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2014年06月28日(土) W杯GL総括と日本代表の問題点

W杯ブラジル大会がグループリーグ(GL)を終えた。日本はC組最下位。1勝も上げられなかった。前評判は華々しかったけれど、進化する世界サッカーの流れに完全に取り残された、惨めな戦いぶりだった。とはいえ、勝負において勝ち負けは仕方がない。サッカー強豪国と言われるスペイン(前回大会優勝国)、サッカーの母国イングランド、優勝経験国のイタリア、Cロナウド擁するポルトガルがGLで姿を消しており、W杯における戦い方の難しさを物語っている。

(一)ベスト16決定――北中米・南米の強さ、アジア勢の弱さ際立つ

アジア地区から出場した4チーム(日本・韓国・オーストラリア・イラン)がそろって敗退。アジア地区のレベルの低さが証明された。反対に、開催地域という視点からみると、南北アメリカ大陸(北中米、南米)勢の健闘ぶりが目を引く。死の組と呼ばれたD組(イタリア・コスタリカ・ウルグアイ・イングランド)を1位で通過したコスタリカがサプライズを起こしたし、同じく死の組と言われたG組(ドイツ・ポルトガル・ガーナ・米国)においても、米国が2位に食らいついて勝ち上がった。本大会における北中米・南米勢は、開催国のブラジルを筆頭にチリ、コロンビア、ウルグアイ、エクアドル、アルゼンチン、メキシコ、コスタリカ、ホンジュラス、米国の10か国。うち、エクアドルとホンジュラスの2チームを除く8チームがベスト16入りを果たした。

予選地区別の詳細は、欧州勢13チーム中、オランダ、ギリシャ、スイス、フランス、ドイツ、ベルギーの6チームが勝ち残り、クロアチア、スペイン、イタリア、イングランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ポルトガル、ロシアの7チームが敗退している。アジア地区は前出のとおり4チーム中すべてがGL敗退。アフリカ地区5チーム(カメルーン、コートジボワール、ナイジェリア、ガーナ、アルジェリア)のうち、ベスト16入りはアルジェリア、ナイジェリア。

欧州勢が13チーム中6、北中米が4チーム中3、南米地区が6チーム中5、アジア勢が4チーム中0、アフリカ勢が5チーム中2というわけで、北中米・南米のアメリカ大陸勢の強さが際立っている。時差の関係だろうか。

(二)日本代表の問題点

GLにおける日本代表の戦いぶりは不甲斐ないものだった。初戦のコートジボワール戦がすべてだった。この試合は相手の攻守がともに不安定で、その中で日本が先制点を上げるという、またとない展開だった。この試合で勝ち点3を上げなければいけなかった。

ところが、相手がエースのドログバを投入したところで日本のDFが下がり始め、日本の左サイドからほぼフリーの状態で、早いクロスを上げられ、連続2失点するという失態をやらかした。1失点は仕方がないとしても、同じ攻撃パターンで連続失点というのは、日本のDF陣がいかに力不足であったかの証明のなにものでもない。

2戦目のギリシャ戦は相手に退場者が出て、これまた日本に有利な展開となった。ところが、守りに専念したギリシャの「堅守速攻」というブランドに腰が引け、けっきょく攻めきれずドローで終わってしまった。コートジボワールの負けた次のギリシャ戦、しかも相手が1人少ない状況で攻めないで、いったいいつ攻めるの、GLは3試合しかないんだよ、と外野席で怒鳴りたくなったのは筆者だけではあるまい。

最終戦のコロンビア戦は惨めだった。相手はGL突破を決めて、先発を8人替えてきた。いわば2軍に近い。そんな相手に4失点の惨敗だ。コロンビアのカウンター攻撃に対してノーガードで前に突っ込むのが「自分たちのサッカー」なのか。こりゃ玉砕戦法だ。

(三)日本代表をめぐる危機的言語空間

冒頭にも書いた通り、勝負に勝ち負けはつきもの。負けは仕方がない。この敗戦を糧にして、日本のサッカー選手全員の今後の精進を期待したい。しかし、代表サッカーにまつわる日本のスポーツメディアのあり方や選手の発言といった、サッカー日本代表に係る言語空間については、一言も二言も発言しておく必要がある。

(四)「自分たちのサッカーをやるだけ」という超主観主義の流通

「自分たちのサッカーをやるだけ」という言説は、もちろん、他国の有力選手がインタビュー等に答えるときに使う常套句であって、日本の代表選手がそれを真似て流通しているにすぎない。使っている外国選手に悪気もなければ、特別な意味もない。もちろん、それを真似る日本人選手も同様だ。大事な勝負を前にした選手がメディアに質問されて、まともに答えるわけがない。まちがって相手に礼を失する発言をしたら相手を刺激するだけだ。逆に、手の内を晒すような表現も避けなければならない。そんな状況で生まれた便利な表現が「自分たちのサッカーをするだけ」だ。

ところが、日本のサッカー・ジャーナリズムおよびマスメディアにおいては、この表現が日本代表の戦い方、スタイル、戦略、戦術を規定するものとなって一人歩きしてしまった。日本代表が南アフリカ大会でベスト16入りを果たしながら、その先に行けなかった反省から、「攻撃サッカー」を志向するという代表サッカーに係る批評パターンが定着し、「自分たちのサッカー」=「攻撃サッカー」というイメージがメディアにおいてほぼ常識化された。

選手たちはどう考えていたのだろうか。筆者はそのことを直接代表選手に質問したわけではないが、メディアを通じた発言から推察するに、選手・監督にとって、そのことは既成の事実として受け止められていたように思えた。つまり、日本は攻撃力で勝利することが、選手・監督にとっての「自分たちのサッカー」だと。そのように意思統一されていたように筆者には思えた。つまり、海外の有力選手が便宜上使用する言辞が、いつのまにかメディアがつくりあげた日本のサッカーの「方向性」と融合し、選手たちを呪縛し始めたのだ。

この現象は、筆者には想像しがたいほどの驚きだった。例えば日本がコロンビアと戦ったGL第3戦、結果は1−4の惨敗だった。しかも相手は二軍だ。

ところが、この試合こそが「自分たちのサッカー」という価値基準からすればW杯の中のベストゲームだったという総括が、日本の代表選手、メディア、サポーターから出されてしまっていた。この試合は、日本の玉砕戦法を相手コロンビアの二軍が赤子の手をひねるように逆手にとって、得点を重ねたという内容以外のなにものでもない。こういう大量得点差の試合というのは、大会においてありがちだけれど、日本チームにあったのは“攻撃する”という精神(意思)だけであって、それがパフォーマンスに外形化し結果に結びつかなければ、試合(勝負)にあっては、何の意味もなさない。そのことが一つ。

次に、「自分たちのサッカー」はまずできない、という前提で戦わなければならないのがW杯なのだ。そのことをGLB組の第一試合、スペイン−オランダが実証している。

前回王者のスペインに対して、オランダは5バックで守備を堅固に固めた。中盤でスペインの自由なパス回しを封じるためだ。オランダはスペインに先制されながらも、この形で逆転に成功し大勝した。

オランダといえばかつてトータルフットボールを掲げた、攻撃的サッカーを行う代名詞的存在。その意味するところは、全員攻撃、全員守備。しかるに本大会では、守備にフィールドプレイヤー7名を割くという、守備重視で対峙した。スペイン戦の陣形が「自分たちのサッカー」なのかどうかは判断に迷うが、とにかく勝つことが重要なのであって、相手に応じた戦略、戦術を駆使することが勝ち残るために必要であるという結果は理解できる。

オランダのトータルフットボールはモダンサッカーの新たな地平の(幕開けの)象徴だった。そして本大会では、その当事者オランダが強敵スペインのパスサッカーをつぶすため、新たなスタイルを用いた。サッカーとは常にある形を乗り越えることで進化してきた。それがサッカーにおける弁証法だといってもいい。

それだけではない。南米のある国のリーグ戦では、自分たちより実力の上のチームと対戦するときの作戦は、「相手のエースを削る」ことだと言われる。相手のエースを負傷退場に追い込み、それで勝利を得ようと。そんな作戦をとれば退場者を出すリスクもあるし、もちろん、そんな作戦はスポーツマン精神の視点から容認できない。だけれども、これもサッカーの現実の表れの一つなのだ。「自分たちのサッカー」という呪縛から日本サッカーを解き放さなければ、日本の強化は不可能である。

(五)サッカーはフィギュアスポーツではない

「自分たちの○○」で勝利をつかむスポーツもなくはない。その代表が、浅田真央ちゃんがやっているフィギュアスポーツ(スケート)だ。フィギュアの場合、相手とつかみあうわけではない。自分の蓄積してきた能力を舞台で100%(以上)発揮すれば勝つ場合もある。相手とやりあう必要はないかわりに、「自分のスケート」をやりぬくしかない。

また、相手ある競技だが、日本人が得意とする野球も「自分たちの野球」に徹することで、勝てる要素が高いものの一つと言える。たとえば、ノーアウト1塁で犠牲バンドという作戦に徹すること。相手にアウトを献上しても、塁を一つ進めるという考え方で勝とうとする。統計上は知らないが、日本野球ではこの形が好まれ、犠牲バンドは評価が高い。

フィギュアスポーツや守備と攻撃が分かれる野球のような競技を例外として、相手とやりあう競技の場合、相手の良さを消すことも作戦であり、そのために「自分たち」のスタイルの変更もあり得る。どんな相手でも自分たちのスタイルで戦って勝てると思うのは超主観主義であって、超主観主義を助長するような言語空間が、日本のサッカージャーナリズムに築かれていたことは日本のサッカーにとって、不幸なことだった。

(六)現実を度外視して、夢をのんきに語る楽天主義的言語空間

結果論としてではなく、どこの国のリーグかを問わず、その成績が重要なのではないか。日本惨敗の戦犯は、本田、香川、長友、岡崎、長谷部、内田、吉田の海外組。とくに大会前、優勝の大言壮語を吐いた本田の責任は重い。「出るからには優勝を狙う」と、言うのは結構だけれど、まずは目の前の一勝だろう。はったりで厚化粧した本田圭佑は、スポーツ選手としての美しさを欠く。

本田に限らず、自分たちの実力を過信して足元を見ず、はるか遠くの栄光を夢見て語るような傾向は、いったいいつごろから、この日本の言語風土に醸成されてきたものなのだろうか。夢を現実化しようと努力する姿勢に誤りはない。しかし、その途上のどのくらいの位置に自分が立っているかを自己検証するのも実力のうちだ。

イタリアの名門クラブ、ACミランで10番をもらったからといって、プレーをしていない者の実力が証明されたことにはならない。商売上、本田が10番をつければレプリカユニフォームの売上が上がり、日本企業のスポンサーが集まりやすくなることが、ACミランというクラブにとって重要なのだ。本田はジャパンマネーを集めるための広告塔、集金マシーンにすぎない。このことは香川にも言える。

本田がミランへの移籍でもっとも注目されたのは入団会見だった、という評価がすべてだ。本田の成績は入団後の19節から38節までのあいだの14試合に出場して、わずか1得点を記録したに過ぎない。そのような成績の選手がW杯で優勝を宣言することの虚しさが筆者には痛々しかったし、GLで敗退という結果を前にして、発する言葉をもたない。


(七)今後の課題

(1)フィジカル重視がトレンドに

前出のオランダがスペインに大勝した試合が象徴的だった。オランダのフィジカルがスペイン(バルセロナ)のパスサッカーを粉砕したのだ。本大会では、速い縦パス、速いカウンター攻撃、速いクロス、高いヘディング、堅い守備、激しいボール際の競り合い、走力、スタミナ、俊敏性・・・に富んだ、いわゆるフィジカルの強いチームが勝ち進んだ。体格は問題ではない。先発が180cm以下のチリがベスト16入りを果たすという、体格に恵まれない日本人にとって嬉しいニュースもある。メキシコも似ている。メッシのみならず、身長の低い選手の活躍も目立つ。それでも、90分間激しい運動量を維持できるチームが勝ってきた。

短期決戦のW杯の場合、強いフィジカルのチームの方が、そうでないチームよりいい成績を残す確率が高いようだ。パスサッカー、ポゼッションサッカーでは、W杯では勝ちにくくなっている。

(2)代表選手選考に見えた偏り

日本代表は同じようなタイプばかりだ、という評価もあった。ワールドクラスの強いセンターフォワードがいないのは確かな現実だろう。だが、それは世界各国共通の悩みだ。逆に、エトゥやドログバというワールドクラスのFWがいるアフリカ勢がGLで敗退している。日本代表の中に、強いフィジカルと高さを生かしたFWがいてもよかった(たとえば豊田、ハーフナー)。また、逆に、相手ペナルティーエリア内においてドリブルで勝負できるような選手もスーパーサブとして必要だった(斎藤は代表として選出されながら、一回も起用されなかった)。

セントラルミッドフィルダー(ボランチ)を安定的に任せられる選手の見極めに失敗した。予選から遠藤、長谷部がレギュラーとして君臨したが、遠藤の急激な衰え、長谷部の故障で、このポジションのレギュラーが混沌としてしまった。世界的トレンドとしては、フィジカルの強い守備型が務める傾向にある。早い時期に山口、青山、細貝をチームに融合させる必要があった。

だが最大の弱点は日本のCBだ。このことは拙コラムでなんども繰り返した。めぐりあわせとして、2014年にはこのポジションの人材に日本は恵まれなかったことは事実。ただ、CBとして適正に欠いた今野をレギュラーのCBとして信頼し続けたザッケローニの判断を、筆者はいまだに理解できていない。

キャプテンシーが強いとしてザッケローニに信頼された長谷部もフィジカル面で問題を残した。長谷部を中心としたチームづくりが、長谷部の故障で根底から崩れたというのでは情けない。長谷部が故障した時点で、長谷部抜きのチームを構築すべきだった。

香川はマンチェスターUで試合に出られない理由を証明してしまった。本大会のあのていどのパフォーマンスでは、モイーズでなくとも試合に出さない。

本田もACミランでは結果を出していない。イタリアで常時出場をするだけの実力はいまのところついていない。大言はリーグ戦で結果を出してからだろう。海外組は移籍でチームになじめなかったり、故障したりで試合出場が少ない選手ばかり。そういう選手はトレーニングでフィジカルを上げたからといっても、試合では結果を出しにくいし実際に出していない。試合に出ていない海外組を切って、Jリーグのレギュラーを中心にした代表チームづくりを考える必要があるかもしれない。だが、それにはJリーグの質も高めることが条件となろう。



2014年06月20日(金) 日本、1人少ないギリシャに痛恨ドロー

●1人少ない相手に負けなくてよかった

W杯ブラジル大会グループリーグC組第2試合、日本−ギリシャは0−0のドロー。相手に退場者を出しながら、日本は得点を奪えなかった。C組はコロンビアがコートジボワールに勝ったため勝ち点6でグループリーグ突破を決めた。負けたコートジボワールが勝ち点3で2位。日本とギリシャがそれぞれ勝ち点1(得失点差で日本が3位)。この結果、日本がグループリーグを突破する条件としては、第3試合の相手コロンビアに勝って、コートジボワールがギリシャに負けるというもの。可能性はゼロではないが、自力によるベスト16入りの可能性はなくなった。

●千載一遇のチャンスを逃した日本――退場者を出したギリシャを崩せず

それにしても残念な結果である。前のコートジボワール戦は先制点を奪いながらの逆転負け、この試合は相手に退場者(前半38分)が出るという絶妙な展開。日本は本大会、2試合続けてツキに恵まれた。相手が自滅に近い形で日本を有利にしてくれたのだから、勝ち点3を絶対に取らなければいけなかった。2試合続けての幸運をモノにできなかった日本――このチーム、よっぽど力がなかったとしか言いようがない。

ギリシャも頑張った。1人少なくなってから集中力が増し、持ち前の堅守の本領を発揮した。サッカーとは不思議なスポーツである。だが、いくらギリシャが持ち味を発揮したとはいえ、攻め切らなければいけない。前出のとおり、ギリシャに退場者が出たのが前半38分。時間はたっぷりあった。

1人少なくなったギリシャは中央を固める守備体形。そんなギリシャであるから、日本の左右のSB(長友、内田)はほぼフリーでスペースを使えた。クロスも上げ放題、ペナルティーエリア内への侵入もほぼフリーパス状態。長友、内田からのクロスはほぼ正確に配されたし、侵入によるチャンスも何度かあったが攻撃陣が決めきれなかった。

●場当たり的ザッケローニ采配――交代枠を残してのドローは納得できない

ザッケローニの采配も一貫性がない。この試合、ワントップでいい動きを見せていた大迫を下げ(後半12分)、いつもは右サイドでプレーする岡崎をワントップに上げて、不調の香川を左サイドに入れ、ここまで精力的に動いていた大久保を右サイドにポジションチェンジした。この形はW杯アジア予選や親善試合ではみたことがない。

終盤にはCBの吉田を上げてのパワープレーだったが、これもW杯の本番のコートジボワール戦で初めて見せたもの。コートジボワール戦の敗北のあと、「自分たちのサッカー」と選手たちは口にしたが、この形が「自分たちのサッカー」なのか。

それだけではない。ボランチの長谷部と遠藤の併用も、筆者には問題を含んでいるように思える。このことは再三、拙コラムで言い続けてきたことだが、敢えて繰り返す。ボランチで交代枠を1つ使う作戦は、終盤における選手起用の足枷になってしまう。加えてこの試合では、交代枠を1つ余らせた。せっかくドリブラーの斎藤を選考したのだから、彼を入れて、疲弊したギリシャの守備陣を混乱させペナルティーエリア内でファウルを誘うような試行があってもよかった。使わないよりは、使ったほうがいい。

●期待はコロンビアの気の緩み――第3戦展望

コロンビア戦、相手の実力は日本より上だが、グループリーグ突破を決めたことによる気の緩みが日本にチャンスをくれる可能性もある。日本は2試合ともツキはある。三度目の正直である。もちろんコロンビアがいつもどおりの力を出せば、日本の勝機は限りなく少ない。南米勢にとって本大会は準ホーム、名将ペケルマン(監督)が気を抜かせることもないだろうから、日本にとって難敵であることに変わりない。

●日本代表の問題点

(一)フィジカル強化を

グループリーグ敗退が決まったわけではないが、本大会2試合で見えた日本の問題点は、結果論でなく、日本選手のフィジカルの弱さに尽きる。代表選手の条件は、90分間、しっかりと走れること。リーグ、クラブを問わず、試合に常時出場していること。

けっきょくのところ、香川、長谷部はいいところがなかったし、本田はコートジボワール戦こそ得点を上げたものの、肝心のギリシャ戦ではボランチのようなプレーぶりで、前線における決定機に絡めていなかった。岡崎の「裏への飛び出し」も、ワールドクラスの守備の前ではことごとく封じられてしまっていた。大迫、柿谷、大久保の「新戦力」のフィジカルについては2試合では判断しかねるが、少なくとも言えるのは、代表チームに融合する時間が十分ではなかったことだ。

ボランチ遠藤の力の衰えも急速だった。本大会に近づけば近づくほど、調子が上がらない。世界のサッカーのボランチの傾向は、むしろ屈強な守備型が主流を占める。その意味で遠藤のようなタイプは、そぐわなかったかもしれない。また、ザッケローニがアジア予選からCBに今野を固定して、守備の中心を託したことも結果的にはマイナスに出た。今野の力の衰えも遠藤同様、急速だった。

(二)守備のタレント不足

2戦目のギリシャが1人少なかったため破綻に至らなかったものの、親善試合から本大会のコートジボワール戦で露呈した守備の弱さは、やはり重大な課題だ。くり返しになるが、コートジボワール戦における淡白で集中力を欠いた守備対応が、敗因のひとつだった。

日本の2014年というサイクルにおいては、守備のタレントが不在だ
ったようだ。Jリーグを見渡してみても、CBに代表選手以上の人材は見当たらない。新しく就任した代表監督が、前回大会の守備の要・ベテランの中澤、闘莉王を選択する気にはならなかったのは当然だ。そういうめぐりあわせなのだ。

ただ、前出のとおり、長谷部・遠藤のボランチ併用はいただけない。アジア予選から強化試合において、青山・山口・細貝というフィジカルの強い選手を試ておく必要はあった。あまりにも遠藤・長谷部に重きを置きすぎた。



2014年06月17日(火) 日本、コートジボワールに力負け――W杯ブラジル大会

誠に残念な日本の敗戦であった。日本は先制しながら、後半に逆転され大事なグループリーグ初戦を落とした。この敗戦は、地力の差というほかない。

●本調子でなかったコートジボワール

前評判の高かったコートジボワールであったが、ドログバが先発を外れた影響であろうか、試合の入り方としては日本より悪かった。動きが重いし、集中力を欠いているように見えた。そんな中、日本が先制したのだから、これ以上の展開はなかった。これまでの親善試合(練習試合または強化試合ともいう。)では相手に先制され、後半、ひっくりかえす展開が続いていた。そうした不安定な展開を本番で修正したのだから、この試合はものにすべきだった、いや、ものにしなければならなかった。

●同じアフリカ勢でも、前回大会のカメルーンとは違う相手

相手は南アフリカ大会と同じアフリカ勢。しかし、コートジボワールは前回、南アフリカ大会のときの相手、カメルーンとは違っていた。カメルーンというチームは、大会前、必ずといっていいほどボーナス問題等で現地到着が遅れる。当然、コンディションはよろしくない。また、南アフリカのときは2人の主力選手同士が敵対し、チームはバラバラであったといわれていたが、本大会でもその対立が持ち越された。その2人とは、エトゥーとソング。

●日本の左サイドは脆弱そのもの

本大会の相手コートジボワールは、大統領よりも影響力のある男といわれるドログバのチーム。ドログバが右といえば、全員が右を向く。

後半、日本1点リードで、コートジボワールが動いた。ドログバが投入されると、コートジボワールの動きが変わった。そして、狙いすましたように、日本の左サイドを襲撃して、連続2得点を奪った。日本の左サイドというと、香川、長友がつくるストロングポイント。しかし、 そこをDFの視点からみると、相手の狙いどころとなる。香川は守備が弱いし長友が上がれば相手にスペースを与える。

ボクシングに例えると、日本はサウスポースタイル。左のパンチが決め手だが、左のガードが甘くなればオーソドックススタイルの相手の利き腕である右パンチを受けやすい。日本の失点はまさにそんなイメージだった。しかも、連続で二発を食らったのだ。

●90分間走れない日本選手

ひっくり返されてからの日本は本当に弱弱しかった。全員がガス欠を起こしたように走れない。ザッケローニは、DF吉田を上げてパワープレーを仕掛けた。ザッケローニは、「日本にはハイボールを使う文化はない」と大会前に語っていたはずだったが。この作戦には正直、驚いた。パワープレーも選択肢の一つならば、代表選手選びで、FWに豊田かハーフナーを入れて、ドリブラーの斎藤を外すべきだった。あるいは、DFに闘莉王という選択肢もあったかもしれない。

代表選手選考という視点からみると、ザッケローニのミスはそれだけではない。ボランチの長谷部は故障上がりで90分もたないことを前提として、遠藤との併用となっていた。これでは、交代枠3のうちの1つを必然的に使う理屈だ。その結果、当然戦術的交代枠は2しか残らない。


●混乱する指揮官、ひ弱な選手たち

ところで、交代出場のボランチ遠藤は攻撃的選手。つまり、1−0で日本がリードしている後半9分の時点での遠藤投入は、もう1点取りに行く意思表示だ。そこから日本の攻撃の形が生まれたかというと、そのような変化は認められない。一方のコートジボワールは17分に切り札ドログバを投入。ここで一気にスタジアムを含む空気を変えた。そして、切り札投入からわずか2分後の19分にまず同点、そして、そのわずか2分後に逆転の2点目を日本から奪った。

1−0で後半を迎えたところで、日本は守るのか2点目を取りに行くのか――ザッケローニの見通しは定かでなかった。指揮官が試合展開の見通しを立てられないのだから、選手はどうしたらいいのかわからない。迷いが生じ、集中力も途切れる。しかも、90分間走り切れるフィジカルを具備した選手がだれもいない。日本選手のフィジカルの弱さが際立っている。

選手の守備意識の希薄さ、フィジカルの弱さ、故障明け選手ばかりを集めた選手選考の甘さ、交代枠3の公式戦対応・・・選手のフィジカル及び迷える指揮官とその采配については、筆者が拙コラムで指摘してきことばかり。それらのことが、本番でマイナスに出てしまった。日本はコートジボワールに負けるべくして負けた。

直接の敗因は、香川−長友−遠藤(長谷部)−吉田。長友以外はレギュラーシーズンで90分走っていない。マンチェスターUTDでは出場機会がほとんどなかった香川、故障明けの長谷部に代わって入った遠藤は、ボール捌きは見事だがフィジカルは弱い。吉田もサウサンプトンでは控えで、しかも故障明け。コートジボワールは日本の左サイドの弱さを見抜いていた。

リードされた後の日本は、不調の左サイド香川を大久保に代え、ワントップの大迫を柿谷に代えて、攻撃のカードが消えた。そこで仕方なく、CBの吉田を前線に上げるという非常手段に打って出だ。これも見苦しい。日本がパスサッカーを貫くなら、ドリブラーの斎藤投入のほうが筋は通っている。

●フィジカルで日本を上回るギリシャ、コロンビア

さて、日本の次の相手となるのがギリシャとコロンビア。まず、コロンビアに負けたギリシャだが、負け方は日本より潔い。ギリシャのスタイルは堅守速攻。球際に厳しく、当たりが強く、タックルも深い。高さもある。ガチガチ、ゴリゴリとくる相手。日本が最も苦手とするタイプだ。コロンビア戦ではリードされながらも、パワープレーは行わず、バランスを重視した。ギリシャにしてみれば、コロンビアに負けても日本とコートジボワールに勝てば勝ち点6で2位に入れるという読みだ。つまり、コロンビア戦は勝ち点3が取れないような展開ならば、勝ち点1でも0でも同じだという解釈だろう。自分たちのスタイルを壊さず、次戦に向かおうという作戦だ。

C組、日本の最終試合の相手コロンビアは、堅守ギリシャを粉砕した。南米特有の堅い守備と早い攻撃のバランスがみごと。知将ペケルマン(監督)がつくりあげた、本大会でもっとも美しいチームの一つだろう。しかし、美しいバランスをもったチームが優勝するとは限らないのが、W杯の恐ろしさ。C組突破の可能性は高いが、トーナメントではどうだろうか。さて、コロンビアにとっての日本戦は、リーグ突破を決めてしまった消化試合になる可能性も高い。南米のチームだから準ホーム、消化試合であっても、日本が勝つ確率はコートジボワール戦よりも低い。

●W杯はグループリーグ初戦がいちばんおもしろい

W杯はグループリーグの各チームの初戦が最高におもしろい。2戦目以降は、勝ち点、順位等を考慮して守備的になる場合もあるし消化試合も発生する。そんな中、スペイン−オランダ、イタリア−イングランド、ドイツ−ポルトガルといった、強豪国同士の戦いが第一戦に集まった。予想に反して大差で終わった試合もあったが、これらのカードを含めて、引分けが1試合(17日現在)という結果は想定外であった。初戦に勝ち点3を目指す戦い方が、グループリーグ突破のセオリーとして各国に定着したようだ。

●世界サッカーのトレンドはフィジカル重視へ

スペインがオランダに大敗したことをもって、スペイン(バルセロナ)のパスサッカーの終焉が囁かれる。筆者もパスサッカーの時代が終わったような予感をもつ。オランダのファンペルシーが決めた、あの驚異的フライングヘッド(プロレス技のようだが)が、パスサッカーの終わりの象徴だった。世界の潮流は、明らかにフィジカル重視の傾向へと向かっている。固い守備、カウンター攻撃から守備への素早い切り替え(スイッチ)の繰り返し、サイド攻撃、空中戦…。明らかに強い身体(能力)と肉体的・精神的持続力が選手に求められるようになってきている。日本選手には厳しい時代がやってくる。



2014年06月13日(金) W杯大予想−−優勝はブラジル、日本はグループリーグ敗退

グループリーグの組合せをおさらいしておこう。

A組=ブラジル、クロアチア、メキシコ、カメルーン
B組=スペイン、オランダ、チリ、オーストラリア
C組=コロンビア、ギリシャ、日本、コートジボワール
D組=ウルグアイ、コスタリカ、イングランド、イタリア
E組=スイス、エクアドル、フランス、ホンジュラス
F組=アルゼンチン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、イラン、ナイジェリア
G組=ドイツ、ポルトガル、ガーナ、米国
H組=ベルギー、アルジェリア、ロシア、韓国

(ベスト16)

A組1位ブラジル、2位クロアチア
B組1位スペイン、2位オランダ
C組1位コロンビア、2位コートジボワール
D組1位イタリア、2位ウルグアイ
E組1位フランス、2位スイス
F組1位アルゼンチン、2位ナイジェリア
G組1位ドイツ、2位ポルトガル
H組1位ベルギー、2位韓国

日本が属しているC組の場合、初戦に勝利した2チームが勝ち残る可能性が高いと見た。日本の初戦では、相手のコートジボワールの地力が勝る。コロンビアとギリシャは南米開催の有利さから、コロンビアが勝つ。第2クールではコロンビアとコートジボワールは引分け、日本はギリシアに惜敗。第3クールでコートジボワールがギリシアに勝ち、コロンビアが日本に勝つ。そんな展開か。

(ベスト8)
ブラジル−オランダはブラジルの勝ち
コロンビア−ウルグアイはコロンビアの勝ち
フランス−ナイジェリアはフランスの勝ち
ドイツ−韓国はドイツの勝ち

スペイン−クロアチアはスペインの勝ち
イタリア−コートジボワールはコートジボワールの勝ち
アルゼンチン−スイスはアルゼンチンの勝ち
ベルギー−ポルトガルはポルトガルの勝ち

(ベスト4)
ブラジル−コロンビアはブラジルの勝ち
フランス−ドイツはドイツの勝ち
スペイン−コートジボワールはスペインの勝ち
アルゼンチン−ポルトガルはアルゼンチンの勝ち

(セミファイナル)
ブラジル−ドイツはブラジルの勝ち
スペイン−アルゼンチンはスペインの勝ち

(3位決定戦)
ドイツ−アルゼンチンはドイツの勝ち

(ファイナル)
ブラジル−スペインはブラジルの勝ち



2014年06月08日(日) 守備の弱さは本番で致命的――サッカー日本代表ザンビア戦

日本がW杯前の最後の強化試合で、ザンビアに4−3で逆転勝ちした。試合内容は大味の乱戦で、勝ったからといって安心できるような内容ではなかった。むしろ、W杯に向けて一層不安を感じさせるものだった。日本代表の課題として挙げつづけられている守備の未整備が、最終段階、まさにこの期に及んで、依然修正されていない実態が露わになった。

最初の失点は前半9分、スタートからプレスをかけた日本の勢いがおさまった状況からだった。勢いよく飛び出して点にならず、ちょっと一服という緩みだろう。さらに、29分、相手のコーナーキックからのトリックプレーにひっかかってあっけなく失点し、致命的ともいえる2点のリードを許した。失点シーンはいずれも、日本のDF陣の気の緩み、淡白さからのように見えた。W杯の本番のグループリーグの相手(コートジボワール、ギリシア、コロンビア)ならば、ここで日本の負けは決まったようなものである。

日本の反撃は同40分、香川真司のクロスが相手ハンドを誘ったPKから。そして、後半になると動きが鈍くなったザンビア。28分、香川のクロスがそのままゴールに飛び込んで同点に追いついた。さらにその2分後には森重真人の上がりからチャンスをつかみ、本田が決めて勝ち越し。ところが、なんと日本は44分に同点に追いつかれてしまう。これも本番ではあってはならない失点だ。幸い、ロスタイムに、後半から出場していた大久保嘉人が青山敏弘のロングフィードに反応し、決勝ゴールを挙げた。

日本が攻撃的サッカーをしていくという基本コンセプトが悪いはずはない。だが、そのことは、守備を蔑ろにしていいということではない。FIFAランキング46位の日本の立ち位置で、世界の強豪国相手に3失点して4得点をあげて勝つという構想はありえない。日本の攻撃陣がそこまで成長するには最短でもいまから20年はかかる。いや永久にやってこないかもしれない。

日本のストロングポイントは団結力、組織性、機敏性、技術力、持続性、規律、走力、集中力等の要素であり、このことはオシムが日本代表監督に就任したときから変わっていない。それらの要素は当然のことながら、強豪国の攻撃に対して、チームで守るスタイルを含んでいる。香川、本田、内田といった海外組といわれる選手たちに、チームで守る謙虚さが不足しているように筆者には見える。

ビッグマウス(有言実行)はけっこうなことだし、自分にプレッシャーをかける意味で必要な振る舞いだろう。だが、たった2試合のW杯直前の練習試合(コスタリカ戦、ザンビア戦)を総括してみても、日本がきわめてバランスを欠いたチームである現状は明らかではないか。

それだけではない。日本の練習試合2試合の勝利は、練習試合特有のレギュレーション(交代枠6)を活かしたもの。当然、本番では選手交代は3枠しかない。しかも、相手は後半になっても手を抜かない。日本が失点した前半のような厳しい戦いを90分間してくる。だから、日本が練習試合の後半でみせたような展開は、かなり難しいと考えるべきである。

2つの練習試合でみせたような日本の反撃を本番において実現するためには、先発出場した選手が90分間走り続けることに係っている。故障明けの選手や海外リーグで試合に出ていない選手(長谷部、内田、吉田、本田、香川)にそのようなフィジカルの強さを期待してよいのだろうか。そのことは、本番において、確かめるしかないのではあるが…



2014年06月06日(金) 恫喝式選手起用法に陥った読売原監督

○大竹、内海の故障は読売投手陣崩壊の序曲か

読売投手陣が崩壊した。

3日のソフトバンク戦、先発・大竹が6回2死三塁から遊ゴロを放った際の走塁で右足を痛め、その裏のマウンドに上がらなかった。急きょ、青木が登板したが、1死一、三塁のピンチを招いて降板。代った香月が松田、代打の明石、吉村に適時打を浴びて計5点を失い、4番手の阿南もピンチを広げて柳田の左犠飛で1点を失った。4月までに3勝(1敗)を挙げ、5月も連勝スタートを切った大竹だが、その後は2連敗。5月9日の阪神戦(甲子園)を最後に白星から遠ざかっている。

4日のソフトバンク戦に先発予定だった内海が左肩の不安を訴え、先発を回避。診断の結果、左肩腱板の一部に炎症があることがわかった。前日原監督は急きょ中継ぎ陣でリレーを組んだが、3日の試合と同様、(今季ワーストの13失点で)大敗した。内海は5日に出場選手登録を抹消され、復帰の目途はたっていない。

○焦りの表れの中5日ローテ

読売は交流戦の変則日程を見越して、先発4投手(菅野・杉内・大竹・内海)を中5日でまわすローテーションを組んだ。大竹、内海の故障がその原因だとは断言しにくいが、中5日の調整が結果的にはうまくいっていない。

中5日、100〜120球というのは悪くない。投手陣がそういう身体を調整すればいいだけだ。ただこれまで読売は、5本柱を中6日(以上)でまわしてきた。昨シーズンもそう。それを急きょ、シーズン途中で変更した。そこが問題なのだ。結果、投手陣によけいな負担がかかった可能性が高い。内海の場合は、開幕から2か月以上勝ち星がなかったため、練習(投げ込み過多等)で肩に負荷をかけた可能性もある。

しかも、これまでのところ、中継ぎ陣(福田、青木、阿南、香月、久保、高木京ら)がことごとくリリーフに失敗している。クローザーの西村は長期離脱中、内海、大竹が潰れるとなると、拙blog(2月25日付)にて筆者が指摘したことがいよいよもって現実化してくる。

○原監督の選手起用は恫喝式

そればかりではない。原監督の焦りが目立つ。内海が先発回避した試合では、急きょ先発した阿南を1回で降板させてしまったのだ。阿南の調子は万全ではなかった(1回裏に李大浩に2ランホームランを浴びている)。だが、いくら代替登板の先発(阿南)とはいえ、1回で降板させるというのは尋常ではない。その証拠に前出のとおり、リリーフの福田、青木、久保、香月が打たれ、なんと勝ちパターンの山口まで登板させるという失態を演じた。この試合にベンチ入りさせた投手は7人(阿南、福田、青木、久保、香月、山口、マシソン)だったから、山口にアクシデントがあったら、大量失点の負け試合に、切り札・マシソンを投入しなければならなかったのである。(一方のソフトバンク秋山監督は、この試合に復帰登板したエース摂津を我慢して5回まで続投させ、勝ち星を摂津につけた。阿南を1回で諦めた原監督とは好対照の投手起用であった。)

原監督の選手起用は投手交代だけにとどまらない。野手も調子が悪いとすぐかえる。結果を出さなければ、かわりはいくらでもいるよ、という恫喝起用である。だから選手が必要以上に委縮して、結果を残しにくい。打順をみると、阿部、村田、長野が6番、7番、8番という位置にいる。実績のある打者といえども結果(成績)が悪ければ下位にするという起用法は一見、合理的なようだが、実は自軍の主力選手のブランド価値を監督自らが下げている。原監督には、そのことがわからない。相手投手は読売の主力選手が下位にいることをみれば、怖がらない。調子が悪いのだなと思って、委縮せずに思い切った投球ができる。原監督は主力選手の価値を下げ、加えて、この打者は調子が悪いですよ、という情報を与えている。つまり、相手に塩を送る結果を招いている。

○頭を使わない物量主義、主力選手のプライド傷つける人海戦術

筆者の拙blogでは読売の最終順位を2位とした。いまのところ、読売はちょうど2位にいるが、読売の野球は2位に値しない。原野球は、豊富な戦力を頼りとした人海戦術にすぎない。調子のいい選手を次々と送り込んで相手を消耗させる循環方式だ。実戦を戦いながら、新しい戦力を試すリスクを負わない、主力選手のプライドを重んじない、選手をモノとして扱う物量主義である。

こんな原野球で読売が筆者の予想に反して優勝しようとも、原監督は監督として失格である。2位とした筆者も納得がいかない。読売(原野球)は最下位こそがふさわしい。



2014年06月03日(火) コスタリカ戦から見えてきた不安要素

W杯開幕を間近にした国際親善試合、日本−コスタリカは3−1で日本が逆転勝利した。日本の得点は後半、遠藤保仁(24分)、香川真司(35分)、柿谷曜一郎(44分)があげたもの。結果は日本の快勝だったので、それはけっこうなことだけれど、内容的には貧しいものだった。

○本調子ではないコスタリカ

相手のコスタリカの調子が悪いように思えた。このチームはいまだ明らかに調整過程にある。その証拠に、試合時間の経過とともに選手の足が著しく重くなっていた。日本も過密スケジュールでコンディションは悪かったが、コスタリカはそれ以上だった。フィジカル面だけでなく、組織化が進んでいない。攻撃はルイスとキャンベルの個人技任せで、戦術は錬成されていない。寄せ集めの急造チームといった感じ。このままのコスタリカならば、「死のグループ」といわれるW杯Dグループ(ウルグアイ、イングランド、イタリア)における突破は難しい。

○不安要素いっぱいの日本の守備陣

肝心の日本だが、このチームの弱点はディフェンス(DF)であることがこの試合で再確認された。左SBで先発した今野泰幸だけれど、SBは無理。SBの大事な特性である上がり下がりのスピードが乏しい。しかも、肝心の守備では、マッチアップするルイスを止められなかった。コスタリカが仕掛ける右からの攻撃に対し、上手に対応したとは言いかねる。

空中戦が得意でない日本のDF陣を観察すれば、相手チームがサイド攻撃(もしくはサイドからの崩し)を選択する確率は極めて高い。この試合のようなパフォーマンスの今野ならば、彼をCB、SBで先発させることは日本にとってリスクが高い。酒井高徳の故障の回復状況はわからないが、左SBのレギュラー長友の控えが心配である。酒井高の負傷により、玉突き現象で守備陣が怪しくなってきた。

○故障明け3選手は本当に間に合うのか

故障明けの長谷部誠がこの試合にベンチに入らなかったことも懸念材料だ。W杯登録メンバー23人のうちGK3選手を除くフィールドプレーヤーは20人。そのうち日本のシステムならばDF陣は12枠だが、そのうち2選手が故障中(もしくは故障明け)で、さらに今野がSBの適性を著しく欠くとなると、9人でやりくりしなければならなくなる。手駒不足でグループリーグ3試合を戦い抜けるのかどうか。

しかも、その9枠のうち、セントラルミッドフィルダー遠藤のフィジカル面が気がかり。この試合も後半のみの出場にとどまった。親善試合ならばこの手は有効だが、交代枠3人の公式戦では使えない。森重真人、吉田麻也のCB、長友佑都の左SBはほぼ固定だが、セントラルミッドフィルダーの遠藤、長谷部が90分もつのかどうか。長谷部、山口蛍、青山敏弘のうちの2人が先発してなんとか前半をしのぎ、後半に遠藤投入という戦法が有効性をもつのかどうかは、長谷部のフィジカルの状態次第となる。長谷部、遠藤が45分しか持たないとなると、日本の交代枠は限りなく狭まってしまう。しかも、レギュラーの長友が怪我をした場合や、内田が90分もたないとなると、前出のとおり、日本のSBも崩壊する。

日本が豊富な選手層を誇ってきた左右SBおよび心臓部といわれるセントラルミッドフィルダーに陰りが見え出したのだ。つまり、W杯開幕直前にきて、日本のDF陣が危ない。その主因は、ザッケローニの代表メンバー選出にある。長谷部、内田篤人、吉田といったレギュラーシーズンを故障で欠場した選手を敢えて選んだことが裏目に出ている。

○本田はフィジカルに重大な欠陥があるのでは

攻撃陣ではやはり本田圭佑の不調だろう。原因は体調面だと思われる。スピード、そして体にキレがない。もともとスピードで勝負するタイプではないが、ここまで鈍重だと、相手にボールを奪われやすい。日本は本田にボールを集める傾向が高いだけに、相手のターゲットになって、へんなところでボールを奪われると失点につながってしまう。

日本での壮行試合で仮想「ギリシア」のキプロスに1−0で辛勝。そして合宿先のアメリカで仮想「コロンビア」のコスタリカに3−1で快勝と、結果からみると順調な仕上がりぶりのように見える。だが、▽エース本田の不調、▽故障明け3選手の回復状況が不可視、▽不安定かつ駒不足のDF陣――と、日本の開幕試合(対「コートジボワール」)まで2週間を切ったこの時点で、見通しの暗さばかりが目立ってはいないだろうか。


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