lucky seventh
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2006年01月24日(火) 懺悔の言葉しか知らない。

その日、誰よりも親しい友の愛する人は失われ
そこだけ、それはまるで終末の世界のようだった。

















空は流れていた。
暮れていく世界の色はまだ、燃えるようなグラデーションで
それはまるで世界を焼け付くそうとするような、そんな風に見えた。

ただ、そんな世界の中心だげが ぽつりと黒い点のように
消えない染みのように滲んでいた。

よく見ると、それは1人の男だった。
その腕には人がいた。
壊れた人形のように、糸が切れたよに動かない人がいた。


2006年01月22日(日) 後悔の言葉なんて言わない。

健気なんて言葉はアタシには似合わないと思うの。
アタシは 我がままに生きて、我がままに死んでいく
そう言う人生が似合うって思うから、そう言う風に生きて 死んで逝くわ。














○。後悔の言葉なんて言わない。○。












バカみたい。
身分違いの恋だなんて最初から分かっていたじゃない。
それなのに淡い期待を抱いて、夢みるなんて。
あぁ、そうか分不相応ってこういう時に使う言葉なのよね。
まるでアタシのためにあるような言葉じゃない!
夢を見られただけ、きっとアタシは幸せなのよ…。
そう、そうに決まってる。
だから、もういいじゃない。
こんな時代でこんな幸せな夢を見れて、アタシはきっと三国一の果報者なのよ。
だからさ、もう夢から目覚めようか。
おしまいの時間だよ。


物語はめでたしめでたしで終わらなくっちゃ
誰も浮かばれない。

だからアタシは、このままひっそりと消えていくよ。










綺麗な指が目に付いた。
その女は美しい手を持っていた。
水場の仕事をしているはずなのに、その手には一切の荒れもなく
その指の先は、貝のような爪をしていた。
容姿はそれこそどこにでもいるようなまだ年若い女だったが、
その所為かどこか心の琴線を弾いた。

「名は?」

いきなり声をかけた男に、女は驚いたように振り向いた。
しかし次の瞬間、微笑み言った。

「小鈴(シャオレイ)と申します。」

その声はその名前と同じように、まるで小さな鈴の響きのようだった。



それが二人の出会いだった。



下働きから仕事から側使えのように働き出したいつの頃からだっただろう。

「小鈴」

男は女の名を呼ぶけれど、女は一度として男の名を呼んだりはしなかった。
否。
そんなことが出来ようはずもなかった。
男はそれがもどかしかった。
女はそれを分かっていたけれど、男のために呼んだりはしなった。

男がほんの少しでも酷いやつであれば女を手篭めにすることもできただろう。
女がほんの少しでも欲深くいられたならば、男と共に居続けることはできただろう。

互いを思いやる重い思いが二人を分かれさせた。

男はいずれその家にあった女を娶い、家を築き上げていく。
女はそんな男に死ぬまで仕え続けなくてはならない。
それが二人の現実だった。



けれど、女には男以上に分かっていた。
終わりを。
それは女のプライドだった。
せめてもの幕引きを、自らの手で降ろすことが女の自分への慰めであった。
たくさん人が死んでいく時代だった。
女もその1人だった。
ただそれだけのこと。

男は希望だった。
だから、希望であり続けるために男は何れ自分を捨てなくてはならなかった。




だから、女は最期に

「うそつき」

そう微笑んで死んでいった。









だから、女は男が自分の骸を抱いて
むせび啼いたことを知らない。
それは取り返しの利かない出来事だった。


2006年01月18日(水) かくも哀しみ、満ち充ちた世界。 

人は、なりたい自分になれなかった時、
なりかたった自分をサガスのだろうか?





これはなりたい自分になれず、
なりたかった自分をさがし求める、哀しい人々のお話し。



2006年01月11日(水) サーガ レギオン

これは境界だ。

渡る事もけして適わぬ、
 のぞく事もできない よどんだ川。

それは境目だ。

踏み込むことは決して適わぬ
 踏み入れることを許されぬ 禁忌にして聖域。










反抗するか 人の子ぞ

抵抗するか 神の子よ


これは境界

蹂躙するものに天罰を 天災を


黙して、秘すことこそ我が役目ぞ。

これは境目

躊躇するものに罰則を 懲罰を


照らして、晒すことこそ己が使命よ。

















2006年01月06日(金) 彼女の語る物語り・久遠 光と波の記憶。

ねぇ、母さん。
今日はどんな話しをしてくれるの?

足を伸ばした状態で
スカートのすそが汚れるのもかまわずに座る少女に少年が言った。
少女のような外見の彼女を母と呼び、
太ももと膝の間に甘えるように頭を乗せて、
そこから少女を見上げる少年。
彼女は笑う。
はんなりと。

そうねぇ。

見上げた空にまぶしそうに目を細めて、
飛び行く鳥に
 あの日、口笛を吹いて鳥を招こうとした青年と少女を思い出す。







今日はお伽噺になれなかった二人の物語を-----




それは美しい夢でした。

滅びたはずの場所のあの日の夢を繰り返す。

今となっては果ての住人の見た夢。

つづきは紡がれることなく、物語りがくぎれたあの日を迎えては 繰り返す。

そう、繰り返されるはずだった…夢

けれど、あの日、あの時、 少年は夢から現実へと訪れた。

夢の中の少年は何も知らぬまま、
誰かの物語りから 抜け出した。

そして、少年は少女に出会う。

世界を救うために旅に出た少女と。


少女は言った。

私はこの世界の 悪夢と言う名の夢を終わらせたいのだ。と。

少年は言った。

さめない夢などない。

それは明けない夜がないのと同じように。と。


数々の苦難が、少年と少女を襲い。
あまたの出会いが、少年と少女を導いていった。


そして知る。
少年は自身のことを

俺はこの世界の悪夢と同じものだ。と。

旅の中で少年は青年へと成長してゆく。

そして知った。
少女は己の使命を

私はこの世界の悪夢と共に最期を歩もう。

旅の中で少女は自らの運命を切り開いていった。


少年は悲しい覚悟をし
少女は哀しい結末を予期していた。


夢はいつか覚める。 それは今だと少年は笑って言った。
いつかさめる夢。 それを少女は望んでいたはずだった。


世界を救った後、そこには少年の姿はなかった。
ただ、少女だけがいた。


悪夢は終わった。

目をさました世界には 初めから、少年はいなかった。
目をつむったはずの世界は 少女には見ることができなかった。


だから、少女はあの日 夢見たつづきを探しにまた旅立ったのだ。

それは、少女の物語りの幕開けでした。









今日はここまでで おしまい。

少女は笑って、膝の上の少年に言った。
少年は不思議そうな顔で少女の顔を見上げる。


ねぇ、母さん。

なぁに?

まだ、物語りは終わっていないの?

そうねぇ、


少年の問いに 少女は少し間をあけて、


きっとまだつづいているんだわ。

そう笑った。
そして付け加えるように、


だからね、お伽噺にはまだ なれなかったのよ。  満足そうに言った。


ナナナ

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