりまして』(作:山谷典子)演出
3月27日(水)−31日(日)@座・高円寺1
○ZASSOU-BU「エアスイミング」(作:シャーロット・ジョーンズ)演出
5月08日(水)−12日(日)@下北沢「楽園」
○エーシーオー沖縄「洞窟(ガマ)」(作:嶋津与志)脚色・演出
6月18日(火)−27日(木)@ひめゆりピースホール(沖縄)


2024年02月05日(月)



 進さん安らかに。

お陰様で、椿組は演者さんスタッフさんの奮迅の働き、好評をいただいている中、
12月沖縄の拙作で、やむなく降板された平良進さんがお亡くなりになった。
週末にかけて、三月にある「島口説」の稽古もあったので、告別式に参列させてもらった。

沖縄の置かれた不条理な状況を、
尊厳っ!
と皮肉交じりに叫んでくれた進さん(「はてしない物語〜オキナワでゴドーを待ちながら〜」)、
結局降板されることになったが、
軍用地地主の青年が自分の主張を口にし、それを見守るリクガメの覚悟を唄ったシーンで、
強く大地を踏みしめながら踊って、それでいいんだ!と強く青っちょろい青年の主張を言う事、背中を押してあげてくれた進さん。(「亀岩奇談」)
沖縄について浅はかな知識だけれど、こうあるべきではないかと語る私を(そう考えると、和真と変らない)受け容れてくれた進さん、
昨年の「与那覇家の食卓」では、伝説のロッケンローラーとして、存在感溢れる舞台中央に鎮座する遺影で登場してくれ、「今回は出番がない!」と言い、本番のカーテンコールに嬉しそうに登壇してくれた進さん、
ごうさんのダメ出しは細かくて良いねぇ と笑顔で言ってくれた進さん。
いつか、沖縄芝居の演出をして欲しいねえ、とニヤリとしてくれた進さん。
決して長い時間ではありませんでしたが、色濃い時間を過ごさせてもらいました。
もうご一緒できないのは残念ですが、
近いところで、六月の「洞窟(ガマ)」では、ガマから出てきなさい、という祈りにも似たウチナーンチュの声で登場してもらいます。
その、仕事に向かう態度とエネルギー、伝えていかなければいけないことに対する熱さ、でも、歳も出自も関係なく、誰にでも大らかに優しくある姿、忘れません。

そんな日に、ライフワークの始まりでもあり、最初に出会わせていただいた「島口説」の稽古の日でもあった。改めて初心にかえりつつ。


出逢いに感謝します。
安らかに。
ありがとうございました。


2024年02月02日(金)
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