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年忘れポッチャリ図鑑
パリッコ
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2005年11月17日(木)
勇者と供に

2005年7月某日、
僕は友人でもあるFQTQ氏のライブを見るため
高円寺へと向かった。
ライブ会場は「円盤」という小さな箱。
ここは、昼は喫茶店兼レコード屋、
夜にはちょっとしたライブやDJも楽しめるバーになるという
高円寺らしいと言えばらしい一風変わった店で、
そう広くはない店内に、こじんまりとしたDJブースと
急造のステージがしつらえてあった。

到着するとほぼ同時にFQTQライブがスタート。
まだ時間も早いこともあり
お世辞にも大入りとは言えない客席だったが、
氏の極上のエレクトロポップミュージックをじっくり味わうのに
これ以上の空間はない。お馴染みのハイネケンを飲みながら
普段の大きな会場では味わえない音の細部を楽しみ、
さながらディナーショーのように
半ば投げやりなテンションで我々の目の前で
ショルダーキーボードをつま弾くFQTQ氏のパフォーマンスを
堪能したのだった。

ライブハウスやクラブに出入りするようになって早10年近く。
情けない話、年のせいか体力が落ちたこともあり、
悪い癖で最近は目当てのDJ、出し物が終わると
何の躊躇もなく会場を後にする事も多い。
その日も、飲み差しのビールを一気に流し込み、
「今日もこのイベントを十分に堪能した。ボチボチ退散しますか」
と同行のイオ氏に持ちかけた。
「そうしますか」とこちらも迷いのない返答が帰って来たが、
その後の台詞が僕の心に多少の変化をもたらした。
「次のなんとかって人は、アカペラを一人でやるらしいすよ」
Aphex Twinで音楽に開眼した僕の事、
とにかく変わった物、おかしな者に目が無い。
つまんなかったらすぐ出ちゃえばいいし、
最初だけ見てみようと提案すると、
「そうしますか」と迷いのない返答が帰って来た。

数分後、身動きすら出来ない僕らがそこにいた。

中肉中背、やたら舞台映えのするいい顔、
ボサボサのヘアースタイルに眼鏡。
番勇者と名乗るその男は、
明らかに私服の上にマントを羽織り、
モンキーのぬいぐるみを抱いて表れた。
登場と同時に聞き覚えのあるテーマソング。
これは…ドラクエだ!
誰もが思い浮かべる事の出来るであろう
あの勇壮な名曲「ドラゴンクエストのテーマ」に乗って
登場したその男、あろう事かそのまま
勝手な歌詞を付けて歌い出したのだ!
歌詞の内容はと言えば
ゲーム「ドラゴンクエスト」の内容そのままに
自分を勇者と見立て、仲間と供に、草原、洞窟を超え、
モンスターを倒し、ついには魔王を倒し
王国に平和を取り戻すというもの。

30分弱だっただろうか…。
彼の大袈裟なアクション、表情、歌声の一つ一つが、
絶大な説得力を持って我々を冒険の旅に連れ出した。
そのスタイルは一見色物的であり、
笑いの要素もかなりの部分を占めてはいる。
しかし天性のカリスマが、自分がやるべき事を
確実に実行していると確信せざるを得ない空気感の中、
間違っても“寒い”などと感じる瞬間は1秒たりとも無く、
ただただ素晴らしき「番勇者」の世界に浸れた。

ラスト1曲「こ〜こ〜は〜、俺が〜生まれ育った〜
懐か〜しの、あ〜の町〜」旅を終えて生まれ故郷に戻り歌う
勇者と供に、我々は高円寺ではなく、ラダトームの町にいた。

ステージング終了後、藻抜けの殻となった自分ではあったが
新たに頼んだハイネケンで正気を取り戻し、
イオ氏とともに勇者にコンタクトを試みた。
ステージを降りても輝くオーラに包まれた勇者ではあったが、
とても人間の出来た素晴らしい方で、
いつか我々LBTのイベントにも出演して欲しい
と言う要求に対し、快く「いいですよ」と
返答してくれたのは、今考えても奇跡としか言いようが無い―。



と、言うわけで、そんな番勇者さんもゲスト出演してくれる、
今年最後のドリハイは、今週末です!

Drinkers High! VOL.9
11/19(SAT)@ 阿佐ヶ谷kem
17:00〜22:00 \1,000/1D

GUEST DJ:Paris池田(DP1),
GUEST LIVE:番 勇者
RESIDENT DJ:イオ、パリッコ、ペタンク
http://mixi.jp/view_event.pl?id=1996924

今回のスペシャル企画は
“薄着の人にはDJイオの自伝(前半)プレゼント!”
だって。ほんっと、わけわかんないよねー。
とにかく最後にいっちょ、飲んで飲んで盛り上がりましょう!
よろしくお願いします!