与太郎文庫
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1927年07月24日(日)  芥川家の人々 〜 鬼気迫る形相の背景 〜

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19270724
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/list?id=87518&pg=000000
http://www.enpitu.ne.jp/tool/edit.html
 
 from Web Library;芥川 龍之介(著者肖像)装釘・白川 一郎
(鉛筆で方眼を引いているのは、コンテ画に拡大する予定だったか)
 
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/B000JBB2MA
── 《現代文豪名作全集 1 芥川 龍之介 集  19530215 河出書房》吉田 精一・編
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19530215
 
 ◆ 名声・鼻高々
 
── 内供は心の中でかう自分に囁いた。長い鼻をあけ方の秋風にぶら
つかせながら(結句) ── 芥川 龍之介《鼻 191511‥-19160120 脱稿》
── 《鼻 19160215 新思潮・創刊》《創作集:鼻 19180708 春陽堂》
 
── 「落着があって、巫山戯てゐなくて、自然そのものの可笑味がお
っとり出てゐる所に上品な趣があります。夫から材料が非常に新しいの
が眼につきます。文章が要領を得て能く整ってゐます。敬服しました。
ああいふものを是から二三十並べて御覧なさい。文壇で類のない作家に
なれます。」(P27) ── 夏目 漱石《称賛の手紙 19160220》
── 松本 清張《形影 〜 菊池 寛と佐佐木 茂索 〜 19870310 文春文庫》
 
── 「ほっとした気分に、かすかな不安を残しながら(追句)」
(与太郎の模範解答 1955 初夏 岡谷清子先生講義録)
 
 ◆ 出生
 


 芥川 龍之介(龍之介)  小説 18920301 東京 19270724 36 /睡眠薬自殺
/旧姓=新原 敏三&ふくの長男〜《杜子春/蜘蛛の糸/河童/鼻/羅生門》《レニン第三》
/生没点描=辰年辰月辰日辰刻の出生:壬辰年(九紫火星)葵卯四緑月/壬辰日/辰刻
/父が後厄(43)母が大厄(33)の「大厄の子」
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 新原 敏三   龍之介の実父 1850‥‥ 周防 19190316 68 /フク(ふく)の夫/スペイン風邪
/まじめで律儀だったが同時に癇の強い気性の激しい人
♀新原 ふく 芥川 龍之介の実母 1860‥‥ 東京 19021128 42 /旧姓=芥川 道章の妹/189210‥発狂
 小穴 隆一 芥川 龍之介の友人 18941128 長野 19660424 72 /洋画/誤=長崎

 
 ◆ 転生(19021128〜18941128)
 
── 小穴の顔をじっと見た芥川は「僕は、君は僕の母の生まれかわり
ではないかと思うよ」と照れて言った。たとえば、次のような文章があ
る。(略)「僕の生れた日は芥川の母の命日に当るという。芥川は鵠沼
でも幾度かこの言葉を繰返していた。」(二つの絵)(P81)
 小穴によると、芥川は新原に嫁したフクの子ではなく、その姉のフキ
の子かもしれないと推測する。そうなると敏三は義姉に手をつけて芥川
を生ませたことになる。小穴の想像は何を根拠にしてそう言っているの
かよく分らないが、一生嫁に行かなかったこのフキに芥川が「彼は彼の
伯母に誰よりも愛を感じてゐた」(或阿呆の一生)ことも、芥川が藤村、
特にその「新生」を軽蔑し、「果して『新生』はあったであらうか?」
「侏儒の言葉「新生」読後」「──彼は『新生』の主人公ほど老獪な偽
善者に出会ったことはなかった」(或阿呆の一生)といったことも、小
穴の言葉に合わせると意味ありげである。いうまでもなく、藤村の「新
生」は主人公がその姪と肉体的関係を結ぶテーマで、これは藤村自身の
「告白」といわれ、藤村は世間の非難に追われるようにしてフランスに
行っている。(P106-107)
…… 松本 清張《芥川龍之介の死 19641109-19650111 週刊文春》
── 松本 清張《昭和史発掘 02 19821015 文春文庫》
 
── 養父道章は芥川の第一回河童忌(七月二十四日だが、暑いので参
会者の迷惑を考えて六月二十四日にくりあげた)の翌朝、庭を掃除して
いるうちに急に気分が悪くなり、床についた二日後に死んだ。こんなこ
とを書くのはどうかと思われるが、若し、(という仮定が宥されるとす
れば)養父の死が一年早かったなら、芥川の自殺は無かったかもしれな
いと思われる。(P108-109)
── 松本 清張《昭和史発掘 02 芥川龍之介の死 119821015 文春文庫》
 
── 龍之介が自殺したのは、昭和二年七月二十四日だが、汗っかきの
菊池寛あたりが申しあわせて、一周忌を六月にすませてしまったところ、
招待されなかったファンが続々と七月につめかけて、今日の盛大な「河
童忌」に発展したという。
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19920229 閏二月三十日その後
 
 ◆ 叔母・義母・養母・伯母
 

♀芥川 ふゆ   龍之介の叔母 1862‥‥ 東京 19200421 58 /フク(ふく)の妹
/1902 姉ふくの死後、新原 敏三の後妻となり、1904 龍之介(12)を芥川家に養子縁組。
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♀芥川 儔(とも)龍之介の養母 1857‥‥ 東京 19370514 81 /養父・道章はふくの実兄
/龍之介(生後9ヶ月)を引取り、12歳の時、正式に養子とする。
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♀芥川 富貴(ふき)龍之介の伯母 1856‥‥ 東京 19370814 82 /道章の妹
/芥川家は代々、江戸城のお数寄屋坊主を務め、文人趣味を好んだ。
芸術的素質にあふれ、しばしばヒステリーを起こし、情緒的に偏りがあった。
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 芥川 道章   龍之介の養父 1849‥‥ 東京 19280626 79 /新原 ふくの兄/公務員/誤=道草
/第一回河童忌(0624の翌々日)
 芥川 道徳  新原 フクの兄  18‥‥‥ 東京 189106‥ ? /急死
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♀芥川 初子(ハツ)フクの長女 1885‥‥ 東京 18910405  6 /脳膜炎で急逝
♀芥川 久子(ひさ)フクの二女 1888‥‥ 東京 1956‥‥ 68 /
/1908 葛巻 義定と結婚(一男一女の母)1910 離婚/1916 西川 豊と再婚(一男一女の母)
/西川 豊と芥川 久子の長女・瑠璃子が後に芥川の長男・比呂志の妻となる
/北海道に移住した葛巻と復縁(西川の子を連れて)
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 西川 豊   龍之介の義兄  1885‥‥ 滋賀 19270106 41 /鉄道自殺(自宅放火容疑)
/ヒサの後夫(一男一女の父)明大法科卒/弁護士(偽証教唆罪で失権。市ヶ谷刑務所に収監)
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 葛巻 義定 獣医 ひさの夫  18‥‥‥ 東京 19‥‥‥ ? /1908 結婚 1910 離婚 19.. 復縁
 葛巻 義敏    ひさの子  191008.. 東京 19851216 75 /龍之介のいとこ/作家、文芸評論
 新原 得二    ふゆの子  189907‥ 東京 1930‥‥ 31 /敏三&ふゆの子/龍之介の義弟
♀新原 つる    得二の妻  19‥‥‥ 東京 19‥‥‥ ? /直次郎の娘

  
 ◆ 龍之介をめぐる女たち
 

♀吉田 弥生     1892‥‥ 東京 19‥‥‥ ? /陸軍砲兵中尉・金田一光男と結婚
/龍之介の初恋の相手/青山女子学院英文学科卒
/弥生の養父と龍之介の実父とが顔見知りで、聡明だったが士族の出で
なく、出生(私生児)に、伯母ふきが反対。
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♀芥川 文(ふみ)  19000708 長崎 19680911 68 /龍之介の未亡人“文ちゃん”文子。
/旧姓=塚本/龍之介の親友=山本 喜誉司の姪(母の弟)/19180202(17)結婚(龍之介26)。
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♀秀 しげ子“H女” 1890‥‥ 長野 19‥‥‥ ? /歌人/日本女子大学校家政学部卒
/19190610 岩野 泡鳴の「十日会」で出会う/旧姓=小滝/電気技師の妻(一児の母)
“愁人”と呼び親しく交わったが、次第に嫌悪感を抱く。
《或阿呆の一生》の“狂人の娘”、《歯車》の“復讐の神”として登場。
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♀松村 みね子  翻訳 18780210 東京 19570319 79 /短歌/籍=片山 廣子(広子、ひろ子)
/銀行家の妻“M夫人”/佐々木 信綱に師事/アイルランド文学翻訳(18780210-18920301)
/1924年の夏、軽井沢で出会う(プラトニック)
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♀平松 麻素子“M女”1899‥ca 東京 195701‥ 58 /19270407帝国ホテルで心中未遂
/文子(龍之介の妻)より二、三歳年上の長年の友人
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♀佐野 花子  歌人 1895‥‥ 東京 1961‥‥ 66 /横須賀海軍機関学校の物理学教授の妻
♀野々口 豊子 女将 18‥‥‥ 京都 19‥‥‥ ? /料亭(鎌倉小町園)/光之助の妻

 
 ◆ 末裔
 

 芥川 比呂志 龍之介の長男 19200330 東京 19811028 61 /俳優/異0410籍0331〜《ハムレット》
♀芥川 瑠璃子 比呂志の妻  19160921 東京 20070801 90 /19371224(21)結婚/葛巻家の養女/随筆〜回想記《双影/影燈籠》
♀芥川 耿子  比呂志の三女 194503‥ 神奈川      /(てるこ)エッセイ〜《素顔の父》
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 芥川 多加志 龍之介の二男 192211‥ 東京 19450412 22 /戦死/192208‥/中井 英夫の幼友達
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 芥川 也寸志 龍之介の三男 19250712 東京 19890131 63 /作曲〜《赤穂浪士》
── 芥川 也寸志《音楽の基礎 19710831 岩波新書》
♀芥川 紗織  也寸志の妻  1924‥‥ 愛知 1966‥‥ 42 /旧姓=山田/別名=間所 紗織
/声楽・画家/194802‥ 別居結婚195704‥協議離婚「作曲家と声楽家は同じ家に住めない」
♀芥川 麻美子  タレント  19480712 東京  /也寸志&紗織の長女/父と同日生
/龍之介の孫〜《芥川龍之介あれこれ思う孫娘より 1977‥‥ サンケイ出版》
♀芥川 由美子        195502‥ 東京  /也寸志の次女/龍之介の孫
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♀草笛 光子   女優    19331022 神奈川 /芥川 也寸志の後妻/籍=栗田/冨田 恵子の姉
♀芥川 □□   貴之志の母 19‥‥‥ ‥‥  /也寸志の3番目の妻
 芥川 貴之志  Editor   1973‥‥ 神奈川 /也寸志の3番目の妻の子
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 芥川 隆行   声優    19190306 東京 19901002 71 /アナウンサー/TBS/ナレーター

 
 ◆ 友人・同期生
 

 恒藤 恭    法哲学   18881203 島根 19671102 78 /旧姓=井川 精一の次男
/191307.. 一高首席卒業(芥川は次席)/瀧川事件で京都帝大法学部を辞任/大阪市立大学初代学長
 恒藤 □□   恭の長男  191,‥‥ 東京 19200702 ? /夭折
 恒藤 武二   恭の次男  1921‥‥ 東京       /法哲学・労働法/同志社大法学部教授
── 恒藤 武二《近代法思想の展開 1981.... 還暦祝賀論文集》
 恒藤 敏彦   恭の三男  19300510 京都       /物理学/京都大学教授
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♀岡本 かの子(カノ)作家  18890301 東京 19390218 49 /一平の妻/太郎の母
 倉田 百三   劇作/評論 18910223 広島 19430212 51 /〜《出家とその弟子》
 石田 幹之助  歴史学   18911228 千葉 19740525 62 /国学院教授
 西川 英次郎  農芸化学  1892‥‥ 東京 1988‥‥ 96 /東大農科卒/三中首席(芥川は二番)
 山本 喜誉司  農芸化学  1893‥‥ 長崎 19630731 70 /芥川 文の末弟/三中同期生/東山農場支配人

 
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 ◆ 姓名・検索(龍之介 vs 竜之介)
 
── 茂索は他から「佐々木」と書かれるのを極端に嫌っていた。これ
は菊池寛が「菊地」、芥川が「竜之介」と書かれるのを忌んだと同様で
ある。
── 松本 清張《形影 〜 菊池 寛と佐佐木 茂索 〜 19870310 文春文庫》P153
 
http://homepage2.nifty.com/snowwolf/nen.htm
 芥川龍之介年譜
 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19970410
 黛家の人々 〜 二人のりんたろう 〜
 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20010517
 麿は磨ちがい団ちがい 〜 團家の人々 〜(草稿)
 
(20050315-20070501-20081015)(20100312)
 


1927年07月10日(日)  岩波文化 〜 華麗なる人脈 〜

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19270710
 
 岩波茂雄(32)が夏目漱石(46)に「出版事業を始めたい」といった。
 漱石が「なるほど」と応じると「まずは、先生の作品を出したい」と
いった。漱石が「いいとも」と答えると、さらに茂雄は膝を乗りだした。
 
 「ついては、先生に資本を出していただきたいのです」
 要するに、漱石のフンドシを借りて、岩波書店は開業したのである。
 漱石は、装丁など一切に関与し、死後に全集が完成された。
 


 那珂 通世  東洋史学   18510206 盛岡    19080302 57 /嘉永 4.0106/藤村 操の叔父
 杉浦 重剛  国粋主義   18550419 近江    19240213 68 /安政 2.0303/
 夏目 漱石  作家     18670209 江戸 東京  19161209 49 /慶応 3.0105
♀夏目 キヨ (鏡or鏡子)  18770721 広島 東京  19630418 85 /漱石の妻
 岩波 茂雄  岩波書店創業 18810827 諏訪 東京  19460425 66 /
 藤村 操  第一高等学校生 188607‥ 北海道 栃木 19030522 17 /華厳滝投身〜《巌頭之感》
♀美濃部 多美子 達吉の妻  189.‥‥ 東京           /菊池 大麓の長女/1903結婚
 三木 清   哲学     18970105 兵庫 東京  19450926 48 /1922-1925ドイツ留学
 岩波 雄二郎 岩波書店会長 19190625 神奈川   20070103 87 /茂雄の次男

 
── 1901年、杉浦重剛を慕い第一高等学校に入学する。藤村操の自殺
に影響を受け落第、試験放棄のため除名中退処分となる。再起して1905
年東京帝国大学哲学科選科に入学。この頃には内村鑑三の影響を受け、
1906年に結婚。神田高等女学校(現在の神田女学園)に奉職するも教師
としての自信喪失し退職。1913年(大正2年)、神田区南神保町に古本
業岩波書店を開く。── (Wikipedia)
 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20070728
 問題児諸君! 〜 怒れる若者たち 〜
http://q.hatena.ne.jp/1185657702
 
── 打ちゃって置くと巌頭の吟でも書いて華厳滝から飛び込むかも知
れない。── 夏目 漱石《吾輩は猫である(十)190. ホトトギス》
 
19130805 神田神保町に古書店を開業(正札販売方)
19140920 夏目 漱石《こゝろ》処女出版
19161209 夏目 漱石(49)死去
 
19171209 《夏目漱石全集》刊行開始
19270710 岩波文庫 創刊/三木 清・代筆《読書子に寄す》誤=192712‥
19270724 芥川 龍之介(36)自殺
 
19271130 《芥川龍之介全集》刊行開始
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19270724
 芥川家の人々
 
19381120 岩波新書 創刊
19670710 岩波文庫 創刊40周年(毎日デザイン賞・参加)
19770710 岩波文庫 創刊50周年
 
19870710 岩波文庫 創刊60周年(古典葉脈&清張紙碑・草案)
19881120 岩波新書 創刊50周年
── 梅棹 忠夫・編《私の知的生産の技術 19881121 岩波新書》
 
http://www.iwanami.co.jp/museum/chronicle/index.html
 2003年の創業90年記念、ネット上の年表として作成したものです。
 
(20081025)
 


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