恋文
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2006年09月30日(土) いまは

どこに いる

聞いていたい

声を

思い出す
そのまま

なんにもない
そのまま


2006年09月29日(金) 目隠し鬼

鬼さんこちら
手のなるほうへ

だんだん
声が 遠くなって

ひとり
たっている
夕暮れ


2006年09月28日(木) 朝もや

朝もやのなか
町が
静止している

覚めない
ゆめのなかに
いるみたい


2006年09月27日(水) とおく

とおい
国のことを
おもい

とおい
未来のことを
おもう

思い出に
さかのぼって

とおくに
ゆく


2006年09月26日(火) 雨上がり

濡れたままの
葉っぱ
ゆれる
みどりの
ひかり


2006年09月25日(月)

さらさらと
聞こえる
流れになって

いくつもの
記憶に
つながってゆく


2006年09月24日(日)

わたしが
髪をのばしている
あいだ

うちの
女たちは
ぷつぷつと
切っているのだ

きょうも
とても 静かな
切られた 髪を

集めて
捨てた


2006年09月23日(土) 遠く

わたしには
きっと たどりつけない
遠いところ

行きたいわけでは
ないのに

ずいぶん
遠くに来てしまった

どうやら
帰れるわけでは
ないらしい

さて
どうやって
どこに
ゆこうか


2006年09月22日(金)

そこにいるのは
だれでしょう

問わないで
いいのです

そこには
夜ばかり


2006年09月21日(木) 夜に

いつか
朝を
むかえなくなる

きょうの
夜の
しじまに


2006年09月20日(水) 秋の朝

花が
咲いたら
香りのなかに
歩きだそう

雨がふるだろう

わたしは
夢なかで
花を
見ている

雨のおとのなか


2006年09月19日(火) 塞ぐ

しみに
なってゆく
みたい

なんでもない
のに

なんでもない
ことが

ひろがって
ゆく


2006年09月18日(月) 雨を透かして

街は
記憶のなかの
ように
くすんでいる


2006年09月17日(日) 夜は

なんにも
しらない と
言ってみる

あぁ、なんて
知ることが
多かったのだろう

もう
忘れても
いい


2006年09月16日(土) はずれる

あ ぐらぐら
はずれてく
わたしは
いいなぁ
と おもう


2006年09月15日(金) いつか

いつも と
いうことは
きっと
ないことで

いつか と
いうことを
こころまちに
している


2006年09月14日(木)

いつも
雨に濡れたように
くらい
どこかに
踏み迷った
ような


2006年09月13日(水) きんもくせい

もうすぐ
その街は
香りにみちるだろうに

もう
秋をつげている
ひかりを
透かす

いまでも
香りをとどめている
その一枝を
目の前に
みるように


2006年09月12日(火) はんぶん

夕暮れの
ひかり
葉っぱが
ゆれる

ひかりが
はんぶん 
かげが
はんぶん

まぶしさも
はんぶん


2006年09月10日(日)

ひまわりは
立ち枯れていた

とうもろこしが
包まれている

誰も いない

まっすぐ
道がのびている


2006年09月08日(金)

足にからまる
藻が 
こわかった

ながれてゆく
砂が
こわかった

とおくの
海の底

しずんでいる
わたしを
おもっていた


2006年09月07日(木) うたかたのように

まだ 
だとしても
もうすぐ 
だとしても

いずれ
きえてしまう
そのときを
いつ
しるだろう


2006年09月06日(水) 立ち止まる

立ち止まってしまうと
もう
進みたくなんかない

降りかえっても
遠い道


2006年09月05日(火) もしも

眠りに落ちる
まえには
とりとめもなく
考える

それは
夢にすらも
あらわれない


2006年09月04日(月) 渡り廊下

その渡り廊下から
街が見渡せる

光が
ガラスを透って
溢れて

そのまま
消えてしまおうか


2006年09月03日(日) 沈む

しばらく
沈んで
それから

上になったり
下になったり

くるくる
ただよって
いよう

天も 地も
なんにもない


2006年09月02日(土) 真昼

すこし 空は 
灰色だけど

草地は
みどり

牛は
草をはんでいて

森は
ずっとのびている

ねむたいような
陽射し


2006年09月01日(金) におい

草のにおい
花のにおい

ねむりに
おちるまえに
よみがえらせ

ゆめに
たずさえて
ゆこう


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