Miyuki's Grimoire
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2005年09月27日(火) GOLD MINE

デンバーから車で30分くらい行ったロッキー山脈の麓の小さな町に「Colorado Gold Mine」という、アメリカのゴールドラッシュの発祥の地となった鉱山跡があり、いまは観光場所として営業しているファクトリーがあります。近くの道路を通ると、その道路から山の斜面の大きなファクトリーが見えて、車で何回か通ったことがあるのですが、通るたびになんとなくその場所が気になっていました。今回は時間があったので、この金の鉱山を見に行ってみました。採掘はもう何十年も前に終わり、いまはかつて鉱山で使われていた様々な採掘のための鉄の機械がごろんと無造作に置かれていて、さびれた印象があります。中に入ってみると資料館とおみやげやさんがあり、古い写真や機械や鉱石の見本などが飾ってあります。ここで鉱山の観光ツアーをやっているので、中まで見てみようと思い、さっそくツアーに申し込みました。

ツアーが始まり、隣の部屋でまず最初に観光案内係の人の話を聞いていました。一人の男性が川で砂金を見つけたところから金にまつわる物語が始まります。そしてすぐそばの山に金の鉱脈が見つかり、以来アメリカ全土から何万、何十万という人々が一攫千金を夢見てこの地にやってきて、金を掘り始めました。やがて、農民や、商人、浮浪者から牧師さんまでもが集まり、ひとつの大きな労働組織ができあがり、地中にはいくつものトンネルが掘られていきました。そのトンネルでは水銀中毒で亡くなった方も多く、山の斜面にはたくさんのお墓があります。

この話を聞いているときに、ふとその当時の映像が頭をよぎりました。そこで強制労働についていて、来る日も来る日も金を掘っていますが、いつかここから出ていこうと思っている人がいます。その人は、少なく見積もってもあと5年はかかりそうだと考えていますが、その人というのはどうやら私なのです。私は行かなくてはならない場所があり、そこでやらなければならないことがあるのですが、いまはその時期ではないと思っています。そしてそこから出て行くチャンスを伺っているのです。まるで映画のように、はっきりとした映像でした。どこかで見た映画なのかな?と思うのですが、映画は思い出せません。それは私のスピリットが持っている、昔むかしの記憶でした。とても不思議な感じがしました。

このあと、バスで山の上まで登り、いよいよ鉱山のトンネルの中に入ってみました。狭いトンネルの一番奥に、小さな金の鉱脈が見えました。近くにはパイライトがあり、そこには「Fool's Gold」と書かれています。トンネルの中はヒンヤリとして暗く、息が詰まるような感じがします。外へ出て深呼吸すると、再び思い出します。私は、外で、採掘された金を振り分けたり、水で洗ったり、母岩から取り出したりする労働をしていました。私の手は黒く日焼けしていました。




そのあと、金のファクトリーの中を見てみました。大きな鉄の巨大な機械が置かれています。3階建てで、かつてはこのファクトリーでたくさんの人が木のはしごを登ったり降りたりして、せっせと労働していました。たくさんの汗を感じます。私はじわりと額に汗を感じて、早々に外へ出ました。







そのツアーの最後は、水の中でざるを使って、砂金から金を取り出すアトラクションなのですが、私はもう散々昔やったせいかうんざりするような感じがしてやる気にならず、それは素通りして、さっさと出口に向かいました。懐かしいわけでも、嫌な感じがするわけでもないけれど、あまり楽しい気分ではありませんでした。けれど、なぜか今、ここに来る必要があったという気がしました。

この金の鉱山の近くには「Indian Hot Springs」という温泉があります。このあたり一体はかつてネイティヴ・アメリカンが住んでいたところです。金の鉱脈が見つかったために、ネイティヴの人達は強制移住をさせられ、山も温泉も白人に奪われてしまいました。いま、その温泉も白人の管理のもとにあり、観光スポットとなっています。

この温泉は、地下の洞窟にわき出していて、かつてネイティヴの人達が治療や保養に利用していました。このお湯は本当に素晴らしく、強力な大地のパワーを与えてくれます。初めて入ったときは、1分も浸かっていることができませんでした。私は気を丹田におろし、この母なる大地のエネルギーにゆったり入りました。目をつぶって温かいお湯につかりながら、あの鉱山で働いたあと、私はどこへ行ったのだろうかと遠い記憶に思いをはせたのでした。


miyuki