思い出す顔

ドラマ『あいのうた』を、毎週しゃくり上げるほど泣きながら見ています(苦笑)。
親から愛情をかけられることもなく育ち、27年間不幸の連続でもう消えてしまいたい…と川に身を投げた性格ブスのヒロイン・洋子(菅野美穂ちゃん)が生まれて初めて好きになった相手は、奥さんに先立たれてた元敏腕刑事・優二(玉置浩二さん)。残された3人の子供と明るく楽しく過ごす優二は、実は余命半年と宣告された身。
親しい同僚や子供たちにすら言えずにいるその事実を、優二は初めて洋子に打ち明けます。洋子はショックを受け、そのような状況にありながらどうして毎日笑っていられるのか理解に苦しみます。それに対して優二は、笑うと力が出る、ずっと笑っていたら俺のことを思い出すときに笑顔を思い出してくれるだろう? と答えるのです。

このシーンを見たとき、かつての上司のことを思い出しました。黙っているとちょっと近寄り難い容貌の持ち主だったのですが(苦笑)、お客様(←販売だったので)の前に出ると、途端に目尻が下がって優しい顔つきになるのです。そしてそれは外面が良いわけではなく、私たち従業員に対しても全く同じでした。どんな状況でも冷静で、常に腰の低い、接客のお手本そのものような素晴らしい方でした。
当時、もしも将来どちらかが転勤や転職をして会わなくなるときがきたら、そのとき私が思い出すのは間違いなくあの笑顔だろうなぁ…とぼんやり思ったものでした。
その上司が急死されたのは、僅か数年後のこと…。それからさらに数年が経ちましたが、当時のことを思い出すとき頭に浮かぶ上司の顔は、やはり目尻の垂れ下がったちょっと頼りないあの笑顔なのです。
2005年11月25日(金)


観たい映画

私だったり家族だったり周囲だったり、いろいろバタバタしていて落ち着きません。そして不思議なことにこういうときに限って、やるべきことが次から次へと発生する…という(泣)。
と、落ち込んでいても仕方がないので(←意外とポジティブ)、今観たい映画などをピックアップしてみます。何だかマッチ売りの少女みたいで、逆に虚しくなるような気もしますが(苦笑)。
『ALWAYS 三丁目の夕日』、『カーテンコール』、『空中庭園』、『大停電の夜に』、『春の雪』…。あらら、全部邦画ですね。
2005年11月23日(水)


泣く

子供の頃はそうでもなかったように思うのですが、大人になってからの私は本当によく泣くようになりました。自分自身が悲しい気持ちのときはもちろん、小説や映画で泣くのは当たり前、さらにはミュージカルやコンサート、テーマパークのパレードなんかに感激してうるうるすることも珍しくありません。ごくごく稀にではありますが、言い争ううちに悔しくて泣いてしまうようなこともあります。
最近では、村山由佳さんの『天使の梯子』を読みながらしゃくり上げるほど泣き、菅野美穂ちゃん主演のドラマ『あいのうた』では毎週必ず号泣しています。
考えてみると、周囲の友人知人が泣いているのを見たことはほとんどないし、親の涙を見たのも数えるほどしかありません。いい大人のくせに、私は泣きすぎなのでしょうか。だけど、悲しかったり嬉しかったり悔しかったり…という感情の変化がなかったら、日々はもっと退屈なものになっているような気がします。
大人だからあまりおおっぴらに泣けない窮屈さはあるけれど、大人だからいくら泣いたって誰かに叱られたり止められたりしない自由も持っているのだし。
2005年11月17日(木)


「優しい」

もうひとつのサイトではときどきアンケートを実施して、最後にコメント欄を設け、もしよろしければサイトに対する感想や私へのメッセージなどを…とお願いしています。
アンケートの集計に苦戦しつつ(←とにかく数字を見ることさえ苦手なので/汗)添えられたメッセージをありがたく読ませていただくのですが、毎回決して少なくない数の方がほぼ同じ内容のことを書いてくださっていて、そのたび不思議な気持ちになります。それは、たとえば「優しい文章」だったり「優しい言葉遣い」だったり…。
「優しい」って、どういう意味なのでしょう。「易しい」ならば、頷けるのですが(苦笑)。

数年前、お見合い結婚を決めた友だちが、お相手の方の写真を見せてくれたときのことです。一瞬言葉に詰まった後(…)、「優しそうな人だね」とコメントした私に、彼女は「みんなそう言うのよ。ま、他に言いようがないんじゃない?」とカラカラと笑いました。明らかに(汗)当たり障りの無い無難な言葉として「優しい」を口にしていた私は、返す言葉もなく俯くばかりでした。

「優しい」って、どういう意味なのでしょう…?
2005年11月10日(木)


逆縁

「逆縁」という言葉を覚えたのは、中学のときに夢中で読んだ漫画でした。確か「逆縁の不幸」というセリフだったように記憶しています。
数年前、突然祖母が亡くなりました。長く患うこともなく、住み慣れた我が家の布団の上で、近くに住む子供や孫、さらにはひ孫にまで囲まれて、眠るように息を引き取ったのだそうです。遠く離れて住む私は間に合わなかったのですが(泣)、いわゆる「老衰」で穏やかに最期を迎えられたことを知らされ、せめてもの救いだとありがたく思ったものでした。
実はその数年前、祖母は孫と子供を相次いで見送っていたのです。自分よりうんと若い身内に先立たれた祖母の悲痛な思いは、おそらく私などが想像できるような程度ではなかったはず。これでもうあの苦しみを味わわなくて済むと、あるいはホッとしたかもしれません。

昨日からずっと“Amazing grace”が頭の中をぐるぐるしています…。
2005年11月07日(月)


ふしぎなできごと

先日お墓参りに行ったとき、マッチを忘れた(正確に言うと、持っていたけれど箱を開けたらカラだった…/泣)ことに気づいて愕然としました。
いくらお蝋燭やお線香を持っていても、マッチが無ければ何の役にも立ちません。頭ではわかっていても、たまたま今マッチが1本無いだけなのに…と思うと、「人間って無力な生き物なのね…」と呟かずにはいられませんでした。
どなたかがうっかり置き忘れたものが残っていたりして…と、儚い希望を抱いてお寺の本堂を訪ね、恥を忍んできょろきょろと周囲を何度も見渡してみたのですが、そんな都合のいいことがあるはずもなく。
仕方がない、今日は拝むだけにしよう…としょんぼり引き返そうとした私の目に、鮮やかなオレンジ色の頭をした1本のマッチが留まりました。あんなにしっかり確かめたはずなのに、さっきは見落としていたのでしょうか。
不思議な気持ちでカラのマッチ箱に擦りつけると、当然のことながらちゃんと火が点きました。そのおかげで、いつもどおりのお墓参りをさせていただけたのです。
お墓参りをしたいという願いが通じたのか、はたまた単なる落し物だったのか、まるで昔話の世界に迷い込んだような気がした秋の日の出来事でした。
2005年11月01日(火)

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