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JIROの独断的日記
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2007年07月27日(金) 「イラク支援 空自機狙い砲撃か」←イラク復興支援特別措置法では自衛隊が活動するのは「非戦闘地域に限る」

◆記事:イラク支援 空自機狙い砲撃か 昨秋、熱センサー作動 (7月26日15時49分配信 産経新聞)

イラク復興支援特別措置法に基づいてクウェートを拠点にイラクで輸送支援活動を展開している

航空自衛隊輸送航空隊のC130輸送機が昨秋、バグダッド空港付近を低空飛行中に、

地上からミサイル攻撃を受けていた可能性が浮上した。現地ではミサイルなどの脅威情報による運航中止や、

輸送機の機体のセンサーによる警報作動が日常化しているという。

空自関係者によると、昨年秋ごろにバグダッド空港近くを低空飛行中のC130の機体4カ所に付けられた熱源感知センサーが警報を発し、

パイロットは機体を急旋回させた。その際、乗組員が白煙を目撃した。

白煙はその後の分析などから、地上からC130を狙って発射されたミサイルのものだった可能性が極めて高いという。

防衛省は「確認できない」と一切公表を控えている。

米軍や多国籍軍などの情報によると、イラクで活動する武装勢力が持つ「地対空ミサイル」の射程は

約9000フィート(約2700メートル)〜約1万3000フィート(約3900メートル)とされる。

C130はこれを避けるため、クウェートからバグダッドや北部アルビルへの飛行の際は

巡航高度1万8000フィートから2万フィートを維持して飛んでいる。

最も危険にさらされるのは離着陸時。イラク仕様の同機に装着されたセンサーは

ミサイル発射時のロケット噴射の熱源を感知、警報で知らせる。地上からの攻撃回避のため

C130は熱源をそらす欺(ぎ)瞞(まん)熱源をまき散らして急降下、急上昇で離着陸している。

空自関係者によると、感知センサーの警報は頻繁に鳴り、誤作動も多いが、

その都度回避行動を取らざるを得ず、欺瞞熱源は「警報の有無にかかわらず、

離着陸の際は必ず使用、安全確保に万全を期している」という。

イラク特措法による復興支援は、政府・与党が安全性を訴え、先の国会で2年間の延長が決定した。

空自関係者は「危ないけれど、安全確保に全力を尽くして、懸命に任務を果たしている」と話している。


◆コメント:安倍首相。イラク復興支援特別措置法によれば、自衛隊が活動出来るのは、どういう場所ですか?

最初から話がそれるが、産経新聞ってのは本当に馬鹿だ。記者も論説(委員)も。

この記事を書くからには、次の一文を絶対に加えるべきなのである。

「自衛隊のイラク派遣の根拠法である、『イラク復興支援特別措置法』は、自衛隊が活動する地域を『非戦闘地域』に限定している」

最低でも、これ。本当は、その後に、
「空自の活動地域が、実質的に「非戦闘地域」と認められるのか、政府は早急な見直しを迫られる。」

因みに、イラク復興支援特別措置法でこれを定めた第二条第三項をよく読んで下さい。リンクを貼った上に引用するのも、しつこいが、しつこいぐらいでちょうどいい。
対応措置については、我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において実施するものとする。

これが、所謂「非戦闘地域」の定義である。


◆テロリスト集団は「国家」ではないから、「戦闘行為」ではないのだそうだ。

上に載せた、イラク復興支援特別措置法第二条第三項で、「戦闘行為」の後に括弧書きでその定義が書かれている。

これは何を言いたいかというと、「戦闘行為」とは、国家が主体となった宣戦布告を交わしての武力紛争を指すのであって、

テロリストは国家ではなく「犯罪集団」だから、テロは戦闘行為ではない、と云いたいのである。

つまり、自爆テロで毎日何十人という人が死んでいるバグダッドは、「非戦闘地域」なのだ、というのが、

この法律が出来た当時の「防衛庁」の説明だった。

こういうのを日本語で、「屁理屈」とか「詭弁」という。


◆法律を適用する際には、法の「目的論的解釈」に基づくべきだ。

法学部で法律を習っていた頃、ある教授が、

「法律や法律書を読むときは、ただ覚えればいいというものではない。いつも、『何故か?』と問いながら読むのだ」

と云った。

法律そのものを鵜呑みにするのではなく、何故、この法律が、条文が存在するのか、を考えるのだ、ということだ。

根本的なところまで溯るならば、私は、イラク復興支援特別措置法そのものが違憲だと考えている。それは何度も書いた。

ここでは、百歩譲って、イラク復興支援特別措置法そのものを考える。



イラク復興支援特別措置法で自衛隊の活動地域を「非戦闘地域」に限定したのは、云うまでもなく、自衛官の安全を確保するためである。

ならば、相手が国家だろうがテロリストであろうが、そのような「形式」は関係ない。

実際に鉄砲玉が飛び交い、毎日自爆テロがあり、一度に100人死ぬことも珍しくない土地に、空自を派遣することは、

明らかに、イラク復興支援特別措置法に違反している。

防衛省は無論行政府の一角を成す。国権の最高機関である国会が作った法律を破ることは許されない。


◆既成事実化

イラク復興支援特別措置法は小泉政権下で強行採決された。

過去に何度となく書いたが、イラク復興支援特別措置法でいうところの、安全確保活動とは、米兵や米軍の物資を

日本の自衛隊の輸送機が運ぶことである。

これは、戦闘中の同盟国に対する後方支援で、集団的自衛権の行使であり、違憲なのだ。

この法律が国会で成立するとき、殆ど与野党が殴り合いと言っていいほど、揉めたのだ。

それほど重大なことなのに、平気で時限立法だったのが延長され、アホな新聞とはいえ、産経が

空自の輸送機はミサイルで狙われている、との情報を報じたのに、政治家、他のマスコミ、国民、

誰も見向きもしない。

戦争放棄の憲法第九条が存在する今ですら、このていたらくだ。

「既成事実化」が如何に危ないかを端的に示している。

安倍のバカの云うとおりに日本を戦争が出来る国に変えたら、何処までエスカレートするか、

想像に難くない。

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