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JIROの独断的日記
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2006年07月17日(月) 内閣総理大臣の靖国神社参拝に関する一考察。

◆陛下(昭和天皇)のスクープで、すったもんだの大騒ぎだが、それはさておき陛下について私が覚えていること。

日経のスクープで大騒ぎである。靖国問題はひとまず、脇によけて、私が知っている、または覚えている昭和天皇に関する話をすこし書きたい。


若い人は、昭和の天皇陛下があまり記憶に残っていないかも知れない。

昭和30年代から40年代に生まれた人まではそれぞれ程度の差こそあれ、かなり鮮明に陛下の映像を記憶しているのではないか。

昭和天皇は、誤解を恐れずに言うならば、明らかに一般人と一線を画すやんごとなきお方だった。

いつもは、何だかいつも眠そうで、一体何を何処まで分かっておられるのかと、子供心に思ったが、

大人になってからいろいろな本を読むと、政治・経済をはじめ、非常に世情に通じておられたことがわかった。

それを知りたければ、毎日新聞の元編集委員、岩見隆夫氏の陛下の御質問を読むことをお薦めする。


◆天皇陛下が凍っちゃった、札幌オリンピック。

他愛の無い話では、1972年2月札幌オリンピックの開会式は陛下のご臨席を賜り、天皇陛下は開会宣言をなさったのだが、

センテンスがヘンなところで区切れ、私は失礼ながら、笑ってしまった。

あまりにも寒いので(無論、充分に防寒していたのだが・・・)天皇陛下が凍っちゃったのである。



もう一つは、ご在位何十周年かの節目に日本の主なメディアを大勢集めて記者会見を行ったことがある。

戦争責任云々は面倒くさいから省略する。

面白かったのは、陛下のプライベートに関わる質問で、どこかの記者(と言っても陛下の記者会見だから、デスクか政治部長クラスだと思う)が、

「陛下、お好きなテレビ番組はおありですか?」

と訊ねた。すると天皇陛下はニコニコしながら、
「好きなテレビ番組はありますが、放送会社の競争がはなはだ激しいので、どの番組を見ているかは・・・言えません」

と笑いながらおっしゃった。記者たちも皆、爆笑した。懐かしい。


◆内閣総理大臣の靖国参拝の是非に関する私見

この問題を論ずるとき、世間はあまりに情緒に傾いた主張をするのに驚く。

大きく分けると、


  1. 外国の反応に反発するもの、或いはこれを考慮すべきだという考え方。

  2. 靖国神社には東京裁判でA級戦犯とされた人々が神様として合祀されている。数百万人が死んだ太平洋戦争を始める決定をした人々を神様として祀っている場所を首相がわざわざ訪れて、神道の儀式にのっとって、敬意を表するのは「当然だ」又は、「いや、けしからん」


という二つの判断基準が主流である。



私は、いずれも肝腎な点を見逃していると思う。

内閣総理大臣の靖国参拝はまず、日本国憲法第20条第3項「国の宗教活動の禁止」に抵触しないかどうかを考えるべきである。
日本国憲法第20条第3項 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。


◆司法が「違憲だ」と判断したのであるから、行政府はこれに従うべきである。

日本は封建社会ではなく、近代国家であるから、三権分立が大原則である。

そして、法令、処分等が憲法に適合しているか否かを審査する権利は裁判所に与えられている。

日本国憲法 第81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

ここでは最高裁判所のみについて言及しているが、それは、最高裁が合憲性を判断する「終審裁判所」、つまり最終的に判断するのだ、という意味であり、

下級裁判所(高等裁判所、地方裁判所など)が違憲審査権を持たない事を意味するものではない(最大判昭和25年2月1日では、下級裁判所に違憲審査があることを肯定している)。



昨年9月30日大阪高等裁判所の判決(大阪高等裁判所 平成17年09月30日 平成16(ネ)1888 損害賠償請求控訴事件)は極めてはっきりと、小泉首相の靖国神社参拝は違憲である、との判断を示している。

リンク先を見れば分かるが、PDFファイルで34ページ、

テキストファイルにして文字数を数えたら、原稿用紙(20×20)186枚分に相当する「大作」である。

無論、判決文が長ければ良い判決とは限らないが、大阪高裁の緻密な論理の展開は殆ど「感動的」という形容が当てはまるほどであり、

裁判官がこの判決文に注いだ、使命感に由来する情熱が、ひしひしと感じられる。

長大な判決文の一部を引用する。
愛媛玉串料違憲訴訟において,上告審判決は,玉ぐし料の支出という現場に出向かない行為ですら,県が編⊃声劼箸隆屬砲里澎媼嬰に特別のかかわり合いを持ったことを否定することができないと断定している。この玉ぐし料の支出との比較からすれば,国民と世界が注視している中で,被控訴人小泉が内閣総理大臣として行った本件各参拝ではなおのこと,被控訴人国が編⊃声劼箸隆屬砲里漾ざ砲瓩動媼嬰に,特別のかかわり合いを持ったことを否定することができない

以上の事情から判断すれば,被控訴人小泉が被控訴人国を代表し内閣総理大臣として編⊃声劼頬楫鏗道嫁劼鬚靴燭海箸蓮ぐι俺牟料訴訟上告審判決が県の玉ぐし料支出を宗教的活動と判断したよりさらに明確に,その目的が宗教的意義を持つことを免れず,その効果が特定の宗教に対する援助,助長,促進になると認めるべきであり,これによってもたらされる被控訴人国と編⊃声劼里かわり合いがわが国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものであって,憲法20条3項の禁止する宗教的活動に当たるというべきである。


このとおり、「首相の靖国参拝は違憲である」との結論を出している。

この判決が出たときに、「主文ではなく、傍論だから法的拘束力はない」とバカな産経新聞の論説が書いていたし、

ブログの世界でもこの手合いが大勢いた。

それは、日本が「付随的違憲審査制」を採用しているから、そうならざるを得ないのだ。

なお、この件については、以前、詳しく説明したので、ご参照頂きたい。



話を戻す。

司法が行政府(内閣)の行為を「違憲だ」と判断したのであるから、三権分立の国家統治体制を破壊するつもりで無い限り、行政府は司法の判断に従わねばならぬ。

つまり、小泉首相は靖国神社を参拝してはいけないのである。議論の余地は無い。

小泉首相が大阪高裁の判断を無視して、靖国参拝を続けるのは、内閣総理大臣自ら「裁判所の判決には従わなくても構わない」と国民に告げているに等しい。

こうなったら、日本は法治国家ではなく、何でも内閣総理大臣の一言で決まる国となる。北朝鮮にそっくりではないでしょうか?


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