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JIROの独断的日記
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2007年08月14日(火) 終戦記念日。安倍首相。「きけ、わだつみのこえ」を読んだことがありますか?

◆終戦記念日。8月は辛い日が多いな。

日本人にとって数少ない、休みの期間である8月には、如何なる運命のいたずらか、悲しい日が続く。
6日。広島に原爆。

9日。長崎に原爆。

12日。日航123便墜落。乗員・乗客520名死亡。

15日。終戦記念日

終戦記念日は戦争が終わった日だから、それ自体は悪いことではないが、毎年、戦没者追悼式がある。

戦争を知っている人々が、ご健在である。

62年を経た今でも、追悼式に参加する方がいる。戦争が人々にもたらす不幸の大きさが分かる。


◆日本を戦争が出来る国にしようとする奴は、想像力が足りないのだ。

いわゆる、「軍事オタク」、つまり兵器とか戦闘機とかに異様に興味を持っている人がいる。

恐ろしいことに、元防衛庁(当時)長官石破茂という男がそれで、戦車や戦闘機のプラモデルを集めるのが趣味であるため、

防衛庁長官時代、長官室にはこれらのプラモデルがところ狭しと並べてあったそうだ。

日本のCIAと呼ばれる、元共同通信記者の青山繁晴氏は、
「軍事オタクに欠けているのは、イマジネーションだ。戦場では、弾に当たった兵士の腕や脚がちぎれて吹っ飛び、

頭が割れて、脳ミソと血が飛び散り、自分に降りかかる、ということが想像できないのだ」
という意味のことを述べている。その通りだと思う。

6日、広島の平和祈念式典において、秋葉忠利広島市長は「平和宣言」の冒頭で、

異例ともおもえるほどリアルな表現で爆心地周辺の地獄絵図を言語化した。抜粋引用すると、

運命の夏、8時15分。朝凪(あさなぎ)を破るB―29の爆音。青空に開く「落下傘」。

そして閃光(せんこう)、轟音(ごうおん)――静寂――阿鼻叫喚(あびきょうかん)。

落下傘を見た少女たちの眼は焼かれ顔は爛(ただ)れ、助けを求める人々の皮膚は爪(つめ)から垂れ下がり、

髪は天を衝(つ)き、衣服は原形を止(とど)めぬほどでした。爆風により潰(つぶ)れた家の下敷になり焼け死んだ人、

目の玉や内臓まで飛び出し息絶えた人――辛うじて生き永らえた人々も、死者を羨(うらや)むほどの「地獄」でした。

普通の形ばかりの演説なら、このような表現を用いることはないだろう。

秋葉市長は、最近の若い連中や、原爆を投下したアメリカ人に当時の悲惨さを分からせるには、これぐらい言わなければダメだ、

と考えたのだろう。


◆「きけ わだつみのこえ」の一文を載せます。

「きけ わだつみのこえ」は、複数の出版社から出ているが、戦没学生の遺書を集めて本にしたものだ。

岩波文庫が一番入手しやすいだろう。

今すぐに読みたければ、電子ブックをダウンロードすればよい。

といっても、なかなか読まないだろうから、ここに載せます。

「きけわだつみのこえ」の冒頭に載っている、有名な一文。

筆者は、上原良司(うえはらりょうじ)氏。1922(大正11)年9月27日生。長野県出身。

慶應義塾大学予科を経て、1943(昭和18)年、経済学部入学。1943年12月1日、松本第五〇連隊に入隊。

1945年5月11日、陸軍特別攻撃隊員として、沖縄嘉手納湾の米機動部隊に突入戦死。陸軍大尉。享年、22歳。

若干22歳の若者が、明日特攻に出撃して、自分は確実に死ぬ、と分かっている状況で書いた、驚嘆するほど冷静・明晰な、教養と、そして苦悩に満ちた文章である。

所感

栄光有る祖国日本の代表的攻撃隊ともいうべき陸軍特別攻撃隊に選ばれ、身の光栄これに過ぐるものなきを痛感いたしております。

思えば長き学生時代を通じて得た、信念とも申すべき理論万能の道理から考えた場合、

これはあるいは、自由主義者と言われるかも知れませんが、自由の勝利は明白の事だと思います。

人間の本性たる自由を滅ぼす事は絶対に出来なく、例えそれが抑えられているがごとく見えても、

底においては常に闘いつつ最後には必ず勝つということは、

彼のイタリアのクローチェ(注:イタリアの哲学者。1886-1952)も言っているごとく真理であると考えます。

権力主義全体主義の国家は一時的に隆盛であろうとも、必ずや最後に敗れることは明白な事実です。

我々はその審理を今次世界大戦の枢軸国家(日本・ドイツ・イタリア。つまり、三国同盟を結んだ国)において見ることが出来ると思います。

ファシズムのイタリアは如何、ナチズムのドイツはまた、既に敗れ、今は権力主義国家は土台石の壊れた建築物のごとく、次から次へと滅亡しつつあります。

真理の普遍さは今、現実によって証明されつつ、過去において歴史が示した如く、未来永久に自由の偉大さを証明して行くと思われます。

自己の信念の正しかったこと、この事はあるいは祖国にとって恐るべき事であるかも知れませんが、

吾人(引用者注:「我々」の意)にとっては嬉しい限りです。

現在のいかなる闘争もその根底を為すものは必ず思想なりと思う次第です。

既に思想によって、その闘争の結果を明白に見る事が出来ると信じます。

愛する祖国日本をして、かつての大英帝国のごとき大帝国たらしめんとする私の野望はついに空しくなりました。

真に日本を愛する者をして立たしめたなら、日本は現在のごとき状態にはあるいは追い込まれなかったと思います。

世界どこにおいても肩で風を切って歩く日本人、これが私が夢見た理想でした。

特攻隊のパイロットは一器械に過ぎぬと一友人が言ったことは確かです。操縦桿を採る器械、人格もなく感情もなく、

もちろん理性もなく、ただ敵の航空母艦に向って吸いつく磁石の中の鉄の一分子に過ぎぬのです。

理性を持って考えたなら実に考えられぬ事で、強いて考うれば、彼らの言うごとく自殺者とでも言いましょうか。

精神の国、日本においてのみ見られる事だと思います。一器械である吾人は何も言う権利もありませんが、

ただ願わくば愛する日本を偉大ならしめられん事を、国民の方々にお願いするのみです。

こんな精神状態で征ったなら、もちろん死んでも何にもならないかも知れません。

故に最初に述べたごとく、特別攻撃隊に選ばれたことを光栄に思っている次第です。

飛行機に乗れば器械に過ぎぬのですけれど、いったん下りればやはり人間ですから、そこには感情もあり、熱情も動きます。

愛する恋人に死なれたとき、自分も一緒に精神的には死んでおりました。

天国に待ちある人、天国において彼女と会えると思うと、死は天国に行く途中でしかありませんから何でもありません。

明日は出撃です。

勿論発表すべきことではありませんでしたが、偽らぬ心境は以上述べたごとくです。

なにも系統だてず、思ったままを雑然と並べた事を許して下さい。

明日は自由主義者が一人この世から去って行きます。彼の後ろ姿は淋しいですが、心中満足で一杯です。

言いたいことだけを言いました。無礼をお許し下さい。ではこの辺で。

出撃の前夜記す

もう一度書くが、これは22歳の青年の書いた文章である。恥ずかしいが、私は彼の倍以上の時間生きているが、

これほど立派な文章は書けない。そもそも彼ほどの教養がないのだ。

初めて読んだ人、涙無くして読めましたか?何とも感じないひとは、悪いけど、人格に問題があるよ。

戦争をするということは、これほど優秀な若者を、国家の命令で死なせてしまう、ということなのさ。



安倍晋三内閣総理大臣。それでも日本を再び戦争が出来る国にしたいですか。

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