さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2004年02月19日(木) にゃん氏物語 葵09

光にゃん氏訳 源氏物語 葵09

葵の君は物の怪の起こりで ますます悪い容体である
六条の御息所の生霊であるとか その父の故大臣の死霊とも
噂されている
それを聞くにつれて御息所は自身で考えてみる
御息所は自分だけの不運を嘆くだけで 他人を呪う気持ちはない
物思いがあると身体から抜け出ていく生霊の魂があるという事
そんなこともあるのだろうかと 悟りに思うこともある

ここ数年 物思いの限りを続けてきたものだが
今回ほどの苦しい思いは かつてなかったものだ
禊の日に ちょっとした事で 相手に無視され見下げた態度から
始まった恨みは自分では抑えきれず 生霊の魂を抜け出させる
少しうとうとした時に見る夢は 姫君らしく思われる人が
美しい姿で座っている所へ行って 乱暴にあちこち引き掻き
武者のように殴り 現実では起こりえない荒々しい力がある

度重なるこんな夢で 不吉であり 慎む事だと思うが
魂が身体を抜け出して行ったのだろうと 正気を失う事もあり
何も無くても他人の噂を悪く言うのが世間の常である
ましてこの事は世間の悪口の格好の噂になるという事で
御息所は自分の名誉が傷つけられ心苦しくてならない

亡くなった後にこの世に未練を残し 恨むのはありえる事だが
それでさえも罪深くて 嫌な慎む事である
それなのに生きている自分がそんな悪い噂を立てられるのは
薄情な源氏の君と恋する心の罪のためである

源氏への愛を一切捨ててしまわないといけないと御息所は考える
だけど思わないと思う心も物思いで実際には難しい事なのである


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