のんびりKennyの「きまぐれコラム」
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2001年02月10日(土)  「デイトレイダーの生存率」 

   デイトレイディングセミナー大盛況との噂を耳にする。

しかしその一方で・・・・・・・

ちょっと自分の周りを見渡してみると・・・・
累々たるデイトレイダーの屍の山である。
およそこのフィールドを数年単位で生き残っている人間のなんと少ないことか。
平均すれば半年から1年弱、はやい人間はほんの数ヶ月で消えていく。
自ら見切りをつけて去っていく人間はまだましな方で、
おおよそのトレイダーは、瞬く間に投下資本をすり減らして失意の退散となる。

   どこに原因があるのか?
4つほど思い当たることがある。

第1のケースは、以前にも繰り返し書いたので重複は避けるが
中長期株式投資とイントラデイトレイディングの混同である。
このふたつは似て非なるもの。
ストックマーケットという同じ土俵を使用するが、その実態は全く異質な経済行為である。
そのあたりを良く理解しないというか理解出来ないというか
まあ旧態依然的思考回路を有する頑固トレイダーが
中長期投資の経験や中途半端な株取引知識をベースにチャレンジして失敗するケース。
当然であろう。 相撲をとるつもりで土俵に上がってみたら、
実際にはマシンガンの撃ち合いである。
勝てるわけが無い。

   第2のケースは、俗に「コンピューターおたく」と称される
精密機械取り扱い没頭症候群患者が、そのありあまるほどに
詰め込んだコンピューターハード&ソフト知識を武器にチャレンジするケースである。
このケースの特徴はやたらとハードウエアに凝ることで、
トレイディングプレイスはまるで証券会社のディーリングルームのミニチュア版と化す。
しかし、これまた当然のことながら、ダイレクトアクセス
トレイディングにコンピューターや接続回線の知識は必要だが、
それは多くの必要条件の中のほんのひとつで、充分条件などにはなり得ない。
時間の問題で早々の退散となり、自宅には機械の山だけが残ることとなる。

   第3のケースは必要な資金を甘く見るケース。
家庭教師のアルバイト料が入った学生がその金で
中東の油田掘削プロジェクトを展開しようとはけっして考えない
であろう。
それは、2者の間の金額に天文学的な差があることを
たとえ漠然とした知識ではあっても、なんとなく理解している
からである。
ところが、ことイントラデイトレイディングとなると、
その畑が極めて新しい為に一般に普及している正確な
情報が非常に乏しく、その知識も稚拙である。
その結果、僅か数千ドルとか、やっとの虎の子1万ドル
などという、本来チャレンジすべきでは無い、
とんでもなく小さな金額でチャレンジしてしまう。

長年生き残っているトレイダーは声を大にしては言わないが
イントラデイトレイディングにおいては少さな金額で大きな
スプリットを狙うトレイディングほど経験と知識と技術が
必要であり、初心者は大きな金額で、動きの少ない優良株の
小さなスプリットを狙うのが良いことを実は良く知っている。

つまり初めから勝率の少ない不利な戦場でのスタートに自分を追い込んでしまい、
マーケットメーカー達に蹴散らされ、不本意な退散となるのである。

   そして、第4のケース。
これはあまり指摘されないが非常に重要だと感じる。

「適性」である。

そんなものがと思われる方もおられようが、
このイントラデイトレディングなるものには、あきらかに
人による向き不向きがある。
持って生まれた性格や気質、The Way of Thinking から
極論すればものごと全ての価値観、人生観に至るまで、
書き始めれば長くなる・・・・

スポーツでも社交でもおよそ他のことでは何をやっても
素晴らしい才能を発揮する友人がいる。
ところが私の真似をしてはじめたイントラデイトレディング
だけは全くダメで、何をやってもやればやるほど赤字の
累積、ついに先日口座をクローズした。
また、別の知人は中長期株式投資でそこそこに成功し、
わざわざテキサスまで出掛けてイントラデイトレイディングの
セミナーまで受け、満を持してスタートしたが、瞬く間に
虎の子の投下資金を1/4近くまで減らしてしまい、
半年ほどであきらめてしまった。
いずれも優秀なビジネスマンであり、その能力は私など
軽く凌ぐに違いない人物達である。

走るのが速い人間は子供の頃から運動会ではいつも一番。
何の練習もしなくても、ただ走れば速いのである。
一方走るのが遅くても別に人として何一つ劣っている
わけでは無い。
走るという行為に関するその人間の適性にすぎない。
これとやや似ている。
難解な理論や学問、あるいは武道の長期にわたる修練等
とはややおもむきを異にするのである。
能力というよりは、やはり「適性」と呼ぶべきであろう。
イントラデイトレイディングにはそういうものが確実に
存在する。
それを見極めることなく、ずるずると負け戦を続け、
気がついたときには大怪我をしているトレイダー。
これが実は案外多い。

   え? そこのあなた、自分だけは上の4つのケースの
どれにも当てはまらないから大丈夫ですって??

う〜ん・・・そういう「頑固な思い込み」がもしかしたら
第5のケースかも・・・・・


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