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JIROの独断的日記
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2008年10月28日(火) 私事で恐縮ですが、10月28日は忘れがたい日なのです。

◆15年前(1993年)の今日、ロンドンに赴任しました。

今日、10月28日は私にとって、特別な感慨を覚える日です。

今からちょうど15年前、1993年10月28日、私は全日空機に乗り、駐在員としてロンドンに向かいました。

33歳でした。恥ずかしいのですが、何と私はそれ以前に日本から出国したことがなかったのです。

この転勤の為に慌ててパスポートを取得した訳です。

初めて乗る国際線が「転勤のため」というのは、案外珍しいのではないかと思います。

私は、生来の出不精、怠惰な性格の為、それまでにも海外へ行こうと思えば行けたでしょうが、

面倒くさくて、出張すらしたことがなかったのです。皆さんには笑われてしまうでしょうが。

ですから、非常な緊張でした。

それに加えて、海外転勤の内示が出た直後、父が脳出血で寝たきりとなりました。

すぐに生命の危険は無かったとはいえ、もう会えないかも知れない、と思い、飛行機が離陸する瞬間、

正直に告白すると、危うく涙がこぼれそうになりました。


◆若い頃、アメリカに10年滞在した祖父の命日が、偶然にも10月28日なのです。

私の父方の祖父は、私が生まれる4年前に他界したので、当然、私は直接知らないのですが、

ユニークな経歴の持ち主でした。明治24(1891)年、福島県に生まれた祖父は、何を思ったのか、

19歳の時に、単身渡米しました。勿論船です。目的はジャーナリストとなる勉強をするためでした。

英語はそれまで独学で相当一生懸命に勉強したようです。

祖父は、今やイチローですっかり有名になったシアトルに住み、現地の通信社に雇って貰いました。

そして、10年間、シアトルで、ジャーナリズムとは何か、を学んだのです。

今でも、当時、祖父がアメリカから故郷に送った、おびただしい数の手紙が残っています。

また、現地で買った、ウェブスターの分厚い辞書が、今は私の手許に有ります。祖父の汗と涙の結晶です。


帰国後、祖父は日本の新聞社に新聞記者として就職しました。今の3大紙のひとつです。

大昔の記事ですが、読んでみると随分毅然とした記事を書いています。やがて働きを認められて、主筆にまでなりました。

今で言うところの論説委員ですが、これまた、手厳しい。

身内を褒めるのは手前味噌で恐縮ですが、「ペン一本で権力を批判し、世の中の有るべき形、を読者に提示する気概」が込められています。


◆つまり、若い頃外国で修業した祖父の命日に、孫の私が海外に飛んだ訳です。

単なる偶然でしょうが、私には不思議な符合に思えるのです。あたかも祖父に応援されてロンドンへ向かう気分でした。

私の海外生活は、行く前は心配でしたが、行ってみたら興味深い体験でした。

仕事はきつかったし、意地悪な上司がいたり、英国人はなかなか言うことを聞いてくれなかったり、

今よりもずっと苛酷な「労働環境」でしたが、不思議に「ウツ」にはなりませんでした。

また、休みには、念願のモーツァルトの生家(ザルツブルク)を訪れたり、ベニスのあのロマンティックな雰囲気を知り、

音楽の都、ウィーンに行き、幸福でした。

4年後、日本に戻りました。過去に囚われては行けませんが、あのヨーロッパでの4年間は今でも懐かしい思い出であり、

多分、私が最も幸福だった時期だったと思います。帰国してから11年も経つのに、当時の記憶は鮮明に残っています。


◆今、ブログで天下国家を論じているのは、祖父のDNAを引き継いでいるのか、と思うことがあります。

私は、この日記・ブログで普段散々マスコミを批判していますが、これはマスコミが憎い、というより、

今の、センセーショナリズムに傾きがちなマスコミが、祖父が生涯を賭けた「ジャーナリズムの本来有るべき姿」から乖離していることに対して、

怒りを感ずる所為なのではないかと思います。あたかも祖父が私を使って、今のマスコミを批判しているようです。


そして、天下国家を論ずることは疲れます。もう、止めようか、と思ったことも何度もありますが、

結局書き続けています。やはり、私は祖父から何かを受け継いでいるのかも知れません。


かなり、自己陶酔的な文章になってしまいました。毎年10月28日には、このことを書こうか、書くまいか迷い、

書かないで参りましたが、今日は思い切って書いてしまいました。

完全に私的な思い入れですが、今日だけは、ご勘弁下さい。

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【お詫び】
普段はメールを受け付けているのですが、最近、海外からのスパムメールがやたらと多いので、メールフォーム非表示にしてあります。

ココログからも、メールが送れますので、よろしければご利用下さい。


2007年10月28日(日) 「青空文庫、6500作品入りDVD-ROMを図書館に寄贈」←青空文庫は無料(タダ)が当たり前、と思うべきではない。
2006年10月28日(土) 「カール・ベーム&ウィーン・フィル(1977年日本公演)」(DVD)30年ぶりですね。ベーム先生。お久しぶりです。
2005年10月28日(金) 「日本音コン:ホルン本選会、大野雄太さんが1位」←プロが毎コン受けるのは立派ですよ。
2004年10月28日(木) 「新潟県中越地震、Fujisan.co.jp、イーバンクと goo も支援」←カードで簡単に寄付ができます。
2003年10月28日(火) 自民党の二枚舌「小泉改革宣言」と「解説・自民党重点施策
2002年10月28日(月) 「感覚は欺かない。判断が欺くのだ。」(ゲーテ)

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