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JIROの独断的日記
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2006年07月23日(日) 「上下意識薄い?上司に「ご苦労様」…文化庁国語調査」←日本語は大人になってからも勉強しないとダメですね。

◆記事:上下意識薄い?上司に「ご苦労様」…文化庁国語調査

仕事を終えた後、一緒に働いていた相手にかける言葉を尋ねたところ、マナー本などでは上司に使う言葉と教えている「お疲れさま(でした)」を、

部下にも使っている人が半数以上もいることが26日、文化庁の「国語に関する世論調査」で分かった。

部下には「ご苦労さま(でした)」とねぎらうのが一般的とされるが、調査では“ご苦労さま派”は36・1%にとどまった。

文化庁は調査結果を、敬語の使い方に関する指針づくりを進めている文化審議会国語分科会に提出し、来年2月までに、指針を完成させる方針だ。

調査は今年2〜3月、全国の16歳以上の男女3652人を対象に実施した。(読売新聞) - 7月26日23時42分更新


◆コメント:上下意識の問題ではなく、「国語力」の問題だ。

本題に入る前に指摘すると、この読売新聞の見出し自体も変な日本語だ。
「上下意識薄い?」

と、新聞の見出しで訊かれても困る。

一時期若者の間で流行った、肯定文で、当然文末が終止形になるべきところでも語尾を上げて、「〜?」という話し方の名残りかも知れぬ。

無論、新聞記事の語法は字数制限のため、多少不自然にならざるを得ないことがある事ぐらい承知しているが、

新聞記者はプロの物書きなのだから、考えて書いていただきたい。

この記事なら、せめて「上下意識の希薄化か。」ぐらい思いつかないかな・・・。本当は「上下意識」という日本語も、変だ。

「上下関係の意識」と書くほうが適切ではないかと、思われる。

本題に入る。

読売新聞は、「ご苦労様」と「お疲れ様」の使い分けが出来ないのは、「目上、目下」の意識が希薄だから、と理由付けしたいようである。

それもあろうが、私には、国語力の低さの問題ではないかと思われる。


◆とにかく、覚える。

日本語は大変難しいが、母国語にしろ、外国語にしろ、習得する過程ではとりあえず理屈抜きに覚える外、仕方のないことが多い。

一例を挙げる。

同じような動作でも将棋は「指す」のに対して囲碁は「打つ」ものである。

この違いが何故生じたかを考えるのは、国語学的には興味深いが、仮に日本語習得中の外国人が、こういうときにいちいち「何故?」を繰り返していたら、

殆ど永久に日本語の運用能力は身につかない。とにかく、理屈は後回しにして覚えてしまうしかない。



これは、日本人が知らない単語や言葉遣いを覚えようとするときも同じ事である。

敬語には、丁寧語、尊敬語、謙譲語があり、この使い訳は比較的理屈で考えることが可能な領域だが、

それでも、目上には「お疲れ様でした」と言い、目下には「ご苦労様」を使う、という類のことは、やはりそのまま覚えるしかない。

本屋へ行けば敬語の本などいくらでも売っている。インターネットでは多分メルマガにあるだろうと思って検索してみたら、

ビジネスマンのわかりやすい!基礎敬語講座というメールマガジンを発行している方がいた。

正確かつ詳細で分かりやすい。「ビジネスマン」に限らず参考になると思う。例えば、

目上や顧客に対して、「分かりました」というのは正しく無い。それは対等の関係において使う言葉である。正しくは「かしこまりました」を用いる。

というようなことが、毎回一つずつ説明してある。

バックナンバーが全て公開されている。有難いもので、これを簡単にダウンロードすることができる。一般のダウンローダーでも可能だが、面倒なので、一つフリーソフトウェアを御紹介する。

「まぐまぐバックナンバー取得」というソフトである。リンクを貼るのは遠慮したいので、そのまま検索していただきたい。

すぐに見付かる。このソフトの使用方法は至って簡単で、「まぐまぐ」のマガジンIDを所定の位置に入力すると、

テキストファイルにして保存してくれる(又は、一通ずつ自分宛のメールにすることも出来るとのことだが、その機能は私は使ったことがない)。

但し、かなり大きめのテキストファイルになるから、メモ帳より機能が高いテキストエディタを使うことをお薦めする。

(余談であるが、私は昔から持っているQXを使っている)。


◆尊敬語と謙譲語

敬語の中でも尊敬と謙譲語の区別が出来ていないか、若しくは「知識がない」、場面を目撃することが最も多いように思う。

ほんの一例を挙げるならば、「ございます」は謙譲語だから、取引先に電話して

「山田部長でございますか?」は失礼である。

「山田部長でいらっしゃいますか?」が正しい。

もう一例だけ。

お客、又は目上が何を食べるか(飲むか)を訊ねるとき、

「何をいただきますか?」は同種の間違いである。

「頂く」は「食べる」「飲む」の謙譲語だから、相手に対して用いてはならない。

「何を召し上がりますか?」が正しい。



以前、フジテレビのクイズ番組で、フジテレビの(男も含む)アナウンサーに、「食べる」の謙譲語は何か、という問題を出したら、

誰も正しい答えを出せず、「召し上がる」と書いていたのには心底驚いた。

最もひどいのは、「謙譲語」という概念を知らない「アナウンサー」が、存在することである。

アナウンサーは、言うまでもなく、「日本語のプロ」であるべき職業だ。タレントではない。



昨日、TBSで故・逸見政孝氏の追悼番組を放送していた。逸見氏は、元来フジテレビアナウンサーだった。

逸見氏はものすごい努力家で、関西出身であるにもかかわらず、アナウンサーになるなら標準語を身につけるのは当たり前だとしても、

NHKの「アクセント辞典」を丸ごと一冊暗記した人である。

東京生まれ、東京育ちの人間よりも遙かに正確で美しい標準語を話していた。

経歴を聞かなければ、彼が関西出身であることは、東京生まれの人間ですら、誰も絶対に分からなかったと思われる。



逸見さんが生きていたら、今のフジテレビなど1人として「アナウンサーとして認めない」というに違いない。


◆敬語以外にも色々とある、間違えやすい日本語。

今ではかなり知られるようになったが、「とんでもない」を「とんでもございません」というのは、誤用である。

こういうことは辞書で覚えてゆくしかない。少しでも、不確かだと感じたら、その場で辞書を引く習慣が大切である。



広辞苑を引くと、語源的には確かに「とんでも+ない」なのだが、文法(語法)的には、

「とんでもな・い」となっていて(ハイフンは省略してある、ややこしくなるので。)、「とんでもな」までが語幹(活用しない部分)であることが分かる。

つまり「とんでもな」までは変化させてはいけないのである。

同様の文法を「汚い」に当てはめると良く分かる。「きたない」という形容詞も、「きたな・い」であり、

「きたな」までが語幹だから、「きたございません」とは言わない。同じ文法である。

従って「とんでもない」の謙譲表現は、「とんでもないことでございます」とするしか方法がない。

「敬語以外にも色々」と書いたのに、一つしか例を挙げられなかったが、キリがなく、今日は時間が無いので、ここまで。

また、いずれ書きたい。


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