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JIROの独断的日記
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2007年09月21日(金) 毎日新聞「リタリン報道」の恣意性。リタリン乱用入院者、15例(06年)アルコール依存症は、入院外来合計1万7千人(02年)

◆記事:<リタリン>製造元、うつ病を適応症除外へ 乱用に歯止め(毎日新聞 - 09月21日 03:12)

依存性の高い向精神薬「リタリン」の乱用が広がっている問題で、製造・販売元の「ノバルティスファーマ」(東京都港区)が、

適応症から難治性・遷延性うつ病を削除する方向で検討していることが分かった。

リタリンは覚せい剤と似た効果があり乱用による依存者の急増が明らかになっている。

ノバルティス社は関係学会や厚生労働省の了解が得られ次第、同省薬事・食品衛生審議会に自主的に削除を申請する方針。

うつ病への処方の全面禁止は乱用への大きな歯止めとなりそうだ。

リタリンは中枢神経興奮剤「塩酸メチルフェニデート」の商品名。

1958年の販売開始以来、軽いうつ病に使われていたが、爽快(そうかい)感や多幸感が得られたり、

食欲抑制効果があるため、若者を中心に乱用が社会問題化。旧厚生省は98年、

通常の抗うつ薬では効果が不十分な難治性・遷延性うつ病に適応症を限定した。

しかし、インターネットの普及などで十分な診察もせずにリタリンを処方する医療機関の情報が簡単に手に入るようになったことを背景に、

その後も乱用者が急増。適応症のない患者が掛け持ち受診して大量に入手したり、違法に売買するケースが後を絶たなかった。

また、国立精神・神経センター(東京都小平市)の調査で、

リタリンを乱用して依存症などの副作用で入・通院したケースが06年度、精神科病床を持つ全国の医療施設で15例に上り、

2年前の約2倍になったことが明らかになっていた。

関係者によると、ノバルティス社は乱用に歯止めがかからない現状を重視。

検討した結果(1)現在の科学水準に照らし、うつ病に効果があるとの十分な根拠が得られていない

(2)他に効き目がある抗うつ薬が多数販売されている−−として、

適応症からうつ病を除外しても問題はないと判断した。すでに厚労省や精神疾患関連の学会と協議に入っている。

うつ病が削除されれば、リタリンの適応症は「ナルコレプシー」(睡眠障害)だけとなる。

この病気の患者は国内で約20万人程度と推計され、診断も脳波などの厳格な検査が必要なため、

医療関係者は「うつ病を適応症から外せばリタリンの乱用は激減する」と期待している。【精神医療取材班】


◆コメント:リタリン使用者=薬物依存者のような記事はよろしくない。

毎日新聞は全国紙の中で唯一、何年も前からこの精神賦活剤、塩酸メチルフェニデート、商品名「リタリン」を

目の敵にしている。

読む度に感じるのだが、毎日の記事を読むと、リタリンを一度飲んだら最後、永遠に止められない依存に陥り、

廃人同様になってしまうかの如き恐怖感を与える(この記事だけでは分からないかもしれないが、過去からの毎日の

記事を読むと、とにかく「恐怖の薬」を強調するばかりである。)

精神科に今まで縁がなく、タダでさえ偏見を持っている読者は恐らく、

リタリンを処方されている患者は全て乱用者への道を辿る、人生の敗残者、恐ろしい狂人であるかの如き印象を受けるだろう。


◆リタリン(だけではないが)の処方を受け、無事にうつ病から回復した例をお見せしましょう。私です。

リタリンは確かに依存性が危ないとされているが、この薬を処方した医師が全ていい加減で、

飲んでいる患者は、薬物依存者だ、という印象を与える、ミス・リーディングな報道は正しくない。

それが、如何に誤った認識であるか。証拠をお見せしよう。私である。

私はリタリンを処方されている。一番多いときには一日3錠だったが、今は一日1錠である。もう七年にもなる。

私が、この日記で、「宇宙人からの電波を受信した」とか、「神の啓示を受けた」とか、

典型的「キチガイ」の文章を書いたことがあるかどうか。

エンピツ(2002年4月15日)から今まで、約1800本の記事の中からご指摘いただきたい。


◆何故、リタリンが必要なのか。

うつ病の薬物治療に関する基礎知識を少し。

普通のうつ病の治療薬、抗うつ薬は、主作用が現れるまでに、おおよそ2週間を要する。

正確に書くならば、「主作用が現れるか否かがわかるまでに」2週間、である。

薬と患者には相性がある。

Aという薬が、ある人には効果があっても、別の人にはまるで効かないというのは、珍しいことでも何でもない。

今、日本で使用が認められている抗うつ薬は何種類あるのだろう。

私のころ、16種類だったが、新しい薬が認可されているから、更に増えているはずだ。

如何にベテランの精神科医といえども、初めて診る患者に、どの薬が合うかは分からない。

トライ・アンド・エラー(試行錯誤)の連続である。


長くなるが、それが、リタリン処方の直接理由になることはない。

自分に合う抗うつ薬が見つかったとしても、うつ病の回復は薄皮を剥がすような、緩慢な過程である。

うつ病は、身体のエネルギーが極度に低下した状態であるから、

本当は、まず、休職をして服薬するのが、最も正しい治療法である。

ところが、あいにく、サラリーマンは簡単に休職などできない。



私の場合は、公立小中学校があまりに荒れているので、愚息を私立中学に入れようとした(幸い合格した)。

そのためには、進学塾に通わせなければならない。会社を休むわけにはいかぬ。

うつ病の典型的な症状の現れ方として「日内変動(にちないへんどう)」がある。とにかく朝が異常に辛い。

健康なときですら、朝は辛いが、うつ病患者にとって朝の辛さは、地獄のようである。

これは、三環系抗うつ薬、SSRI、SNRI(調べて下さい)では、絶対に解消出来ぬ。

この辛さを何とかしていただけないか、と主治医に尋ねたら、

「滅多に出す薬ではないのだが、貴方(JIRO)の辛さは様子を拝見していても良く分かる。それに貴方は服薬を自己管理できるから。」


と仰って、リタリンが処方された。七年間というのは本当は超例外である。

だが、ドクターの決断のおかげで最も辛い時期を乗り越えることができた。

また、私は薬への耐性が出来ないように、

「週末は飲まない」、「飲まなくても大丈夫そうなときは飲まない」、

ことを徹底した。それが主治医から信頼されたことも幸いした。

最もひどい抑うつ状態がおさまったとき、先生は、向精神薬は一編に減らすと断薬症状が出るから、徐々に減らしましょう、

といい、一日3錠→2錠→1錠と漸減させたのち、現在の処方を維持している。

私は、この薬のおかげで、何とか働き続けている。非常に親切な名医に診ていただけたことを感謝している。

自慢話をした訳ではない。今も、私と同じような患者が大勢いるはずだ、と云いたいのである。
そういう人は、「真面目に」リタリンを服用し、依存にも陥らない。

真面目なリタリン使用者が、この薬の乱用者がいたから、という理由で処方を打ち切られるのは理不尽だ。


◆ある薬の乱用者がいるからといって、真面目に服用している患者に処方されなくなるのはおかしい。

毎日があまりにもリタリンを「恐怖の薬」「悪魔の薬」のように書くから、

製薬会社(ノバルティスファーマ)が、リタリンの適応から、難治性・遷延性うつ病を外すことを決めたようだ。

厚労省は、製薬会社の申請があれば認めるのだろう。

しかしながら、この論理はおかしい。

ある薬を乱用する者がいるから、真面目にその薬を飲んでいた患者にも処方しない、

という理屈を普遍的に適用するならば、

酒を飲んでアルコール依存症になる人間がいるから、日本では、一切酒を作って売ってはならない。

という決定がなされるべきだ。

冒頭の記事によると、リタリンに関連して入院したのは2006年で15例だという。

日本にアル中がどれぐらいいるか、知っていますか?

データが2002年で少しふるいが、アルコール薬物問題全国市民協会(ASK)のサイトにある、

成人の飲酒実態と関連問題の予防に関する研究を読んで下さい。

一番下の項目は、次の通り。

一方、ICD-10の診断基準に基づくアルコール依存症の有病率は、

男性の1.9%、女性の0.1%、全体で0.9%と推定されました。

この割合から、「診断基準に基づくわが国のアルコール依存症者数」は、80万人とされました。

厚労省の患者調査によると、依存症患者は入院・外来合計で17,100人(02年10月現在)ですから、

治療を受けているのは47分の1人ということになります。


リタは昨年15例の入院患者が出た。乱用が深刻な社会問題だ、という。

じゃ、1年間で入院・外来合計だが、17,500人が治療を受ける原因となった

アルコール(アルコールは歴とした薬物である)は深刻じゃないの?

治療を受けていない人も含めると全国に80万人の依存症患者がいる、アルコール。

どうして、放置しておくのだろうか。

あの、人の人格(精神医学における「人格」ではない。)を短時間に劇的に変える、

強烈な向精神薬、アルコール。厚労省のお役人さんは、酔っぱらいを見たことがないの?

酒を飲んで暴れて人を殴ったり、刃物で刺して殺したり、酔っぱらい運転で子供をはねた奴は

いうまでもなく、大勢いる。

リタリンを飲んでそういう重大犯罪を起こした者がどれ程いるのか、教えていただきたい。



私は、「リタリンをどんどん処方するべきだ」と云っているのではない。

出来れば、飲まないに越したことはないけれども、自分の経験から、

どうしてもああいう薬が必要な状況に置かれている人がいる、ということが分かるのである。

何でもかんでも規制すればいいというものではない。極端から極端に走るな、といっているのだ。

東京の町医者が、リタリンの処方箋を乱発していた、という話からわずか数日。

要するに、ノバルティスファーマと厚労省の免責(責任を予め免れること)だろう。

前段で書いたように、向精神薬の投与を中止するときは、いきなりゼロにするのではなくて、

漸減するのが常識であるが、この調子だと、「お上のお触れ」がでた途端に、全国の医師が

リタリンを処方しなくなる。私を含む、「真面目に」この薬を使っていた患者は離脱症状に苦しむ可能性がある。

厚労省には医師国家試験に合格した、つまり医師免許を持つ役人、医系技官がいるのだから、

そんなことは分かっているはず。今回、非常にめずらしいことに、適応症を減らしますと言い出したのは、

製薬会社の側だけれども、急に、処方を外された真面目な患者がどうなるか、お役人さんも

よく考えることですね。


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2006年09月21日(木) <国旗国歌>学校強制に違憲判決 教職員401人が全面勝訴←「強制になるということではないことが望ましいですね」(天皇陛下
2005年09月21日(水) 「廃止の流れ変わりない サラリーマン定率減税で財務相」←ところが法人税減税はそのまま。
2004年09月21日(火) 「小4〜6年生の4割『太陽が地球の周り回っている』」 それこそPCを使えば良いのだ。
2003年09月21日(日) 「あと、1日だけ生きる」と思って、生きている。

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