KENの日記
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2013年01月29日(火) アベノミクス

昨年秋の衆議院議員選挙で安倍自民党が大勝してから、円価格の下落・株価の上昇が始まりました。それまで東日本大震災での追い討ちも含めて、リーマンショックによって引き起こされた世界不況に中で日本経済は長らく低迷を続けてきました。政権が変わったからといって実体経済に影響が現れるまでにはかなり時間がかかりますから、今回の円安・株値上がりは「三本の矢」を始めとする具体的な経済刺激策の効果の先取りであり、本当に経済再生が本格的に実現するかどうかは、それら施策の効果が本当に実体経済に現れてくるかどうかにかかっているといえます。

株価低迷・円高状況でかなりダメージを受けているため、個人的には今回の動きに期待しているところではありますが、懸念すべき事項が何点かあるので記載しておきたいと思います。

まず民主党政権から継続している中国・韓国とのギクシャク関係です。当面の経済再生という政治と長期的な国益とは別だと言えばそれまでですが、日本の経済再生において隣国の中国・韓国の存在は非常に大きいと思います。表面的な問題として中国からの観光客の数は最近大幅に減少していて、土産としての日本製品購入量は激減しているでしょう。政府・役所(外務省)は猛省すべきだと思います。「国内問題から目をそらすための外国への強硬姿勢」は、中国・韓国ばかりでなく日本でも行われているものだと思います。

次は日本の物価の水準です。「緩やかなインフレ」が好ましいのは分かりますが、その出発点として物価水準は果たして世界の中で妥当な水準かどうかということが気になります。アメリカの場合には雇用が流動的(終身雇用ではない)ことから経済停滞時には賃金調整が行われます。日本でもデフレで定昇凍結が続きましたから賃金の延びは抑えられたものの、果たしてサラリーマンの賃金の水準(特に中高年)は外国と比べて高いのか低いのか。またガラパゴス的な日本国内向け製品・サービスは国際競争力を回復しているのかどうか。長期的に「緩やかなインフレ」と両立する絶対的な水準の議論がないと不安にあります。

そのことと関係がありますが、日本の産業の競争力(品質と価格)が「緩やかなインフレ」の経済の中で成長していけるのかどうか。この議論もまだ始まっていません。アベノミクスの三本目の矢の「民間投資を喚起する成長戦略」ばかりが目立ちますが、市場を開放したら外国産物に席巻されかねない「農業」はどうしていくのでしょうか。外国との価格競争力のないまま国内産業を保護していては結局国際競争力は失われたままです。高齢化の進展、高い人件費・高額な医薬品で医療・介護分野の将来は確実に破綻することが見えていますが、これを解決しないで国民の生活は希望あるものとなるのでしょうか。

民主党政権が難しい問題にどっぷり嵌まり込んで、解決策を提示できなかったまま崩壊しましたが、自民党政権はそれらを一旦後回しにして景気浮揚から取り組み始めました。そしてそれへの期待だけによって一見「復活の兆し」があるように見えますが、本当は実態経済が効率化し活性化しなkれば経済再生は実現しないことをしっかり認識しておくべきです。



2013年01月25日(金) 難しい日韓関係

朝鮮日報のネット記事です。なかなか難しいですね。

Japanese Prime Minister Shinzo Abe has decided not to attend president-elect Park Geun-hye's inauguration on Feb. 25, Japanese media reported Tuesday. Kyodo News said Abe will not go because he has not been invited.

Park has invited no foreign leaders to her inauguration, only foreign diplomats in Seoul.

In 2003, the Japanese prime minister Junichiro Koizumi attended president Roh Moo-hyun's inauguration, while Yasuda Fukuda flew to Seoul to attend President Lee Myung-bak's inauguration in 2008.

Mindful of those precedents, Abe sent former finance minister Fukushiro Nukaga as a special envoy to Park on Jan. 4, and mulled attending her inauguration, according to Japanese media.

An official close to Park said no foreign leaders were on the list of invited guests. "We cannot stop foreign leaders attending if they want to, but there are no foreign leaders who have said they will come," the official said.

日本語に意訳すると以下のようなことでしょうか。

「タカ派として有名なミスター安倍は、朴女史の大統領就任式に「呼ばれてない以上行かないよ」といっているらしいね。ま、朴女史としてはソウルにいる各国大使あたりまでには声をかけ、表向きは各国首脳を呼んではいないけれど、これまの同じ自民党の小泉、福田の両首相は大統領就任式に来ていたことを考えれば、東京はすごく近いんだし来たっていいよね。」

「ミスター安倍は正月早々韓国とパイプのある「額賀議員」を韓国に派遣して、そのあたりの感触を探ったようだけど、結局参加しないということに決めたみたい。韓国政府だってミスター安倍が参加したいというなら断ることないのにね。だけど韓国政府の本音と建前の使い分けも外国から理解されていないらしく、日本だけでなく他の国からの参加希望はないけどさ。」



2013年01月24日(木) ラフール・ガンジーの第一線登場

インドのジャイプールで開催されていたインド国民会議党の党員会議において、現国民会議党党首ソニア・ガンジー(66歳)の長男のラフール・ガンジー(42歳)が党の副党首に選出されました。ラフールは2004年の前回総選挙で国会議員に当選して政界入りして、8年間政治家として着々とキャリアを積んできたのでした。2007年には国民会議党の幹事長、今回副党首に選出と着々と階段を上って来ました。インドでは2014年春に総選挙が予定されており、その選挙においては国民会議党党首として国民会議党を代表することになりそうです。その選挙で国民会議党が勝利すれば晴れて「ガンジー首相」が誕生しそうです。

今回の党大会の演説でラフールは自分の政治信条を表明した。それは政治改革を志向し、若者・女性・弱者の政治参加を促して民主主義を推し進める必要があるということ。しかしそれは決して性急であってはという非常に真っ当なものであったようです。ともすると新進気鋭のリーダとして斬新な指導方針を表明して人気を集める方法もありますが、巨大民主国家インドにおいては決してスピードを求めてはならないことは周囲が教えたのでしょう。

しかし総論としてはまだ若干「ひ弱さ」を感じさせる印象を禁じえません(記事を読んだ印象)。妹「プリヤンカ」の政治資質のほうが未だに勝っているとの評価する意見もあるようです。ガンジー家では父親世代のラジヴ(ラフールの父)、サンジャイ(ラフールの弟)のように長男が少し大人しくて多少ひ弱に見える印象がぬぐえないのです。これから選挙までの1年間でどれ位成長するのか楽しみでは或る。

ところで現在国民会議党党首のソニア・ガンジーはどのような心情なのでしょう。母親のインディラ、夫のラジヴを暗殺で失い、イタリア人としてガンジー・ネルー家の代表となって大国インドの伝統ある国民会議党のリーダに祭り上げられた人物です。彼女は殆どその後インドから出ずに、つまり外交に関わることを避けてインド国内政治(インド国民のために)に全精力を費やして政治活動をしてきました。夫のラジヴが隣国スリランカの内戦に口を挟んだ結果スリランカの反政府組織のテロで命を落としました。最近のパキスタンとの紛争においても目立った主張は控えているようです。それほどインドの政治は難しいということでしょう。長男のラフールがその重責を円滑に引き継いでくれればと思います。



2013年01月23日(水) 違和感のある「世論調査」

以下は1月21日時事通信の報道です。

「時事通信が1月11〜14日に行った世論調査で、安倍首相の靖国神社参拝について尋ねたところ、「参拝すべきだ」と答えた人が56.7%に上った。沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題で悪化した対中感情などが背景にあるとみられる。「参拝すべきでない」は26.6%だった。首相は在任中に参拝するかどうか明言を避けているが、参拝賛成の世論が強まれば、首相の判断に影響を与える可能性もある。 調査は全国の成人男女2000人を対象に個別面接方式で実施し、1292人から回答を得た。(2013/01/21)」

果たして本当に国民はそのように考えているのでしょうか。A級戦犯が合祀された後に天皇陛下が靖国参拝を取り止めていることは多くの国民が知っているはずです。これが最近の尖閣列島・竹島問題を巡る中国・韓国との意見対立に対する感情が原因だとするならば非常に由々しいことです。韓国の朝鮮日報は早速「日本の過半数の国民が首相靖国参拝支持」という韓国国民の対日感情を刺激するような記事を載せました。(韓国のマスコミの書き方も何とかならないものでしょうか。日本人の感情を逆撫でするような論調です)

やはり靖国参拝問題では「戦争責任」と「中国・韓国等の被害を蒙った国の国民感情」を重く捉えて判断・行動すべきだと思います。天皇陛下が正月の挨拶で「東日本大震災での犠牲者に「寄り添う」」という発言をされていましたが、当事者ではなく遠くに住んでいると、過去に関する記憶が「薄れがち」だと思います。(ここで犠牲者の数が双方で食い違っているとかいう議論は無意味だと思います)

1月17日の阪神淡路大震災の慰霊祭でも、震災で親しい人を失った当事者の心の傷はまだ消えていないことはテレビを通じて改めて知りました。自虐的になる必要はないですが、当事者が「忘れられて寂しく・残念な気持ち」を持たないような行動(心を寄せること)に配意すべきだと思います。



2013年01月22日(火) 尖閣列島問題に関する発言

安倍首相(2013,1,11)
「尖閣について海と領土を断固として守っていく。中国と交渉する余地はない」

中国外務省の洪磊報道官(2013.1.11)
「中日間の困難な局面は日本が招いた。日本は現実を直視して適切に問題解決を図るべきだ」(安倍首相発言に対する反応)

鳩山元首相(2013.1.16 北京での会談で)
「尖閣諸島については係争地であることを互いに認めるべき。棚上げの方向に戻ることが大事だ」

小野寺防衛相(2013.1.17日)
「中国側は『実は日本の元首相はこう思っている』と世界に宣伝し、国際世論を作られてしまう。言ってはいけないが、『国賊』ということが一瞬頭のなかによぎった」(鳩山元首相発言に対する反応)

クリントン米国務長官(2013.1.18)
「日本の(尖閣諸島の)施政権を損なおうとするいかなる一方的な行為にも反対する」

中国外務省の中国外務省・秦剛報道局長(2013.1.18)
「アメリカ側の発言は事実を顧みず、是非を分別していないものだ。強烈な不満と断固たる反対を表明する。アメリカは逃れられない歴史的な責任を負っている」(クリントン国防長官発言に対する反応)

公明党山口代表(2013.1.21)
「領土問題は将来の世代に解決を委ねるのはひとつの知恵だ」

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微妙に方向性が変わってきていると思います。連立与党の公明党が上手に地均ししてくれれば良いと思います。それにしても「右より」の発言をしていればマスコミの受けが良いのは困ったものです。まるで太平洋戦争中の政府の戦果発表のように聞こえます。



2013年01月21日(月) アルジェリアの人質事件

アルジェリア東部の天然ガス田施設建設現場で起きた「人質事件」で、人質の多くに犠牲者が出ているようです。「日揮」の日本人17人の社員についても10名の安否が不明となっているとのことです。

今回の事件においては、現地から正確な情報が日本国内に届かない事に対する不安・不満が非常に大きいように思えます。ニュース解説などでは日常の情報収集活動だとか地道な交流活動をしておいてこそ非常時の情報確保が可能となるのだといった声が発せられています。それは尤もなことだと思いますが。

それは良いとして、気になったのが「現地の情報取得・管理」に対する過度の期待があるように思えたことです。日本ではテレビ・ラジオ・インターネット等を通して事件・事故の情報は非常に速やかに流れることが当たり前となっています。日航ジャンボジェット墜落事故の際、現場を管轄していた長野県・山梨県のNTT関係者は事故現場における関係者(救援隊・マスコミ等)の通信確保のために無線機を背負って現場に急行したのだした。

日本においては都市部では通信網が行き届いているし、僻地であっても様々な通信手段を即座に構築できるような体制が準備されています。しかしそのような国は世界の中ではほんの一握りの国でしかないことは理解しておくべきだと思います。こうした備えは国土の広さとか、砂漠などの自然環境条件によって更に構築が難しくなります。これは通信に限らず、電力、交通網、医療施設等のインフラ設備には共通的にあてはまることだと思います。

日本人が外国で陥り易い「危険」、あるいは日本に住んでいて外国に状況に原を立てたりしてしまう原因は、外国の状況は日本に近いだろうと推測してしまうところから来ると思います。当然ですが日揮からの現地派遣社員はそのことは十分承知のはずです。しかし現地での警備体制整備だとか、銃器類の準備等、自分達の安全は自分達で守るための準備がどれくらいなされていたか。またそういう必要性を日本から推測して金を費やしても準備していたかどうか。

嘗て内戦終了前のスリランカで勤務していた頃、スリランカ政府関係機関に転出した嘗てのトップを訪ねた時、自分の机から政府から貸与されている「護身用ピストル」を取り出して見せてもらったことや、私の通勤用の車のトランクには常に防弾チョッキが積まれていたことを思い出しました。勿論そういう装備があったとしても今回のテロ事件に対処できたとは言いませんが。

今回のテロ発生に際して、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ベルギー等の政府の対応において日本だけが非常に特殊な反応をしているように思えました。テロとの対決においては毅然としたかつ素早い対応の必要性だと痛感しました。日本政府の対応は、まず状況の把握に努めて人質の人命を最大限尊重した対応を取ることとなったことでしょう。そうすると武力解決のタイミングを逸することになりかねません。これから人質の犠牲者数は増えることとなるでしょうが、それでもアルジェリア政府の対応方法を評価する世界各国の雰囲気は崩れないでしょう。

日本国憲法前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。」と書かれていますが、世界には平和を愛さない勢力もあることは事実です。そういう勢力に対して国民・政府はどのように対処するのか。残念ながら現憲法が想定している世界はまだまだ実現していないというところでしょうか。



2013年01月20日(日) 駒込のナポリピザ「Puccii」

昨日上中里の「滝野川会館」までオペラを聴きに行ったあとの夕食として、駒込のイタリアンレストラン「Puccii」でナポリピザを食べてきました。場所は駒込駅から東側すぐの商店街の中で、土曜の夜9時過ぎの商店街は閑散としていましたが、「Puccii」だけは暖かそうな明かりが点っていました。オペラを聞いて大分興奮していたので、イタリア料理はその気分にぴったりでした。

注文したのは、前菜の野菜サラダ、マリナーラ、マルゲリータ(2枚)ハウスワイン(500ccデキァンタで赤・白)

最初の野菜サラダではドレッシングとパルメザンチーズがとても美味しくてピザへの期待が膨らみました。ハウスワインは赤はモンテプルティアーノ、白はトレビアーノという軽めのワインで、サラダにもピザにもとても相性が良く、ご主人の品揃えのセンスを感じました。




ピザはマリナーラ最初に食べて次にマルゲリータを頂いたのですが、マルゲリータがあまりにも美味しかったのでもう一枚追加してしまったのでした。マリナーラ、マルゲリータ共に「オリーブオイル」の使い方(多め)がとても上手だと思いました。エクストラバージンも多分良い物を選んでいるのだと思います。トマトソース、チーズと程よく混ざり合って薫り高いピザに仕上がっていました。

ピザ窯はそれほど大きくないガス窯ですが、窯の窓にはしっかりした蓋が備えられていて、窯内の温度に気を使っている様子が見て取れました。ピザを焼く時間も少し長めの感じがしました。それでも焼けすぎてパリパリにならないのは、窯の性質を熟知して、その性質に合致した材料を盛り付け(トマトソースの水分とか、オリーブオイルの量を調整して)、丁度良い時間じっと我慢して一挙に焼く・・・という技からくるのだと思います。

1200円(マリナーラ)、1300円(マルゲリータ)というピザの価格は決して安くはないですが、それに見合った非常に丁寧な仕上げのピザだと思いました。大感激でした。



2013年01月19日(土) ベッリーニのオペラ「清教徒」

妻の参加している合唱団のピアニストの方が伴奏に参加するということで、ベッリーニのオペラ「清教徒」を聞いてきました。演奏した団体は「フレスカリア(Frescaria)」と言って、若手歌手の方が「誰でも気軽に楽しめるオペラ」「低価格でも上質の舞台」をコンセプトとして運営している団体です。今回の公演は「フレスカリア」の第16回目の公演でした。公演は東京都北区の滝野川会館の大ホール(もみじホール)で行われました。そこは京浜東北線上中里から行ける所なので自宅からは比較的便利でした。土曜日の夜の公演ということもあり満員御礼という訳には行きませんでした。

今回初めて聞く「清教徒」なのでストーリーを調べましたので記載しておきます。

(時代場所)
17世紀中頃清教徒革命真っ盛りの(チャールズ一世処刑後)のイングランドのプリマスに近い城塞。

(登場人物)
グワルティエロ・ヴァルトン卿(Ba):議会派の城塞主、議会派軍司令官、エルヴィーラの父
ジョルジョ(B):エルヴィーラの叔父、議会派の退役大佐
アルトゥーロ・タルボ(T):国王派(スチュアート王家)騎士、エルヴィーラの婚約者
リッカルド・フォース(Br):清教徒軍大佐、アルトゥーロの恋敵
ブルーノ・ロバートン(T):清教徒軍士官、リッカルドの親友
エンリケッタ(S):チャールズ一世の王妃(フランスアンリ4世の娘)、カトリック信者
エルヴィーラ(S):アルトゥーロの恋人

チャールズ一世:王権神授説信望者。増税等の圧制のために議会から1628年の「権利の請願」を突き付けられる。一旦これを受け入れるも再び専制政治を開始。この間に国教統一を目指して清教徒を弾圧。王権の制限をめぐってる議会は国王派と議会派に分裂。チャールズ一世が議会派議員を逮捕すると内戦(清教徒革命1641)が勃発した。最終的にチャールズ一世は議会派の勝利によって処刑されることとなる。とは言ってもイングランドの王制がその後ずっと否定されたという訳ではない。今でも王制は継続していることは留意すべきである。

第一幕第一場

17世紀のイングランドの夜明けの城塞。清教徒(ピューリタン) 軍と王党軍の内乱で清教徒軍が国王(チャールズ一世)を処刑して優位にある。王党派の騎士アルトゥーロは清教徒軍の司令官の娘エルヴィーラと相思相愛で結婚となり、清教徒軍の城は祝賀会。猛々しい兵士たちの声を縫うようにして賛美歌が聞こえてくる。その中にはエルヴィーラの声もあった。

一同は間近に迫ったエルヴィーラの結婚を祝う。そこに現れたのは悄然とした様子のリッカルド。彼は、戦いに出かける前にヴァルトン卿からエルヴィーラとの結婚を約束されていたのだが、戦場から戻ってみると、その約束は一方的に破棄されてしまったのだった。エルヴィーラは、王党派の騎士アルトゥーロを愛しており、ヴァルトン卿は他の人を愛している娘に結婚を強要できないと言うのだった。リッカルドは二人の結婚を嘆く。(アリア「今、どこに逃れようか」、「おお、永遠に君を失った」)

第一幕第二場

エルヴィーラの部屋。敵方の青年との結婚は許されず、リッカルドとの結婚と誤解していたエルヴィーラに、伯父ジョルジョはリッカルドとエルヴィーラの結婚を望んでいた父親を説得した一部始終を語る(アリア:娘よ、我が胸に泣け) 。すぐにもアルトゥーロがやってくるだろうと告げたので大喜び(アリア:私は美しい乙女)。そこへアルトゥーロの到着。アルトゥーロ到着の知らせが響きエルヴィーラは大急ぎで出てゆく。広間には、ちょうどアルトゥーロが到着したところで、花嫁姿のエルヴィーラに愛を誓ったアルトゥーロは、皆と一緒に結婚式の準備をする。

第一幕第三場

城塞の大広場での祝賀会。ヴァルトン卿だけは所用があるといってジョルジョに代わって教会へ同行してくれるように頼む。ブルーノが連れてきたいわくありげな婦人に対してイギリス議会への同行を求める。彼女は、実は処刑されたチャールズ1世の王妃フランス王女エンリケッタで、長い間この要塞に幽閉されていたのだった。アルトゥーロはこの城に処刑された国王の王妃が幽閉されていることをジョルジュから知らされる。エンリケッタを見たアルトゥーロはそっと近寄って何かお役に立てないかと尋ねる。

偶然そこにきたエルヴィーラはエンリケッタにヴェールの着け方を教えて欲しいと頼み、ヴェールを残して去ってゆく。千載一遇のチャンスにアルトゥーロはこのまま脱出しようとする。リッカルドに見つかるが、リッカルドはアルトゥーロに決闘を挑みに現れるが、止めに入ったヴェールの女性がエルヴィーラではなく、エンリケッタであると知りそのまま何も言わずに逃がしてしまう。そして戻ってきたエルヴィーラはリッカルドから花婿のアルトゥーロは囚われの女性(エンリケッタ)とともに逃げていったと知らされ、裏切られたと思い込んで衝撃のあまり錯乱してしまう。

第二幕

城内の居室。発狂したエルヴィーラを心配する人々に、叔父のジョルジョは日頃の彼女の様子を語って聞かせる。最高議会でアルトゥーロには死刑の宣告が出た。狂乱しているエルヴィーラを前に、リッカルドもジョルジョも涙を隠せない(アリア:あなたの優しい声が)。ジョルジョは、アルトゥーロとエルヴィーラを救えるのはリッカルドだけだと説得する。あのときリッカルドはわざと二人(アルトゥーロとエンリケッタ)を逃がしたのだった。そのせいでエルヴィーラは狂ってしまった。自らの行為を恥じたリッカルドは、二人のためにできる限りのことをするとジョルジョに約束する。しかし翌朝には清教徒軍と王党派軍との戦いが始まろう徒していた。リッカルドもジョルジョも、ただ祖国のためだけに戦うと誓うのだった。(アリア:ラッパを吹き鳴らせ)

第三幕

戦いは清教徒軍の勝利に終わる。エンリケッタを無事に逃がし辛くも逃げ延びたアルトゥーロは、エルヴィーラが彼への愛を歌っているのを聞き、それに応えて愛の歌を歌おうとするが、追っ手の兵士たちが迫ってくるので慌てて身を隠す。アルトゥーロの声を耳にしたエルヴィーラが城から走り出てきて、彼を探し始めアルトゥーロはその前に走り出ると跪く。アルトゥーロが連れ出した女性が王妃だったことを告げのと、エルヴィーラの誤解も解けエルヴィーラは一旦正気を取り戻す。リッカルドたちがやってきてアルトゥーロを捕まえ、リッカルドがアルトゥーロに死刑を宣告するとエルヴィーラは正気を取り戻しアルトゥーロとともに死ぬと誓う。そこへ使者が到着しスチュワート家は滅び、罪人達は赦免されたと高らかに告げる。晴れて許されたアルトゥーロとエルヴィーラは、一同の祝福を受ける。

歌劇「清教徒」には魅力的なアリアが散りばめられています。エルヴィーラの「狂乱の場」、二重唱「ラッパを吹き鳴らせ」、第三幕のエルヴィーラ・アルトゥーロ愛の二重唱」などなど。どれも大変高度な歌唱力が要求されます。これらの注目のアリアについて、今日の公演ではかなり好演されていたと思います。私としてはリッカルドの歌に最も引き込まれました。二幕の二重唱もリッカルドの歌は素晴らしかったと思います。三幕の最高難度のアルトゥーロのアリアですが、さすがに「ハイF」は出さずに「ハイDes」で代用されました。それでも安定して「ハイDes」を歌い上げていたことには関心しました。

個々のアリアが魅力的なのでオペラ全体を見通すことが後回しになってしまいます。私はこの「清教徒」の肝は「ジョルジュ」だと思います。舞台回し的な役割を担っています。第一幕ではエルヴィーラの婚約相手をリッカルドからエルヴィーラが本当に愛しているアルトゥーロに差し替えるべく努力して成し遂げるところ。第二幕では失恋の痛手を負ったリッカルドを力づけて立ち直らせて戦いに向かわせる「美味しい」場面を与えられています。

従ってこのジョルジョの役には全体を支えるような存在感が欲しいと思いました。今日の公演では安定した歌唱で善戦はしているものの聴衆を唸らせるところまでは行っていなかったような感じが残りました。ジョルジョの人物像に関してもう一段の人間的掘り下げが欲しいところでした。実はその他の登場人物は比較的単純な人物増ではないかと思われました。

全体通して終わってみれば大変清清しい印象が残りました。それは若い歌手の皆さんが全力で取り組んだ姿が随所に現われていたからだと思います。(追記)伴奏はピアノ+弦楽四重奏+リード(クラリネット+サックス)で行われました。力演だと思いました。金管楽器が欲しいと思いました。



2013年01月17日(木) 中国民主化の動き

中国広東省の週刊新聞「南方週末」の記事が当局によって改竄されたことに対する中国国内の波紋が収まっていません。以前の中国なら当局に都合の良い記事を書く事は当たり前だったし、当局から記事の修正命令を受けたとして大きな問題にはならなかったはずです。これはやはり昨年末の指導者交代で若い「習近平」氏がトップに収まった関係で、中国国内でも漸く民主かの動きが始まったのだと思います。「習近平」氏にとっても就任早々の段階で「反民主化」のレッテルを貼られたくはないでしょうから。

さらに新年になってから中国国内のあるフォーラムにおいて、中国の大学の法律学者達が「党が法を凌駕している」との批判を展開したとの情報がありました。

現在中国共産党には「政法委員会」という組織があり、最高裁判所、法務大臣などもその影響下にあるとされています。そしてその下部組織が地方の各行政単位(省・市・県)全てに設置されて、地方の治安・法の執行において実質的な権力を握っていると言われている。つまり「法」より共産党党組織が勝っていることに他なりません。実際にはキチンと対応している地方組織も多いのではないかと推測されるが、昨年問題となった重慶市書記「薄熙来」事件ではトップがこの制度を悪用しようすれば、とんでもないことになってしまうことが実証されました。

新聞記事改竄事件が大事件となったのが広東省だということも注目すべき点だと思います。広東省の省トップ(省書記)は、「習近平」体制成立後の昨年12月、それまで内モンゴル自治区の書記であった若手のホープ「胡春華」氏が就任したのでした。胡氏は1963年代生まれ(49歳)で、10年後には「習体制」の後の指導者候補のトップに位置づけられている人物です。そのような次代の若手ホープが、共産党による言論統制問題をどのように捌くのは非常に興味があるところです。



2013年01月14日(月) 首都圏大雪で交通大混乱

昨日13日の亡母の納骨は比較的天候に恵まれました。寺本堂での読経の際に足が冷えて辛かったとか、墓石の蓋が凍っていて開けるのにかなり苦労したとかありましたが、それでも順調に執り行われたと言えます。その日の午後の「お別れ会」も無事に済ませ、翌日の今日長野県から埼玉へ帰る予定としていたのですが、起きてみると須坂市の自宅は案の定「雪景色」でした。

前回の昨年12月に打ち合せのために須坂に帰省した時も、さいたまの自宅に戻る朝は大雪に見舞われたのでした。同じ「雪」でも前回12月24日の雪と1月14日の雪とでは気象状況が全く違っていました。前回は典型的な冬型の天気で日本海側が大雪で関東地方は冬晴れの天候だったのですが、今回は太平洋側(関東平野南部)の低気圧が発達し関東南部を中心に冷たい雪を降らせたのでした。

その結果道路の状況はどうなったかというと、長野県から関東に向かう「長野道、関越」「中央高速」の関東寄りの区間が殆ど通行不能となってしまったのです。更に「北関東自動車道、東北道」も閉鎖されたので、この日長野県から首都圏に向かう高速道路は全く使えない状態となってしまいました。

こうなると長野県須坂から埼玉に帰るための経路を様々な面から検討し、ベストとは言わないまでもベターな経路を探し出さなくてはなりませんでした。こういう場面で「カーナビ」は本当に役立ちました。

まず長野県と首都圏の境界にある峻厳な山々をどう通過するか。これには国道18号線の軽井沢バイパス(坂道がくねっている)と関越道に迂回して関越トンネルを抜ける方法がありました。雪の状況を勘案し国道18号はあきらめ、長野から上越・長岡を迂回して関越で関東平野にでることにしました。

この道は比較的空いていましたが殆どの区間でチェーン規制が出されていて、前回の帰省時に購入したおいたゴムのタイヤチェーンを装着せざるを得ませんでした。更に悪いことに関越トンネルでは、入口で取り外して雪の無いトンネル内はノーマルタイヤで走行し、トンネル出口で再装着するという面倒なことまで経験しました。

今回、関越の不通区間の直前の高崎インターで高速をおり、埼玉までの自宅まで一般道を走ったのですが、この区間で最も苦労したと言えます。というのも首都圏に向かう非常に多くの高速を降りた車が、この区間に集中するだろうと予想できたからです。この区間、関越の他には国道17号線、国道17号線バイパス、旧中仙道が走っているのです。

予想通りカーナビの情報では「17号バイパス道路」が尤も混雑したようです。様々な経路から流れ込んだ車はバイパス道路を埋め尽くしてしまった感じです。私達も埼玉の少しの区間バイパスに入りましたが、殆ど動かない状況が続いたので引き返して旧道を走りました。

旧道は駅前やら繁華街を通っていますが、3連休最後の夜の9時過ぎには殆ど交通が無くなっていました。速度制限があり道が狭いのですが旧道を通ったことで比較的順調に走れました。埼玉南部では国道17号、中仙道から離れて一旦「川越」方面に迂回しました。これも正解だったと思います。川越方面は道が整備されている割に背後は埼玉の山岳地帯であるために全体の交通量は少ないのです。さいたま市に入っても17号(本道、バイパス)を敢えて通らずに細い抜け道を通りました。これが正解だったと思います。

今回は奇妙なことに高崎では道に雪などない状況であったものの、南に進むほどに積雪は多くなっていきました。既に高崎でタイヤチェーンは外していましたが、埼玉自宅近くの道には雪が積もっていてかなり慎重な運転を要求されました。とにかく13時間かけて漸く自宅に戻りました。(同道:妻、娘)




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