9月某日、台湾で李登輝氏を代表とする大規模なデモがありました。 日本でもけっこう話題になったので覚えている方もいるかも知れません。
知らない人も意外に多くいる現状なので、 台湾と日本人が呼ぶこの国について少し触れてみたいと思います。 そもそも台湾と言うのは正式な呼び名ではありませんでした。 中華民国と言うのが正式な名称です。
ココで良く考え違いをしている人がいるのですが 我々が中国と呼んでいる中華人民共和国ではなく、 中華民国です。世界史を習った人は分かるでしょう。
中国の西大后で有名な清王朝を受け継いだのが、 この中華民国でした。孫文が袁世凱に初代大統領の座を 譲った等と言う件で教科書に載っているのでないでしょうか? この後中華民国の実験を握ったのは蒋介石と言われる人物でした。 これまた有名なので歴史の教科書には登場していると思います。
日中戦争後中華民国は国をふたつに分けて大きな内戦を始めます。 蒋介石率いる国民党(中華民国)と毛沢東率いる共産党の争いです。 この戦いに勝利したのは毛沢東でした。彼は内戦後天安門で 中華人民共和国の設立を布告したのです。
一方敗れた蒋介石はと言うと、米国の支持力を背景に 逃げ延びた島で大陸へ戻るチャンスを伺っていました。 これが今の台湾(中華民国)です!今も問題になっている 「ふたつの中国」の原点です。これには米ソ冷戦も大きく 絡んでいたため、確実に滅んでいない国に新たな国ができると 言う歴史上稀に見る珍事件が起こってしまったのです。
時は流れ、中華民国を支持していたアメリカにも変化が訪れます。 ニクソンが中華人民共和国を訪問し、支持を始めたのです。
これからは皆さん知っての通り、中華民国は国連から脱退。 中華人民共和国がその後国連に加盟と立場が一転しました。 当然「ひとつの中国」と言うことを米国が承認してしまったと 世界は見なし、現在のように中華民国は世界から孤立する事になります。
日本はどのような立場を取ったのかと言うと、 経済的な面で中華民国との繋がりを残しながら、 国としては認めないと言うあいまいな態度を取ってきました。 昨今まで台湾行きの航空便が国際線扱いの成田空港でなく、国内便 扱いの羽田空港に離発着していたのはこういった背景からなのです。
日本がこのような態度を取ったのには訳があります。 田中角栄初訪中の際、周恩来は日本に賠償金を要求しようとしました。 しかし時の日本サイドの外交官達の 下のような会話により、中国をやり込めたのだそうです。
「ご冗談を!我が国は既に中華民国とその話をつけております。 あなた方は自分達で中華民国を継承し、国を作ったと仰っています。 その事実がある以上日本側からは何も出すことはできません。」
周恩来はその場で激怒したそうですが、 後に角栄首相に「家にも彼らのような人材が欲しかった。」と もらした等と言うエピソードが伝わっています。要約すると、 日本は賠償金の件を英断で回避する変わりに、現在の中国を 国として認めざる得なかったと言うわけです。俺も最近知りました。 危うく中国側が言っている「賠償金は要求しなかった!」と言う 発言を信じてしまう所でした(笑)。←北京大学で教わった。
そんな訳で国として認められない国となってしまった中華民国。 その後はNISE(新興工業地域)としての地位を高める事で 世界に自国の存在をアピールしていきます。 そして台湾と言う通り名の方が有名になった昨今、 見事な政治手腕で台湾を国内外にアピールする政治家が現れました。
台湾の前総統李登輝氏です。 彼は日本留学の経験があり日本語も堪能。親日派としても知られ、 その影響力で現在の米国までも味方につけ、日米で進めている 「ミサイル防衛構想」にも一口乗っている状況を作り上げました。
彼の功績はまたいつか話すとして、その彼が行ったのが今回のデモ。
どう言ったものかを要約すると、 「中華民国はもう滅んだ。だから通り名で有名になっている 台湾と言う名前に国名を改名しよう。←とりあえずパスポートから! そうすれば国連にも再加盟できる!←中国からの脱却。」
つまり中国等と言う名前を背負っているから大陸から文句が来る。 それならば新たな国として独立し、正式に国際社会に加わろう! 素晴らしい政治手腕と発想力の転換です。この時期に行ったのもグー!
なぜならば、2008年オリンピックに向けて国を改革する大陸に、 世界の目は向けられているからです。その状態でこのようなデモを 行えば、天安門事件時のような馬鹿事件を大陸は起こせません。 まして、今の時期に台湾侵攻等を行えばオリンピックどころか、 日米ガイドライン法をみすみす適用させる事になってしまいます。
戦術より戦略。闘いになる前の駆け引きが闘いに勝る。 この事を現在に具現化しているのが李登輝氏なのです。 台湾独立運動の口火は切られました。後は大陸と台湾の 駆け引きがどう進んでいくか、今後が楽しみでなりません。
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