『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2005年08月31日(水) うわごと

空が白くなる

うすうすと目がさめて

しにたいあたしがあたしのなかを
あばれていた

……もういやだがかけめぐるとき。

気を緩めたらのっとられると
歯を、くいしばって
外へとはいずりでていくのだ
ひとかわむいたらどうしてそんなに
はりきっているの、乱暴もののきみは。

夜に不安で眠れない日
ひるまに眠るは呵責、自己嫌悪

白い朝
白いひるま

しにたいとしにたいともらして
でも、だれにも聞こえないで
ふらふらな体を支えて外へ出て
笑ってみせた

ねむるのはこわかった
ひそんでいるアイツがあたしを喰おうと
まってる、、、

倒れるまで目を覚ましつづけていようと
それくらいしか、思いつける対処がない

31日、朝
今日で八月も終わり
ねえ苦しいよと誰にともなく訴え
訴えを押しつぶすように
意識をたたきなおして、ひるまの住人に
加わろうと。する。

ねえ、でも、、、、、、くるしい、くるしいよ



2005年08月29日(月) M→M

半月くらい前からたのしみにしていた予定、を
その日その時間になってやっぱりだめだとあきらめなくちゃいけないのは
とても、くだける。
そういうことが立てつづけに何回も続くとなんだか
自分のことをあきらめてしまいそうになる。

ほんとうは、それじゃいけないような気もするんだけど。

ごはんを食べて今日の精一杯で
予定をあきらめて
寝ているとぜんぶが終わっている。
みたかった映画もすべて。

録画したいとか録画してほしいとか
それを口に出す余剰分もなかったので
ただひたすら横たわっていたのだけど
ふりかえると
やっぱり

かなしくてさみしい。

・・・・・・・・・・

きのうはじめてあのひとに電話をした。
取り次いでくれたヒトはとても業務的というか
居丈高な雰囲気のするおんなのひとだった。
味方ではないと咄嗟にムイシキが判断して
敵対、の姿勢をとってしまうのもしかたないのかも知れない。

つながった電話線、次はない、かも知れないけれど
はじめてきいたあのひとの声はとてもやわらかくて
かわいらしい。高校の友達のことをひどく連想させられて
内心、少しばかりわたしは動揺してしまった。
Mちゃんは元気でいるんだろうか。
このあいだ連絡をとったのはいつだろう。

高校の友達との、つながり。
自分でつくった人生の空白のなかで取り落としてきてしまい
いまだ、取り戻せていないもののうちの、ひとつだ。
自分のことに連綿とかまけているあいだに
ばらばらにしてしまったもの。途切れてしまったもの。
送信先不明のメールアドレスとか、引っ越してしまった下宿とか
気がつくと、「かけがえのない」と思っていたものが
のこっていなかった瞬間。

あの子の運転する小さな白い車で
ふたりで田んぼの中を走ったりケーキを食べにいったり
大騒ぎして大きなかぼちゃを食べ尽くしたりした。
母校の体育祭をふたりだけで見に行ったりもした。
そういう思い出のいくつかもいっしょに
価値ナシ、のフォルダによりわけてしまったような気がして
わたしは、わたしに動揺する。

こんなはずで生きていきたいわけでは、なかったのに。

吊り上げる理由が
うまくみつからないで
がりがりになった
手を見つめる。

もし会えたとしても痛くてつなげないし
ハグしてもらってもやわらかさよりも
つらさを感じるだろう。

……なんだかはてしなく暗い。

日が暮れるのがとても早くなった
6時半に暗くなってしまった窓の外
夕暮れをみつめるまで
もう少しかかるんだろうか

スキンケアのエネルギーがたまったら
おふろにはいりましょう
それだけはあきらめないで
自分に課しましょう、、、


8月29日、夜



2005年08月28日(日) サイクル

発熱と痛みですよ
またですよ、、、
このトゲトゲしたよな痛みには慣れないけれど
くりかえしには慣れてきました……
うん、たぶん
ホルモン分泌とかのいろいろだと思うのです
この、月二回の落下というのは……たぶん。

なにごとにも反応しやすいので少し大切に
くるまるようにして座り込むいちにちふつか、みっか、
ほんとうはずっと眠れたらいいんだけども
睡眠に投げ込んでもらえるだけの疲労がたまってないのだ
痒みと痛みでねむれませんよ
長袖のシャツとパジャマのずぼん。

・・・・・・・・・・

さらりと云われた「イカレた皮膚」。
ひどいとは思わないけれどすこし悲しかったかな、
たしかにわたしは若干イカレているけれども
外を歩けば病気だとひとめでわかってしまうくらいではあるけれど
ひさしぶりに投げやりな一言が刺さったまんまだなあ、
苦笑。
アレルギーな女の子はキレイじゃない、なんか
云われなくてもよおくわかっているので
さらさらと笑わないでください、できれば
見てもいいから
笑わないでください。

……リストカットの傷痕を隠すためには長袖しか着られないと
まるで顕示するように言い合うひとたちをみて、思う。
キズアトじゃなくても長袖を着るヒトはたくさんいるよ、
そんなに、、、特別感のあることでは、ないよ。

……そんなそんな、自己弁護のような意識だった。

見せたいなら見せてもかまわないんだけどなあ。
あたしは自分で見るのが嫌だし風も冷房もひかりも痛いので
傷むので、、、ただ露出度のかぎりなくひくい服を着ます。
外から肌を覆うやわらかい布いちまい、
Tシャツを着ないからと非難した人もいたけど
それでよいと思っています。

あたらしいパジャマ、買おうかな。

・・・・・・・・・・

HPをあたらしくしました
8月27日だったから、
宮澤賢治的誕生日。
かたかたと打つ羅列みたいなタグのあらしで
できあがる、なんだかキレイな白い画面。
URLは前と変わっていません。

よかったら、きてね、と
つぶやいておしまい。


8月28日、夕刻



2005年08月26日(金) 電池

なんだか、切れちゃったみたい
あたしの電池。

台風はきちんと雨風を叩きつけ
きちんと去ってゆき
ぐんぐんと気温があがっていきます

さみしいをかんじなくなり
揺れる家にふるえ
死体になったような気分で
目がさめて、自分のからだが持ち上がらないで
ああたすけてと誰にともなく
言うすきまが、みつからない

しにたいしにたいしにたいとくりかえすので
しっかりしなさいコノヤロウ、と

元気になれそうなことを思い浮かべるのですが
思い浮かべると、疲れてしまう
なにがみたかったのだろう
なにがよみたかったのだろう
なにがたべたかったのだろう

台風一過のすっきりとした(だろう)空に
クラリネットの練習の音がひびいて
それがあんまりきらきらひかるので

体を支える筋肉がどこかにすいこまれて消えちゃったみたい

朝……。

しずかにながいことねむりたい。



2005年08月25日(木) ひかりのあめ

夜半の雨は
まるで激情をほとばしらせるようにそこらじゅうを叩くから
家中をかけまわってガラス戸をしめる
ぱしり、ぱしり、と
はねあげていく鍵でなにを締め出したかったのだろう
なにから隔たりたかったのだろう

ジェットコースターの轟音で
あがった嬌声
落下していくのとおなじだけの速さで
ぼくがぼくを、忘れる

おなじようにあなたもぼくを忘れ
はやく遠くに行ったらいいのに
ただしく、あるべきだった場所に
知り合わなくてもよかったはずの距離に
ひとしく
からだを並べて

ラベンダー、レモングラス、ローズヒップ、
R、L、R、
枕もとに並べようとした
その手でぜんぶ薙ぎ倒す

髪の毛をなぜる手なんてほんとうはなかったと
きちんと知ってはいた
ただ少しだけ夢を
みたかっただけだよ

いちにさんで目をさます
大きな風にさらわれる
臆病なまぶたは知らないことになさい
きちんとその角をまがるには置いていかなければいけない
さまざまな荷物の選別を
玩具をかたづけるように
はじめて

・・・・・・・・・・

「どうしてごはんを食べなくてはならないのかさっぱりわからない」

「どうしていきていかなくちゃいけないのかも」

どんなに消極的な理由でもよいので
あした、ぼくが、存在しても
かまわないと結論付けてほしかった
ぼくのなかの、誰か知らない確固たる動物に

首を締めたらくるしかったので
からだは生きていきたいと言っているのだとおもう
傷口はあかくふさがってゆくので
それでも修復はすすんでゆくのだとおもう

がんばれ、

と念じて、でも。

くるしいをしめださないでと
うっかりなあたしが望んでしまったので
くるしいことに
気がついてしまった

あしたの風。

あしたのひかり。

きれいとたのしいとうれしいがわからない。

泣きかけて日も暮れかけてから外へ出て行く
一週間に一度はなんでもよいから外へ行こう、と
ちいさな約束をしたの、自分だけと。
誉めたりけなしたりされないところで。
ぎしぎしと歯が鳴って、元気を出そうとのんでみたミルクティは
錆びたみたいな味がした。泣きたくて泣かない。

はちがつのおわり
やくそくはいらない


25日、深夜



2005年08月23日(火) shower

落ち着けないのがきちんと災いして
状態がわるくなっているのがわかる、、、一日です
つまんないね、しかたがないね、なんて
言いたくなかったね
熱すぎたシャワー、あらゆる刺激、
隔てたくて隔てたくて、それなのに
あたまから被ってた

シンプルになるのを拒否する事情
そんなものないと力づよく言うには
少しばかりおかしなもの、見すぎた

とおくでひびくような雷を感じていたら
雨になった、たくさんたくさんの雨だ
スコール、シャワー、
いろいろな音

夜の雨
たくさんの雨

だれかがここにいたらいいのにと思うのは
どうしてなんだろう、足りないのはぬくもりですか。
それとも少し違う気がした
夢の中でくらいしか得られないハグにてもらうみちたりた波。
目がさめて、これからを思って、気落ちして、そうして
また立ち上がりはじまる。

雨がふってきましたと言い届けるひまもなく
通りすぎてしまう。

あいのことば。

………23日、変更線。

浮浪する意識がくるしいといえなかった
かなしみを止める処置をする
ごめんなさい
ほんとうはもっとぼろぼろになれば、、、なるくらいで
ちょうどいいのに

赤いマジックでへたくそに線を引く、ゆがんだ線をひく

きっともうすぐ夜があけて
朝が来るんだ
あたしが似合わないきれいなあかるい
朝がくるんだ



2005年08月21日(日) runa runa

つかまえてはなしてくれないあいつが来た。

「もし、あなたが、ぽっかりと消えていても、あたしはそれをわからない。」

音信がとだえるということから
ふとひきずられて出てくる「ふあんしょう」。
……どうしてそんなことをいつも
頭の片隅に留めておきながら
くらしていかなくちゃならなく
なってしまったのだろう。

カレンダーをみたら今日のところは満月のしるし。
あかるい白、が
部屋のなかまでまっすぐにくる。
夜はきらいできらいできらいで、好きだよ。

テレビをみたら力を使い果たしてしまったから
目盛りがゆっくり上がっていくみたいに
じっとしながら自分の中に
溜まってくのを待っていて
ふと
別のものが巨大になる
むくむくとふくれあがってあたしを超える

・・・・・・・・・・

昨日のこと
ふらふらと知らない人の日記をジャンプしながら読んでいて
自分と同じ病気(少なくともひとつは)を
持っているひとの日記をみつけた
いろいろ考えていろいろ試して
私とはちがう道を選んだひとの毎日のこと。

もしかしたらお薬を使わないほうが絶対的に偉いのだと
考えている自分を見つけてちょっと、、、へこんだ
病院などにゆくから余計に病気を深めるのだと
そういう意味合いの言葉でたくさんの人からもらった叱咤激励。
つらかったけど、正しさを感じていました。
それじゃ生きていけないかもしれないと思うことがきっと
世界に適応できてないことなんだろうと思って
部屋の隅でまるくなって

けど、偉くなくても
あたしはあたしと付き合っていかないとならないのは
たしかだ……から

たくさんの道や方法や事情があるということを
ひとに言うのと自分に言うのとでは
世界が違うくらいに言葉が違った。

自分で自分を釣り上げる
こわいのはきっと消えるよ
だいじょうぶだよ

………21日、変更線。呟きみたいに説得。

・・・・・・・・・・

ルナ、ルナ、
寝苦しい夜、居るのが苦しいところ
傷だらけのあちこちと血が残るシーツです
とりかえたばかりの真っ白なシーツに
あれこれ残されていく体液のこと
(でもそれも、あたし)

座っているにもどうにもならなくて
アイスノンをかかえて眠った午後
湿気が立ちのぼっていって
鼻と口と皮膚をふさいだ、ああ、しみるな

集中できていない、ということだけわかった
目の前を通りすぎていく色んなものと
手に触れている、色んなものと
食べることにも、ものを書くことにも、眠ることにも
お薬を塗ることにも、、、ピントがずれて集中できない
おろそかに、手荒に
いつもそわそわとした気持ちに逸りながら
まるでこの先になにか大切な約束でもあるかのように
あさっての方向ばかりまなこが見ている。
手荒に塗るおくすりはあんまりケアの意味がないよ。
わかってるのに。

手帳に書いたエンピツの文字はかたちがくずれて
何を書いたのか、自分でもよく、わからなくて

今どこにいるのか
これがなんなのか
つかむことができないで
ここでもまた、集中できないで

……うまく、言えない

中心がすぱんと抜かれたまま周囲の気の向くままに
飛ばされながらへらへらとしているような
そんな印象

わらうということのうらがわに
うれしいとかたのしいという感情が
ないような気がして
それでも、笑っています

どうせなら自分も騙すくらいの気合で笑えればいい


8月21日、夜



2005年08月19日(金)

何がある、というわけでもない(筈な)のに
ぱたぱたと印象ばかりが目まぐるしくて
きのうなんてまるで四日くらいあったような気がして、、、
よくわかりません。

いいときと悪いときの落差がすごく激しく
いいとき、は働かないなんて詐欺じゃないか?と
お仕事を探してみようとするくらいには元気で
悪いとき、は
ほとんどなにをやっているかさっぱり……
泣きじゃくったり、奇行に走らずとも
メールも手紙も日記もかけないで座っているくらい。
まっしろな画面やまっしろな紙面がただあたまのなかにつきささるくらい。

文章を書くことをとりのぞいたら
あとには何が残るのかなあというと
あんまり残るものがない感じがするので
そういうのは、ちょっと、かなしいなと
まとわりつく感情をふりはらう

・・・・・・・・・・

きのう。

映画館のある場所に立ち寄ったけれど映画はみず
雑貨屋さんをみたけれど、なにも買わず
お洋服がみんな大きいのだなあと思っておどろき
日傘でただ、てくてくと歩いてゆくばかりの夕方

なんとなく歩いていたら公園があって
ぶらんこがありました
好きだったなあと思って
腰かけてみました
ついでにゆらゆらこいでみる。

上をみたら空がとてもあおかった。

カメラをもって見あげていた
なんだかなつかしいような小さな風景

・・・・・・・・・・

今日の空もとてもあおい。

なんとなくほとんど
眠っていました
気合で身体を起こしてきて、ぼんやり
おくすりと牛乳を飲んだりする

腕にかかえた洗濯物がほかほかと熱くて
きみにつたえられることばがおもいうかばない


8月19日、夕刻



2005年08月18日(木) 気配→発作→檸檬

不安さんが、せなかにそっと乗る
ふりむいても見えない、ただそっと乗っている

こわい。

背中側にひらいているだろう虚空に
まねいているはんぱな笑顔でおいで、と
にまあ、と笑んで
ぱっくりと大きな口をひらいて、おいで、と。

こわい。

………ふりはらえないで
消せないで

だれかか背中側からぎゅうっと
すきまなしに抱いてくれたらいいのに

弱々しい対処
ありえない対処

・・・・・・・・・・

不安発作に喰われた
ねむるのがくすり?

小さなキズアトを彫るような夢をたくさんみて
あかるいあさ
起き上がることができなくなっていたこと
渇ききった喉がいたんだこと
ぼろぼろとこぼれていくしらふのうわごと
なにを言ったのやら、もう、覚えてなくて

「コンナニフアンテイナノミタコトナイ」

……そう?

「イッショニビョウインニイコウ」

………そうなの?

・・・・・・・・・・

自覚なしにつきすすんでいくから
すこしこわいらしくて
なんとか座らせてもらってグレープフルーツジュースを
飲ませてもらったような、喉にしみるぬるい酸味
おくすりをなげこんでうまく眠れるように祈る暇もなくて
another、と名づけたいくらいに
浮きあがって不自然に別人みたいだった朝

うん、まるで、「りっぱな病気みたい」に。

いまだに自分がなんなのかよくわからなくて
欝、という単語がひとの口から出てくるたびに
おかしなこころもちがします
あたしそんなにたいしたものだったろうか

・・・・・・・・・・

ながいこと、窓から部屋のふちをかすめていたひざし
もう堂々となかに入り込んで枕もとちかくで遊んでいる
あかるいね、あついね
せみが鳴いている
頭の上を
戦闘機がかっとんでいく
米軍基地めざして、いくつも、くりかえし

きくたび、きょうは、なにがあるんだろう、って
奥底のほうで危ぶみ不安になるような、轟音
生まれてからずっと同じような場所に住んでいるけれど
これだけは、慣れることができない、「生活音」。

ともだちと二人で
詩のサイト、をつくろうかという話があって
それから会うかもしれないひとがいて
そのことを思い出すと、あ、まだ生きていくんだと思う
不確定未来だけど、ほんのぽっちり
約束をもっている。スケジュールではなく約束。
すごく大事な子からとどいた手紙の文字の残像とか
ぐじゃりん、となぜか急にヴェールを剥がされてつぶれたとき
とびだそうとする足首を、だけどきちんとつかまえている

きのうの月
すこしまるくふくらんだ
白いれもんだった
ひややかにあたたかい
なつかしい、シャーベットの色

ひいやりとして
なにかを
洗ってくれるような
しゅわしゅわの白

re-fresh

おいしいれもん、さがしに行こうか


8月18日、変更線→正午



2005年08月15日(月) 楽園、ナツノオワリ

昨日から秋、
部屋のなかにたまる熱気をせんぷうきで追い出す。
外は風、

とおくから雷がごろごろと響いて
地面をころがってくるようだと思う

気がついたらあれこれ骨が出ておりました
肩とか、ろっこつとか、肘とか……
基本的に筋肉がなってないので
体重があってもへんなところだけ太ったり痩せている
とりあえず背筋をのばしましょう

「しゃんとする」

雨がくるのを待っています

・・・・・・・・・・

ぐるぐるまわる思考のさいごに
ふりかかってきた音楽を口ずさんだ

 ぼくはたたかう、かたちのないものと
 きみのためだけ、たたかう

 工場の煙も瓦礫もみかたなのに
 ひとの思惑から逃げられないきみの気持ち
 おなじ夢をみたねきみが呼んでる
 どの時計よりきれいなさかながひかる 海で

 (新居昭乃、ガレキの楽園)

力づよい錯覚といえるくらいに強い
きみにささぐあいのうただ。
少女が少女を思うとき、
根拠なくただ好きだからきみのためにぼくは
お姫様を守る騎士になる。少年じゃないから、あえて。

たたかうのかな。
たたかえるのかな。
立ち上がって、ただ
地面を踏みしめて目を燃やすというだけの
たたかい。

・・・・・・・・・・

ときどき電話の音がして
ときどき視界のなかを
黒いものが横切って
それはみんな、みんなほんとうはないものだから

リアルはどれかなと
たびたび思った

夢をみる
夢の中でぽっかりとあのひとが消えていた
目がさめてからしばらく不安がやまなかった
どっちがどっちかわからないといっしょに
ほんとうに捨てられたかもしれないという感覚を
消せないで、打ち消せるには足りないそこらへんの手ざわり
少しだけまた重ねられて強化された不安の気配

ねえほんとうにほんとう?

こうしてときどき、夢に喰われる
こころだけ泣きじゃくる
ばかだなと笑い飛ばしてもいいよ
ほんとばかだよねえと笑い話に
してみせるから

・・・・・・・・・・

落下する夕方、うす青く落ちかかる闇
みんな、あんなふうに
しずかな夕暮れだったらいいのにと思う

……混乱のたびはさむ小休止です
あんまり多いのであんまり大したことができません
でも今日は
ささやかに世界が生まれかわった日は

あたしは目をさましていようと思った。


8月15日、夕刻



2005年08月14日(日) ゆきば

わたしはいつかあのひとに会えるのかな

……不安なのはそんな疑問でした。

おぼつかなくて
かわるがわる
おびやかしては隠れ
消えはせず

……。

フル回転して止まらない頭で
凝縮して考えすぎながら一日凍ってた
ごはん食べるのを忘れて
いろんなことを落として
腕が真っ赤になっていく

このままではいけない。

振り落とすために浴びるたくさんの水、

だれか
あのひとを
助けてあげてください


8月14日、早朝



2005年08月12日(金) down

もうなんといっていいのかわからない

あたたかいお湯
やわらかい毛布
ちいさな薬のかけら

守って

依りかかってばかりですねと思う
くちびるは、わらうことを忘れたようだ

くだらなき破滅的な方角はまっすぐまっすぐ
あたしを指さして、どんな顔をしている

・・・・・・・・・・

気がついたら受話器を持っているから
いけないと思って腕をおさえるのだった
真夜中も過ぎたころに
つごうあって目をさましてひとをほしがった

つながってもいいということや
侵犯してもかまわないという理由は
わからないし、みつけられない

一本のペンをとりおとすよな無力はどこからきたか
一羽の鶴をおるために何度も休まなければいけなかったときを
思い出す。もう過去の話だと実感したのはついこの間なのに
かぎりなく、似ている

大好きなはずのクラッカーに味がしなくて
もしかして泣いてもいいのかもしれないと
思いながら、がりがりと齧る
摂取カロリー320、、、ねえもういいことにしてもいい

なかせてくれるひとが恋しかった
それがだれなのかわからなかった

・・・・・・・・・・

思い浮かべることを
行動にうつせない日だったから
今日はなにもなかった
ほんとうになにもなかった
頓服と名前のついた安定剤に何度かたより
そして半時間後ほっと息をする

くりかえし

明日こそと、それでも思う
あしたこそ

せめてひとつくらいのこしたかったからことばをかきます
呂律がまわらないのも知っているけれどことばをかきます
でもよきものなんかではなく
ごめんなさい
ものすごく大きな傷やたくさんのおくすりや紐や
そんなものがおいでおいでと手招きしているようで
こわいです、、、目をそらして早く
見えないものになってください
お願い


8月12日、夜



2005年08月11日(木) グレイ・ゾーン

お日さまが出ず、風も吹かず、雨にもならない
くもりは好きなのになぜか重苦しい日に

今日はねこも来なかった
きっと
どこか涼しいところをさがして
ひっそりとまるくなって
(あるいはのびをして)
やりすごしているにちがいない
この熱気のこもった
おかしな空の下

向こうのほうのうちで威嚇しまくる猫の声がきこえるので
カレーを食べながらお風呂場の窓からのぞいてみると
ぶちのついた白いねこがどんがらどんがらと
威勢よく喧嘩をやらかしはじめたところだった
のらねこライフ

相手がめろん(私がつけたねこの名前)でないといいなと
勝手なことを考える夕方。

おふとんにはりつきたいからだに
えい、と活を入れてサンダルをはくと
硬いでこぼこが足の裏に痛く
ふうっと上げた目線の先には
紅色と白のさるすべりがなかよく並んでふわふわ花を
さかせていた。すぐそこにある二本の木、

今までなにを見ていたんだろうとふしぎになった。

さくさくと音を立てて
レモンの味のかき氷を食べる。
どうやら今日はなにも書けずなにも読めなくて
一日が長い。うまく眠れない日は時間がのんびり
ゆっくりと過ぎていく。
お風呂とスキンケアと投薬のために生きているような気がする。
そんなのも、へん。
首が痛むのでタオルを巻きつけてしのいでいたのだけど
ふいにそれをぎゅうっと締める気になった。
こんなのは、へん。

口内炎が頭痛が耳鳴りがとなんとかなんとか
こまごました不調をいちいち認める必要はないんだけれど
いっせいに現れた不調プラス、舌が回らなくなり
奥に下がってしまうような吐き気のような感覚は
たぶん本当の苦しいのサインなので……
頓服、ともらってきた安定剤をのんで
おふとんをかかえてまるくなってみた。
黙って、しゃべらず、エネルギーを放たず
さびしいけど
そんな日もあります。

きいてくれるかな。

明日はあした、
どんな日か
どんな日にできるか

手紙が書けたら郵便局に出しにゆこうと決めていて
まとまらない頭が少しもどかしいここ数日です。
字を書いたり、便箋を選んだりするのにも
決断力はいるのだなあと思うときです。


8月11日、夜



2005年08月10日(水) しおん

ふと、とまったバス停をみるともなく見ていたら
標識のとなりのコンクリ柱は
ふはり
と帽子をかむっていた

きなりの色のやわらかそうな帽子だったから
それを被せた手が
かすめていた思いのことをぼくは思わず考えてしまった

思い出すのは
フェンスに結びつけた小さいタオル
雪とけたのち
アスファルトにはりついた片手袋
ひらがなで名前の刻まれた名札は
チューリップをかたどったあかるい桃色で
誰かが踏んづけてしまったのか
茎のところがわずかだけねじれてまがっていた

拾い上げてしまったもの
うかつにも
手のひらに握ってしまったもの
もういちど捨ててしまうのをためらったなら
こまごまとした誰かのがらくたがいつか
手元に集っていく

一度投げられたものを忘れられたものを
もういちど、忘れ投げるということについて
ちいさなちいさな
躊躇と迷いと
あるはずもない意識についてかなしみを思って
たくさんのものに触れて

ふはり、
とそのやわらかそうな布きれが手をはなれて
誰のものでもないものに戻ったとき
あなたは、どんな顔をして
そのあっけらかんとした自由さをみたんだろう

・・・・・・・・・・

病院に行ってみました
お盆前で
たくさん人のつめかけているところでした
やあ出て行くぞというときになってつまづいたいくつかのものを
頭からふりはらってまっとうにドアを開けて行けなかったものだから
受付には間に合わず。きろり、とこちらをむいたいくつかの目と気配に
圧倒されて縮こまってUターンしたくなるのだった。
ひりひりする身体なのでうれしいようなうれしくないような
あいまいな心持ちにて。お薬だけもらって帰る。

外に出ていくと自分の機能が
あまりうまく動いていないということを
少しずつわからされなくちゃいけないみたいで
ああ、と思うんだった、ああ。
底辺を這うみたいに地上を移動してゆくのですが
それでも、場所をとりすぎているような気がします
ひるがえるスカートの裾のベージュ色が
黒色がらすに足元だけ映ってこっちを見ていました。

・・・・・・・・・・

からっぽ以上にからっぽの頭は
なにも生み出さないで、ただ
叶えられない望みばかりいっしょうけんめいに
周囲に押しつけようとする
もう、少しその熱を下げて黙ってもらうにはどうしたらよいんだろうと
マンゴージュースを手にぼくが思い
思いながら投げ出だし
すっかりとけてしまった氷が
黒いテーブルの上、まあるく水たまりをつくった

うん、墜落すれすれの低空飛行
すきまがないところにぎゅっとこいつを
押し隠してやっといてよ
見えないように

ふりむいたうしろには
色鮮やかな盆花がたくさん
つきささってひらいていました

外は、背もたれのない椅子で
あまやかな嘘を投げかけたきみを
見つけることができないで
しゃっきりと立てない野の花になれない

重たすぎる、とひとこと言って次が続かないから
もう探すのはやめにしてあたたかいお茶に氷でもうかべよう


8月10日、夜



2005年08月09日(火) Autumn Snow

埃のようにふりつもれ
あらゆる白のかけら
くだかれて
四隅から視界をうめてゆく

ぼくなんて無力でしかなかったと
降ってくる白い灰のなか
そらを見あげた、放りだした足もみえなくなるだろう
ゆっくりと伸びてゆく髪の毛の黒さが
下のほうでうごめいた

「かぎりなく恋に似てきみに焦がれた」

八月の雪
ぼくはキミの不在
くりかえされる
空白をみつめる

・・・・・・・・・・

圧倒的なかなしみや、死や、破壊や、
そんなものが量産されていることに慣れたらいけないと思う
その感覚がもしマトモじゃないならマトモじゃないままぼくは
生きようとおもった、あのときどうして自分じゃなくあのひとが
消えなくちゃいけなかったのかと同じ問をくりかえす
こころをねじふせても存在しなければいけないときはあるんだよって
それもきっと、、、きみには届かない

とどかないとどかないとどかない
床を殴りつけたい腕はそのままきみを抱擁したく
出会えないことにただ
かなしんだくうはく

・・・・・・・・・・

電池切れのようにねむるのですが
めをさましたらまた助走なしで走るよで
そんなに走るのが得意でもないはずなのに
「スタァトダッシュ」
飛び込むところはきっとひとつひとつ決まっているのです
けれど、そこまでのすべては霧の中だ
ひとりじゃ取り払えないよとよわごとをうめいた
夜。

なんでもないあたし
なんでもないことに嫌気をさしながら
逆接の接続詞でそのあとをつなぐ
それでも血は流さないと
苦しい胸をかかえてきょうも念じる

・・・・・・・・・・

平和アーカイブス二日目、消化するというよりも
できうるかぎり貼りつけ焼きつけようとするようなこころみ
そこにある核は、たとえば懺悔をこえた祈り
もうあんまり散乱した意識をまとめられないで
自分にかまっている自分をひきたてるようにして
あたしが、あちらのほうを向く

飲み込まれないように、ただ、あちらのほうを
まっしろな目と感情で、ただ、出迎えられたら

ふりつもる祈り
音もない熱い熱い
温度

8月9日、深夜

ぼくはキミの不在。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


暑くなくて風があって気候がよくて
ああこんな日はお気に入りの服を着て歩いていけたら
きっといいのだろうと思う
のだけれども
なぜだか重たいのをひきずりあげられないで
ねむりたいなねむりたいなと
くるくる点滅

気管の苦しいのはやや、なおりましたよ
なんなんでしょう、そのうち検査でもするか?

少し休めたらいいなと思うけれど
その休み、がピリオドになってしまいそうで
もうそれでオシマイ、と終止符の打たれて閉じられそうで
ぼくがけりをつけられないまま八月の午后

あの人がむかしむかし書いた詩をはじめて読んだ
フィクションかそうでないか判らない淡いの境目、
けれどきっとその肉体にとっては真実なのだろうということが
こくこくと織り紛れていて、少しだけ戸惑った
ああこんなことを知っていてよかったのだろうか。
血も痣もかなしみも憎しみも
みんなみんな。

暗がりの力は存外につよく
すいとられないためには
目をそらすのか逃げるのか
否定をしたらいちばん簡単だった
見えないことにしたら、きっと

枕の上で手紙を綴って、気がつくと朝がくる
ほっぺたの横で夜を越した便箋に
うすい灰色の文字が散っていた

あいまいな力で覆われていく
ひるがえる扉のむこうで
たぶんとてもしずかな狂気だ


8月9日、午後



2005年08月08日(月) なつをつくる

夏は、せかいが終わるかもしれなかった季節、と
いつだったか書いたことがあって
その感覚は今もたぶんそれほど変わっていない
いつものように少し突き詰めすぎてしまったきらいはあるにしても、
まっしろでうずめつくされた風景は、
おしまい、に似合うような気がするから

白と闇はなんとなく似ている
白のほうが残酷かもしれません
ときには。

このあいだ見た「PicNic」では聖書の最後のページの
7月10日が世界の終わる日になっていたけれど
(実際、オワリになってしまった世界は美しくて残酷だった)
私にとってリアルなのは8月のこの時期で
はっきり記憶がつむげないころに繰り返しふれた何かが
たくさんつもってその感覚の核になったにちがいない。

夏は、八月は、まっしろに
せかいが終わったかもしれない季節。

こう言ってはなんだけど、
それはひとつの風物詩。
ページをとばしてめくれないのと同じように
毎年、見つめないといられない「風物詩」。
夏はこわい。
でも、それがないとどうしてか
やってゆけない。

そういうわけだから平和アーカイブスを延々とみることに決めて
真夜中に膝をかかえてまるごと石みたいになっていたりする。
ときどき、あさってのほうをみて気を散らしたりしながら
こわいことを凝視する。
ホラー映画よりもこわいと言って誰もがいなくなってしまうけど
特に誰かと話ができるわけでもないんだけれど。

凝視するリアルです。
ずっとずっと大きくて
圧倒的な、なにかです。

・・・・・・・・・・

季節に置いていかれてしまったといつも感じている。
みんなみんなに置いていかれたように
いつもうしろのほうにいる、暑いのも寒いのも
どれも少しだけ遠くを滑ってよくわからない。
漠然としてみんな行ってしまった。

だから、
からだのなかに、夏をつくる。
意識的に、外をみる。
きれいだと思ったら先に
笑ってみたりする。

自分の声は耳障りだから、だから黙ってそうっと
息を吐くくらいのひかえめさで。

蝉がないていることも
遊びにきた猫のことも
報告するみたいに
こころのなかで数えあげて、ふくらます。
ときどき、その報告じたいにくたびれて
いやになって、でもまた立ち上がってはじめて。

……くりかえすうちに、少し、追いつけたらよかった。

・・・・・・・・・・

いきているとかいたくないとかそんな話は
ほんとうはこれ以上いらないのですよ
でも、覆い被さってくるから、見えてしまうから
ないことに変えられないから

……報われるかわからないまま、せいっぱいを注ぐだけ。

からっぽすぎる器だから
どこに向かっているのかときどき
わからなくなる、力が抜ける。
自分に問い返したらおしまいになってしまいそうな
境界線あたりでつまさきを立てる。
そっちに行っちゃいけない。

きえないでと願うそのとなりで
自分がやっていたら意味ないことの数々。
センシティブの方角は
ときに、食い止められなくてせかいじゅううっすらと
闇が落ちる。矛盾ばかりでごめんなさい、
もしかしたら利用しているだけで、きっと、ごめん、と。

けど。

報告書なんていらない
ほしいのは肉声

ねえ
きこえる?

ぼくがみえる?

ゆうらりと影がさす。
触れたように思ったのは
ただの錯覚だったろうか。

いらないと決めてしまう前に
そっちに行ってしまうまえに
もう少しだけ空白をつくれと自分に言う
つめを立てて。


8月7日、午後



2005年08月06日(土) tears

地震なんてイヤだああ、って泣く。
このあいだ震度5があってから余計にきらいになった
らしい……こわいものを身体が学んだ。

そういうわけで真夜中にテレビつけて
モノオトを立てる、速報は震度3。
たしかにその程度なんだけど、だけど
以前よりぐらぐらに響くから
いやだ、、、って。

住んでいるところは関東大震災の被害をもろにかぶった地域なので
小さいころから地震情報には敏感で教育もさかんだった。
たぶん10歳ごろまでいちばんこわいのは地震だった。
戦争じゃなく。
原子爆弾でもなく。

ひいばあちゃんとかは家がつぶれて下敷きになったところから
自力で這い出して避難したクチだ、家が木造で
外にちかいところにいたから無事だったのかも知れない。
背中がガラス片で血だらけになり、でも薬がないから
避難先でもらった焼酎をぶっかけて消毒したと
そんな話をよく聞いた。背中には傷跡が残っていた。

・・・・・・・・・・

恐怖も孤独も
真夜中には煮詰まってしまうから
こういうのは好きではない、と
いつも思う、それらを拾ってしまうたびに。

ぬくもりの濃くなる闇が好き。

・・・・・・・・・・

36℃の空気、そうして
風のない室内
いろいろなものが顔からすべりおちて
拾おうとかがみこむこともしなかった
昼間はしずかに終わった
なにごともない以上にしずかで
一枚めくったら澱んだ泥なのだと思う
すべりおちたままの顔でするすると動く
たべものを拒否して、ことばもなくて。

ニライカナイからの手紙、をみる
握りしめたタオル
大声で泣いてしまいそうになって
ときどき困る

あのひとをニライカナイへ送ったのはあたしなので
海と、空と、虹でできた
きれいな雨のふる場所ならいいと思って
みたことのない海の向こうだから託した
思い描いたことのない天国だったから
夢をみるようにとりあえず逃げられるくらいに
やさしく守ってくれた。

たとえばそんなことも。

あまりきれいな涙ではなくて、ぼろぼろとこぼして
それだから今日もおしまいまで漕ぎつけた。
ぴっちりと貼りついた扉をひらくのは、ふいうちの涙や痛みや
誰かの声や地面の揺れだったりする。そんなものでつながれて
今日の日。

さようなら。

白い火がもえているようで
そこへ行きたいと願った。
いつか。


8月6日、夜



2005年08月05日(金) くるい咲いて散らない

いろいろと感じるところ思うところが
あったとしても、口を開くと
全然別のことにかわってしまいそうな気配の色濃すぎて
とりあえずもう今はぜんぶ「暑い」でことたりてしまう
なんだか笑っちゃう
暑いねえ
暑いねえ
と、そればかりで無言にもどってしまい
8月。

たいおんより外の方が熱っぽいなんてなんだか。
なんだかな。

口を開けて空気をすいこむ
喉がつまるような熱気で
あんまり正しすぎて涙が出そうだった

クーラーの冷気がからだに痛いとか
そんなごくごくわずかなことで笑顔をなくしてて
情けないねえごめんねえと誰に言うともなくくりかえす
思い通りに運ばないことども、あれこれやってきて
気軽にドアを叩くので

・・・・・・・・・・

あたしでは役不足なことを知っているよ
知っているつもりでいたいです
てんでちっぽけで
もしかしたら置いて行かれても文句は言えない

でも、それだけれど
応えもなければ
いつかフェイドアウトされると予定されていれば
それが繰り返されれば

少しはひあがるし
少しはさみしいし
少しは痛い

ちっぽけだから、ねえ
この好意の水たまりが乾いてしまわないように
細心の注意を払って見守っていなくちゃならないと
小動物が牙をむくみたいに挑みかかっている
大きくて深い時間とか距離とかことばのすくなさとか
いくつもの飛び越せないまっくらな崖を……のぞんで

むこうがわに誰かが見えるのに触れることはできないまま
それでも、見ていてと

……ねえ。


しろいそら。

あなたに言いたかったことを次々とのみこんで
どんどんまぶしくなってゆく、そら。

一陣の風を待っている
それっぽっちしかできなくて、けど
それっぽちでも、つづけたくて

百日にいっぺんくらいむくわれたらよいと願って

ほしいのは肉声でした
そればかりでした
暑すぎる夏のひるま
ふわふわと熱せられたまなざし
なじみない周囲をみわたし

フェイドアウト。


8月5日、午後



2005年08月03日(水) ヴェール

眠りからさめたあとの頭の中では
もう、白い白い一日なのでした
くたびれたらしいことがうまく受けとめきれないで
ぼんやり首を傾げているような

なつやすみ

スイカペンギンをいっぱいみた、
ああ、ほかになにがあったろう?
霞をとりのけようとする
手を振りまわす
これ以上遠くへゆかないように

誰かに会いたい病になってしまう
さみしい病になってしまう
それは、少し、とても、こまる

夏果実の酸味が恋しい
ふれられないあのひとのぬくもりについて
恋しいとわからないのと同じくらいくっきりと

太陽の下をぼんやりと移動していく感じ
ココロここにあらず、カラダそこにあらず、
雑然としたものごとだ
人混み、噂話、誰かへの悪意やわるくちや
そんなものを目や耳や肌が拾い上げてしまい……
ぷるぷると首を振る
頓服、というものの存在をすこしありがたく感じた
座り込んでしまった椅子のとなりに壁があること、とか
くたりともたれられるものを見ないように見ないように
歩いたあとで

……ひとりだつことについて、これからについて
急に音のない嵐みたいに不穏さがやってくる
ひとりでうちのなかにいるときはあまり
感じないですむこと、自分の持ちあわせているものの
頼れなさのようなものにぶちあたって
……キシネンリョはふわふわと漂っているんだなと
ざわめくこのエキナカでぼうっと思ったりする
相も変わらず、ふわりふわりと
薄皮いちまい隔てたむこうで、
無表情で

なんにも考えないで今だけしっかりつなごう、と
口に出して言ったよ、霞の向こうでたしかあのとき、あたしが言ったよ

あとはもう
たのしかったことを思い出すだけです
この、半透明にけむったキズがらすみたいな周囲を
とりのけて、、、笑ったことを思い出すだけ
後悔とつながらないこと、
不安とつながらないこと、

きょうもいい日だったねえ、と
ためらいもなくふりかえれるように
そうして、あなたに語れるように

誰かに会いたい病

ゆっくりと、さびしさじゃないことを思い返して
それからゆっくり、ゆっくりねむろう
いたみを消しながら
できるかぎり
やすまること

明日もきっと、しろくてまぶしい日だよね
きっと、そうだよね


8月3日、夜



2005年08月01日(月)

予防線をつくってだいじょうぶという岸に漕ぎ付けてつないだ
けども、家族にたのまれたPCうちこみのオシゴト(更に上に
依頼人がいてそこから報酬が発生するのでやっぱり仕事)を
かつかつやっていたら
ちょっと、もう、
笑えることじゃなくなってきてしまった

ぜんたいとしてエネルギーがたりなく
干上がる、こと

頭のなかひからびた雑巾のようになってしまうし
身体はがらんどうの空間みたいになってしまうし
ちょっと、参る
舌が回らなくて音ががつがつ響いてそこらのものが怖い

ぶっ倒れて眠れたらいいのだと思うけど
それは、アレルギーさんがゆるしてくれない
スキンケアをさぼれば明日はなくなるも同じなので
その日課1コースはこなさなくちゃ
、、、うまくゆかないと目をみひらいて見るだけ。

そうしてそこへ
私にとってはたぶん心理外傷的に苦手なアルコホルなる
要因がくわわって目の前にやってくるからもう立つところがない……
ただ目の前で飲まれているだけです
けど、その情景がどうしようもなく
落下と疲労に加速度をかけてくれるのです、、、、、、

ただしく動いているうちはヒトってたぶん
身体が勝手にいろいろなものを
取捨選択、してくれているのだと思うけど
せかいがとんじゃったあとの私、の場合
そのキノウがちょっとおかしいのかもしれないと
思う、音も光も光景も速度も
なんだかランダムにながれこんできてくいとめられない
関節がくだけた人形みたいに
なれてしまう、ような

そういうのを
なんて言ったらわかってもらえるのでしょう
びかびかと明滅するこんな身のまわりのぜんぶが
遠いくせにがりがりと身体のなかをけずりとって
疲弊していくということを
話しかけられなくても、返答をしなくても
ただ、音が聞こえているだけで
十二分に、ひびきわたってどうしようもないんだということを

がらりん、がらりん
痛い痛い

きこえてくるものをすてられない
なにも選べないで
変に敏感な受容器だけになって
ころがってるみたいな、そんなような

……ねえ

ひるまはおだやかに少しずつ
身の丈に合った速度と刺激を選びながら
すぎていけた気がするんだけど
どうやらそれが忘れ去られて
流れてたみたい

コントロールがつらくなる
つかまるところ
見つけなくてはならず


8月1日、夜


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真火 [MAIL]

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