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五十嵐 薫
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2013年06月21日(金)

三年ほど付き合った女との関係を終わらせに、京都まで行ってきた。
雨の中、肩を濡らしながら三室戸の紫陽花や両足院の半夏生を眺めた。
食欲がないという女を連れて祇園の料理屋や桂の和菓子屋に足を運んだ。

それは、女がいつか行きたいと言っていた場所だった。
笑顔で談笑しながら食事をした。
ホテルの部屋で少し飲み、部屋の明かりを落とし、身体を重ねた。
明日を最後にもう会うことがないということを除けば、極普通の逢瀬だった。

藤森神社を参拝し紫陽花苑を歩いた。
雨はいよいよ土砂降りで靴の中までびしょ濡れになったが、雨に打たれた紫陽花は美しく、いつまでも眺めていたかった。

京阪の墨染駅まで歩き、ここで別れることにした。
上りと下りのホームに別れ見つめ合う。
先に来た下り電車に女が乗る。
窓越しに女の唇が動く。
僕は敢えて唇を読まず、ただ小さく頷く。
女の唇がもう一度動くのと同時に電車が動き出した。

帰りの新幹線はグリーン車にした。
伊勢丹の地下で獺祭と竹鶴のボトルを買った。
予想通り、こだまのグリーン車はガラガラだった。
リクライニングを思い切り倒し、びしょびしょの靴下を履き替える。
車窓を横に流れる水煙を眺めながら、飲む。
脱力感でも虚脱感でもなくただ疲労感が残った。

新横浜に着いた時には、もう雨はあがっていた。
濡れた靴に足を突っ込む不快感が、僕を現実に引き戻した。



同じ日に、君が君の恋愛にピリオドを打ったことを知った。
苦笑いしか出ない。
そのタイミングを、愛しく思う。



雨だけど、元気だそう。
この雨があがれば夏だ。


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