恋文
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2008年02月29日(金) 回顧

立ち止まって
振り返るのは

たどってきた
道すがら

ここにはないものばかり


2008年02月28日(木) 春よりも

春を前に
別れを告げた

春から
たくさんの いのちが
始まるというのに

ふりかえり
ふりかえり

春よりも前に
帰りたい




2008年02月27日(水) 季節

朝 景色の色がはっきりとして
鳥の声を 聞く

影だけが 立っていた
季節がおわり

まだ ここに
とどまっている



2008年02月26日(火) 逢えない間

時間も
空間も

思い出と
夢で

埋めてしまおうか

ひとりで
ときがすぎてゆく


2008年02月25日(月) お誕生日

なにが 変わったわけでもありません
特別なことでもないのです
ひとつ 年を重ねました

お祝いのことばに
すこし照れて

やはり
なんだか 特別な日なのかも
しれません 


2008年02月24日(日) 重さ

ブランコに乗って
遠くに 
靴を 飛ばす

失った靴を 取りに
あなたを 負ぶった

夏の夜の
重さ


2008年02月23日(土) 天六

その日 労働を終えて
私たちは
商店の並ぶ通りを歩き
どこか 安く飲める店を
探したのだ

明るい 殺風景な
店のなか 
ひとつのテーブルに
顔をつきあわせて

へこんだアルミの燗器から
分けあう 酒は
胃の中にも
熱いままだった

天六の 酒は
うまかった


2008年02月22日(金) あいだ

あいだは
からっぽだろうか

きのうと きょうの
あいだ

いままでの
あいだ

あいだを生きている
あいだ



2008年02月21日(木) 日々

なにもかわらないとて
一日がすぎ

明日も
なにごとがなくてもいい

ずっと 続くのなら


2008年02月20日(水) 浅い眠りに

夢も とどこおって
ゆたゆたする

もう ずっと
眠っていたみたいなのに


2008年02月19日(火) 不安

まるで
魑魅魍魎みたい

考え始めると
いくらでも
わき上がってくる


2008年02月18日(月) 日暮れ

いずれ どこかに
行きつくまでは

まだ いくどでも
踏み迷うだろう

日は もう
暮れてしまう


2008年02月17日(日) 迷路のように

あっちに ぶつかり
こっちにも

後戻りをして
進みあぐねて

ずっと 歩いている 
あいだ

まだ 行くところが
ある


2008年02月16日(土) 思い

遠くにいる ひとを
思ってみます

どんなに つながりが
薄くなっていても

ちいさな できごとが
思い出させて
くれるでしょう

風は 冷たいけれど
陽のあたるところは
暖かいです


2008年02月15日(金) わたし

みだれた 髪の
鏡のなかで
微笑んでいる

わたしは
わたし

どんなに
変わってしまえなくても


2008年02月13日(水) それは 違和感なのだろうか

からだを 厭えば
どんなにも
嫌になる

折り合いが
つかなかれば

できるような
反抗の かたち

殺して しまおうか
殺しても よいならば

わざと 痛いと
言わせてみる


2008年02月12日(火) お誕生日

あなたに お誕生日のカードを
送りました

どんな お祝いを
書いたらいいのだろうかと

カードに 言葉を書く手を
休めてしまい

振り返る 日々
そのままに まだ わたしたち
どんなにも
変わってしまったとも
思わない

また 幾度も いつまでも
出会い続けようね

そんなふうに
書きました


2008年02月11日(月) 痛み

わたしは
オプティミストではない

必ず 犠牲があり
悲しみが あることを
知っている

それでも やっぱり
痛みは

痛いのだ

眠っているあいだ
忘れてしまいたい

そんな 痛みは

抱いたまま
わたしの からだの

一部になってしまう


2008年02月10日(日) 散歩

裸になった 細い枝ばかりの 木々のあいだから
見える
水鳥たちが 漂っている

硬いパンを 砕いては
ほうりなげる
水面に さざなみのような
もっと ちいさな
波が おこる

子供達は 鳥たちが 好きだけれど

帰ってきた そのあと

きみは うさぎを 抱いていて
なんだか 満ち足りて いるではないか

午後のひかりが
ゆっくりと 冷たくなってゆく


2008年02月08日(金) 想い

傷ついて
たやすく
忘れてゆくだろう

忘れなくて
とどめて

残っていたら

わたしのもの


2008年02月07日(木) 記憶

すこしづつ
擦り切れて
いるのだろう

気づいたとき
なにが
残っているだろう


2008年02月06日(水)

わたしを 思い出すとき 
影のようだと
言った ひとがいた

それから 時が
ずいぶんたって

わたしにも いつか
たくさんの 
影のようなひとたちが
いるのだ

影同士は きっと
すれ違うこともないのだろう


2008年02月05日(火) 冬にだって

まだ 始まらないことも
始まるだろう

ばらの花が
いっぱいに
開いている


2008年02月04日(月) 暗闇

手探りで
求めても
なにも
触れない

まだ 目を
とじたまま
立ち止まっている


2008年02月03日(日) 待っている

また あしたが来るね

あしたは 
ひとりで 待っているの

あなたも
待っているのね

わたしも
いっしょ


2008年02月01日(金) 潜む

急に
心細くなったけれど
逃れるところが
ないよ

闇にまぎれたほうが
よっぽど
心地よい

じっと
自分の音だけを
聞きながら


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