恋文
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2011年11月30日(水) もうすぐ雨

風が
いきなり
吹きすさんだ

けれど
水の匂いがして
和らいだ


2011年11月29日(火)

海につながる
としても

海ではない

音もなく
流れてゆく


2011年11月28日(月) 街角

風といっしょ
急ぎ足ですぎる
街角の暗さ


2011年11月27日(日) 午後

日が
傾いてゆく

林のなか
モザイクを
変えてゆく


2011年11月26日(土) 秋日

午後には
すでに

遠くから
冴え冴えとした
ひかり

からだを
通ってゆく


2011年11月25日(金)

無言のまま
すれ違ってゆく

聴こえるのは
スピーカーからの
音ばかり


2011年11月24日(木) 眠りのまま

いつものことが
いつもでなくなる

夢ではないなら
めざめない


2011年11月23日(水) 夜の雨

突然の 
雨にふるえる
木々は

街灯のひかりを
たわめる

傘のしたに


2011年11月22日(火)

耳がひろっている

カーテンのむこう
ガラスのむこう

通りの音
はなし声

眠りにはいる前に
きりはなす


2011年11月21日(月) 秋風

信号を待つあいだ
風が通りすぎる

星のない夜空


2011年11月20日(日) 夕暮れ

いきなり
日は傾いてしまい

重い雲のしたで
峰がひかる

もう
今日が
終わってしまうのね


2011年11月19日(土) きず

薄く切れて
指に
血が滲む

からだは
知らないうちに
きずつく


2011年11月18日(金) 眠気

電車に揺られて

もうここにいない

とろとろ
とけてしまうみたい


2011年11月17日(木) 離れる

少しだけ
離れるのがいい

ここではない
時間を過ごそう


2011年11月16日(水)

いつも変わらない
朝の風景は
白々としている

誰かが
立ち去ったあとのように


2011年11月15日(火)

少しとおい
海を思ってみる

波しぶきを
はこんでくる

風の感触


2011年11月14日(月)


はらはら
ふっている

繭になって
ねむる夜


2011年11月13日(日) ラジオ

ラジオから
聞こえてくる

相撲とか
野球とか
別世界のこと

ときどき
怖くなる
事故のこと

あの子は
元気で
やっているだろうか


2011年11月12日(土) 水の中

いつか
雲がかかった空

少し 水の中

体温に
馴染んでゆく


2011年11月11日(金)

風は
真っ直ぐ前から
やってくるのだった

誰かの
明確な意志が
そうしているように

そんなことなど
知りたくないので

真っ直ぐ
前に歩くのだった


2011年11月10日(木) 彩り

ベランダの朝顔
置き去り

公園の木々
いろづく


2011年11月09日(水) 小さな世界

水槽の中だって
揺らされたら
びっくりする


2011年11月08日(火) 慣性

押されるままに
動かされて

やがて いつしか
止まる

しんと
静まっている


2011年11月07日(月) 自分

意識のない間
密かに覚めている
もうひとり


2011年11月06日(日) 濡れる

匂いを
取り込む
からだのなかへ

しっとり
濡れた


2011年11月05日(土) 街の音

誰かが
手を離した

風船が
空高く上っていった

鳩が屋根の上
見下ろしている

音の渦


2011年11月04日(金) 普段のこと

普段どおり
特別なことはない

陽射しも
あたたかい


2011年11月03日(木) 帰る

何も違えなかった
日は暮れていった

真っ直ぐ帰る
舗道に映る影


2011年11月02日(水) 通過点

辿りつかなくても
通り過ぎる

それぞれの
場所へと

茫々とした道筋


2011年11月01日(火) 毎日

さまざまな
夢を見ていても

毎日は同じ


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