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2014年09月10日(水) 若手の2ゴールをベテランのミスで帳消し

サッカー日本代表がウルグアイに続き、ベネズエラと国際親善試合を行った。結果は2−2のドロー。新戦力の武藤嘉紀、柴崎岳がクリーン・シュートで2得点したが、ブラジル組のCB水本裕貴、GK川島永嗣の決定的ミスで2失点、アギーレ・ジャパンの初勝利を逃した。

ベネズエラはウルグアイに比べて決定力不足。ビッグチャンスをことごとく逃し、日本のミスによる2得点に終わった。韓国から転戦してきたコンディションの整わないこの相手に、ホームで勝てない日本の現状はかなり厳しい。といってもこの弱さは監督の責任ではない。いまの日本代表の実力はこの程度ということ。

4−3−3へのシステムに不慣れのためという見方もあるようだが、そんな問題ではない。この試合、まずブラジル組で海外組のFW本田圭佑、SB長友佑都、SB酒井高徳、GK川島永嗣がだめ。ブラジル組ではないが、細貝萌も攻撃的センスが見られない。海外組で元気なのは岡崎慎司だけ。本田圭佑は惜しいFKがあったけれど、流れの中でシュートを打つ場面が少なすぎる。FKのスペシャリストでは困る。前回も書いたけれど、ゴールに遠い右サイドは、本田圭佑のスピードでは、シュートに向かう機会が激減する。わかりやすく言うと、動きの鈍い本田圭佑はトップ下しかできない。4−3−3でいくなら、右サイドは田中順也だろう。筆者としてはアギーレに、本田圭佑を下げて田中順也が入る形をテストしてほしかった。

それにしても納得できないのが、相手に自由にミドルシュートを打たせるDF陣の動きの悪さ。シューティング・エリアでボールをもった相手に寄せるという基本ができていない。これは危険だ。DFについては、CB吉田麻也を含めて、代表人選を白紙に戻した方がいい。フィジカルの強い若手に切り替えるべきだ。アンカーの森重真人も疑問。ここは細貝萌のほうが適しているのではないか。SBも長友佑都、酒井高徳、酒井宏樹がこの程度なら、新戦力に切り替えるべきだろう。

この2試合で見えてきたのが、ブラジル組の衰退。年齢、モチベーションからみて、代表としての活躍を期待できない。もちろん4年後の衰えはさらに深まる。アジア杯、W杯アジア地区予選を通じて、徐々に新戦力に入れ替え、最善のチームをつくってほしい。



2014年09月07日(日) アギーレジャパン、初戦は完敗

サッカー日本代表が監督交代(ザッケローニ→アギーレ)後、初の親善試合をウルグアイと行った。結果はご承知のとおり、0−2の完敗。失点は代表初召集のセンターバック(CB)坂井達弥のミスからだった。日本代表の最大の課題である守備、とりわけCBの強化が浮き彫りにされた。

ミスをした坂井達弥は責められない。そもそも、坂井達弥は所属するクラブである鳥栖のレギュラーではない。たまたま鳥栖の試合を観戦した新任のコーチの目に留まっての招集だという。経験もなければ、実績もない選手をいきなり試合に出すアギーレにはまったく、「アギーレ」た。

こういう選手起用法をひらめき采配という。が、概ね失敗する。スポーツ選手の実力というのは、アベレージで計ることが一般的だ。たとえばボーリングの場合、たまたまパーフェクトを出した選手をたまたま見て、その選手を国際試合の代表に送り出しはしない。ボーリングに限らず、アベレージが目安なのだ。ゴルフでもビギナーズ・ラックというのがある。初めてグリーンに出た初心者がびっくりするようなスコアを出すことを言う。坂井達弥の招集もこれに近い。こんな代表選出をするアギーレに代表監督としての手腕があるのか疑問だ。

選手交代の意図も不明なままだ。ワントップの皆川佑介から武藤嘉紀の交代が後半の13分。この交代は妥当だろう。31分に、ステム変更して、田中順也に代えて柿谷曜一朗を投入。以下、SB酒井宏樹から酒井高徳の交代が42分、森重真人から森岡亮太が後半44分と、後半40分過ぎの交代は試合の趨勢を覆す意味を持たない交代のための交代だった。初召集の選手を試合で見てみたいという気持ちはわかる。ならば、ブラジル大会経験者(岡崎慎司、本田圭佑、長友佑都、吉田麻也、川島永嗣)を代えて、ブラジルに行かなかった選手を試すべきではないか。

試合に出続けたブラジル組も輝きを欠いた。とりわけ本田の不調ぶりは際立った。スピードがない、フリーキックもだめ、シュートを打てない・・・右サイドという本田にとって新しいポジションだが、適性があるのかは未知数。このポジションの選手としては、ブラジルW杯オランダ代表で大活躍したロッベンが有名だが、本田はスピードがないので、内側に切り込む怖さがない。ロッベンの足元にも及ばない。ウルグアイに限らず、堅守の代表チームならば、簡単に守備できる。つまり、本田の右サイドはワールドクラスのレベルではつかえない。いよいよ、本田抜きの日本代表を本気で考えないといけない時期にきたようだ。

この試合の位置づけは、アギーレという外国人監督の下、ブラジル大会の余韻の残るこの時期、ブラジルに行けなかった日本の代表サポーターを対象とした、協会、広告代理店、TV局、スポンサー共同のサッカー興行にほかならない。強化をしたいのならば、海外に出て行って試合をすべきだ。

欠点ばかりが目立ったアギーレの初陣だが、新しい可能性も見えた。ワントップにフィジカルの強い皆川を起用したことだ。皆川は惜しいシュートを放った。ザッケローニが頑なに採用しなかったフィジカルの強いワントップ起用が、アギーレによって実現した。

このポジションには、今回招集されなかったハーフナー・マイクもいる。ハーフナーには、スペインリーグで成功して日本代表のエースに成長してもらいたい。おそらくワントップは岡崎、皆川、ハーフナーの三者が競うのではないか。



2014年09月05日(金) 広島、阪神は対読売でみせる中畑DeNAの闘志を見習え

日本プロ野球(NPB)セリーグのペナントレースはどうやら、読売の優勝で決まりそうだ。終盤の首位攻防戦で阪神(2−1)、広島(3−0)に勝ち越し、ゲーム差を広げた。筆者の予想は阪神優勝で読売は2位としたのだが、外れる可能性が強まった。

今シーズンの読売は万全ではなかった。故障者が多く、前半は内海、沢村、西村、山口、高木京らが離脱。8月〜9月初めにかけては大竹、エース菅野が離脱。一年間ローテーションを守ったスターターは杉内ただ一人。

しかし、小山がローテーションに入ってから安定度を増し、菅野の穴を埋めるべく沢村、内海が復活して、終盤の勝負所においては、杉内―大竹―小山―沢村―内海の五本柱が確立された。中継ぎ、抑えは昨年ほどの安定感はないものの、香月、青木、江柄子らが地味ながら仕事をこなし、西村、山口、マシソンで勝ち星を拾っている。

野手陣は捕手阿部の調子が悪く、村田、坂本、ロペスも低打率に喘いでいたが、ゲーム後半になると得点圏で有効打が出る勝ちパターンが定着。競り合いでゲームをものにしてきた。

現在の先発野手を見ると、開幕当初と変わらないように見えるが、橋本、亀井、片岡、長野、高橋(現在も離脱中)は故障で離脱していた期間があり、それを経ての8月末〜9月初の復帰である。

レギュラークラスの入れ替わりが激しく、クリーンアップを打っていたロペスは阿部の控え、アンダーソン、セペタは故障でベンチから消え、さらに橋本、長野の離脱中は隠善、太田が、片岡の穴は井端が埋めるといった具合で、豊富な戦力を惜しみなく投入して戦力ダウンを補ってきた。

何度も書くことだけれど、読売はセリーグの他の球団と比較するとほぼ2チーム分の戦力を保有している。とりわけ外野陣の戦力は豊富で、高橋、アンダーソン、セペタ、橋本、太田、松本、長野、亀井、隠善と、読売の3つの外野のポジションには、他のチームのレギュラークラスが6選手いることがわかる。

内野は2塁に片岡(井端)、遊撃に坂本(井端)、3塁に村田(井端)と手薄になるが、一塁は阿部、ロペス、亀井、アンダーソン、捕手は阿部(小林)と豊富である。

打線の組換えも頻繁で、調子を落とすと、村田、ロペス、長野といった他球団なら不動のクリーンアップが7番、8番を打った。

前出のとおり先発投手陣も同様で、序盤の菅野―杉内―大竹―内海―(宮国→セドン)から、杉内−小山―沢村―内海−大竹にかわり、内海の故障中には今村、笠原らが先発したこともあった。

読売の豊富な戦力がシーズンを通してチーム力低下を抑え、首位を確保しているのがセリーグの現状であることはまちがいない。しかし、天王山と思われた8月末から9月初めの阪神、広島との戦いについては、阪神、広島の各選手に勝負に対する執念が感じられず、なにがなんでも読売に勝つという闘志・気迫が乏しかったことは誠に残念と言わざるを得ない。とりわけ、広島のエース・マエケンが読売の長打に屈し、先発2戦とも敗戦投手になったことは悔やまれる。

阪神、広島の戦いぶりをみると、読売の息の根を止めるべくあと1点が取れず、後半追い上げられて逆転負けするケースが多かったように思う。また、ミスによる失点や、ここ一番で読売の打者に有効打を屈するバッテリーの勝負弱さも目立った。セリーグの他球団の投手は、読売の打者の知名度や実績に気後れしている。読売のチーム打率はリーグ最低なのだから、慌てないで大胆に投げてもらいたい。

広島、阪神に比べると、読売相手に闘志をむき出しにして立ち向かう、中畑DeNAに魅力を感じるのは筆者だけだろうか。DeNAは読売に勝ち越している。年俸、知名度、実績において読売の各選手に劣るDeNAだが、闘志・気迫は素晴らしい。

もう手遅れかもしれないが、阪神、広島が読売に迫るには、DeNA各選手の気迫・闘志を見習うしかない。


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