ジョージ北峰の日記
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2005年07月18日(月) オーロラの伝説ー続き

 やがて生暖かいヌルリとしたオイルの様な感触の液体が私の体に丁寧に塗りこまれ、優しくマッサージされ始めたのです。それが微妙な興奮、いや“ゾクッ”とするような快感を全身に呼び起こしました。
 それが終わると、私のペニスにコンドームの様な袋がかぶせせられました。しかしそれは私が知っていたような人工的な感覚はなく、柔らかい粘膜のような肌触りで、微妙な圧が加わってくるのです。それが又なんとも言えない快感を誘うのでした。
 それから暫らくして、私の太腿(ふともも)に、柔らかく弾むような感触の肌が触れたかと思うと、ゆっくりと体重をかけてきました。
と、同時に私の敏感な部分が生暖かい、柔らかい粘膜に触れたかと思うと、やがてまるで象が沼地にのめり込み、沈んでいくかのように、ぬるぬると、ゆっくり女の芯に向かって沈んでいくのです。
“ああー”私は声にならない声を発していました。 その時の快感はいかばかりか想像していただけるでしょうか?
充分にじらされ、焦りさえ感じていた私だったのですから---。
その快感は、もどかしさが長く続いたが故に一層強く感じられたのでした。
性行為は単なる肉体と肉体との衝突と摩擦によるのではなく、本当の意味で心と心の衝突と摩擦の深さに左右される精神的要素が強いと、初めて悟ったのでした。
 しかし、理屈は兎も角、私はこの時点では、これはもう人間の営みを超えた、まさにオスとメスの生殖器官のぶつかり合いだと思った程でした。
 相手は、始めは緩く(ゆるく)そして、浅く深く、徐々に速度を増し、さらに前後左右に動く。その度ごとに先程被せられた粘膜を通して、女性の柔らかな、生暖かい襞(ひだ)が、私の敏感な部分を強く刺激する。か、と思うとすぐ外れる。
しかしやがて、男の敏感な部分が、まるで真綿で動けぬよう包み込まれたかと思うと、強く締め上げてくるのです。その間も、女性の秘部の襞が間断なく、それ自身がまるで生き物のように男性の敏感な部分をヒクヒクと舐め上げてくるのです。
 私はすでに充分充電され、耐え切れそうもない刺激に、その快感は頂点に達しようとしていましたが、しかし一方では、体の自由は奪われ、それに先程被せられた粘膜が障壁となって、なかなか思うに任せなかったのです。
 勿論、私は夢中になって、体を動かそうと試みました。
 どれほどそんなもどかしい時間が経過したでしょう。
 が、突然相手は我を忘れたように、重量感あふれる体を私にぶっつけ、覆いかぶさってきました。そして耳元で「もういいのよ!」とかすれた声で囁きました。
 それは紛れもなく聞き覚えのあるパトラの声でした!
 この瞬間、私の緊張の糸はプッツリ切れーー快感の絶頂に達していました。
 それまで閉塞状態だった私の心は、籠の中の鳥が解き放たれたように、自由な、それこそほっとするような開放感に浸ったのでした。

 周囲では、相変わらず「性の儀式」の騒乱状態が続いていました。
 これまでの私なら、この時点ですべては終了していたでしょう。ところが、その日は、終わりませんでした。
 私は、パトラが「もう合格よ」と囁くまで、何度となく絶頂感に達していたのです。
 こんなことも、やはり初めての体験でした。
 


2005年07月10日(日) オーロラの伝説ー続き

 V
 ところで私事について、本当はあまり話したくない事も沢山ありますが、しかし全く風変わりなラムダ国の文化を知っていただくためには、少し大袈裟かも知れませんが文化人類学的な観点からも、正直にすべてをお話するのがやはり筋と言うものでしょう。

 性の儀式もたけなわに近づく頃、漸く(ようやく)私も目隠しされ、猿ぐつわを噛まされました。普通なら、このような屈辱的な扱いは許せないと抵抗する人もあるでしょう。しかし、それ迄の周囲の状況から私の肉体は興奮の極致に達していましたので、目隠しされ、猿ぐつわされた段階で、むしろ次に来るべき出来事を想像し、期待に胸を膨らます体(ていた)らくでした。だが一方、はたしてこの国の女が私の肉体に興味を持ってくれるだろうか?という不安もありました。それは先程見てきた通り、相手にされないことも、やはり地獄の苦しみだったからです。
 しばらく、誰も寄り付かない状態が続き、随分長い時間が経過したように思いました。その間も、周囲からは男女の交わる激しい動きや、我を忘れたような間の抜けた、脳の旧皮質を刺激する嬌声が間断なく聞こえてくるのです。
 私は、もはや完全に理性をなくし、当たり所のない苛立ちに全身が震え、痙攣発作を起こすのではと思うほど、もがき始めていました。しかし手足が縛りつけられていてベッドを揺らすこと以外何も出来ません。
 と、かすかな体温の気配を感じました。人が近づいてくるな、と気付く間もなく、私のいきり立っているペニスが、柔らかくて生暖かみのある人手にいきなり握り締められたのです。
 「ああ!」その瞬間、私は全身に伝わる電撃的な快感に失神しそうになりました。
 その時まで私は、性に対して無知で、読者の皆様には信じられないかも知れませんが、およそ男女の交わりは、嫌らしいもの、否むしろ不浄なものとして罪の意識のうちに避けてきました。だから、性の真の「喜び」については何も知らないというのが本当でした。
 しかし今回ばかりは、そんな意識は何処かに吹き飛んでいました。ただ単に、ペニスが、握り締められたというだけで、こんなにも感じるのだとは夢にも思っていませんでした—本当にそれは初めての体験でした。
 ただしかし、最も敏感な部分を、相手は意識してかどうかは知りませんが、少し外して握ってくるので、なかなか頂点の快感を得るまでには至りませんでした。私にはそれがとてももどかしく、早く何とかして欲しいと叫ぶのですが、猿ぐつわを噛まされていましたので、残念ながら呻くばかりで、言葉になりませんでした。
 その間も、相手は握った手に力をこめたり、抜いたり、摩擦したりと、間断なく刺激を与えてくるのです。時にヌメッと舌(?)で敏感な部分が触れられたりすると、ビクッと感じるのですが、頂点に達するかと思うと、相手はしたたかに、まるで嘲る(あざける)かのように動作を止めるのです。
 まさに私は、心身ともに相手に翻弄され、もがき苦しんでいました。
 

 ー続く


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