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2003年05月30日(金)
マグリット


現実とはいとも簡単に崩れにけり。


石もそらも林檎も女もハットも
ただただそこに転がっているだけで
ぼくたちは理解という名の諦めに塗れてここにいる


現実が転がる
其処ここに

ごろりと。




否定や強要や叱咤や暴力や叫び声
黄色いペンキが全てを汚している





それに抗うでもなく
転がっている現実は
愛おしく
いと惜しく
いとおしい。




ごろり、ごろり。




ただ転がっている
ごろりと












現実が。



2003年05月26日(月)


時速60kmの鉄の馬は僕と君を乗せてどこまでも。




左目

真っ直ぐ前をみつめる時折ぶつかる視線は強く

左手

僕を繋ぐ鎖時折強く握り締める



もっと見せて欲しい

僕の見ない右側を僕には見えない右側を

その手にナイフを隠していたとしても



君はいつでも左

右を思い出せないなんて



車を停めよう、キスをしようよ。



2003年05月17日(土)
温度


容易に確かめられた温度は

今はもう、ない





手に触れたの
あの木陰

頬ずりしたの
あの夜道

抱きしめたの
あの季節






忘れることを日々過ぎ往くことを僕達はただただ甘受する
生きる事を余儀なくされた地獄にも逝けない亡者のように






足枷が重過ぎて
キスも出来ない

足枷が重過ぎて
繋がりあえない

足枷が重過ぎて
一番大事な言葉が出ない







いくら触れても分かり合えぬというのならいっそこんなものは絶ち切って
ただ君の温度に溶けてしまいたくなるのです先など夢見ず








月が浮かぶ
ぽっかりと

熱が透ける
じっとりと

蜜が絡む
こっくりと







求めるのは愛撫そして突き刺すような与え得るような感情
逃げられない言葉から体を隠す君の美しい背中






簡易的な温度ならいっそ冷たいほうがマシです。




2003年05月01日(木)
抱擁


優しい

優しい

優し過ぎる、抱擁





心までも潰れてしまいそうで
ゆっくり、ゆっくりと潰れて逝ってしまいそうで





それはまるでくちづけのようで
肌の温度を確かめ合った






暗い暗い坂道どこまでも続く闇

少しのスピリットを呑んだ体熱い息

ふたりにかわすような言葉はなく。







触れたのは慰めに
気持ちがあったわけじゃない






毎夜繰り返される戯事
これ以上はありえないのに






恋で無いなら何故泣くのです
愛で無いなら何故触れるの
憎んでも無いのに抱き締めて
悪くも無いのに謝るの






抱擁はどこまでも暖かく

見果てぬほど残酷で。







君を君を君、を。
本当は壊してしまいたい。


君よ君よ君、よ。
本当は繋がっていてほしい。


君は君は君、は。

世界一残酷で、優しくて、美しい。