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JIROの独断的日記
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2006年05月05日(金) 「訃報:上本孝一さん43歳=プロ野球セ・リーグ審判員」←審判員は本当に大変な仕事だ。

◆記事:【訃報】上本孝一さん43歳=プロ野球セ・リーグ審判員

上本孝一さん43歳(うえもと・こういち=プロ野球セ・リーグ審判員)5日、心筋こうそくのため埼玉県朝霞市の自宅で死去。

葬儀は7日午前9時、朝霞市溝沼1259の1の朝霞市斎場。自宅は朝霞市膝折町4の5の6。喪主は妻美代子(みよこ)さん。

捕手として京都・西舞鶴高から82年、ドラフト5位で広島入り。84年に退団後、85年からセ・リーグ審判員として1412試合に出場した。

4日の中日−横浜戦(ナゴヤドーム)で一塁塁審を務めて帰宅し、就寝中に死亡した。毎日新聞 2006年5月5日 19時49分


◆記事2:渡真利球審が突然倒れる、巨人阪神戦で(4月21日)

セ・リーグの渡真利克則審判員(43)が21日、球審を務めた巨人−阪神1回戦(東京ドーム)で4回、脈に異常を感じ、突然倒れた。

そのまま担架で運ばれ、救急車で東京都内の病院に入院した。セ連盟によれば、この日の心電図などを含めた検査結果で後日、判明するという

同球審は井川が小坂に5球目を投げようとしたとき、捕手の矢野に覆いかぶさるように倒れた。

自力で起き上がったが、矢野に抱きかかえられ、立つのがやっとの様子だった。このため試合は9分間中断。

三塁の井野審判員が球審に回り、控えの有隅審判員が三塁塁審に入った。 (日刊スポーツ) - 4月21日23時48分更新


◆記事3:セ・リーグの渡真利審判員が退院=プロ野球(時事通信) - 4月22日20時1分更新

セ・リーグの大越英雄事務局長は22日、前日の巨人−阪神1回戦(東京ドーム)で球審を務めた際に倒れ、東京都内の病院に入院した渡真利克則審判員が退院したことを明らかにした。

掛かり付けの病院で詳しい検査を受ける予定で、現場復帰はその結果を待ってからとなる。


◆記事4:岡田監督 審判に怒号   (スポーツニッポン) - 4月22日6時2分更新

【阪神2−3巨人】2試合連続の延長サヨナラ負け。ベンチ裏に怒号が響いた。

「全然、ストライクやって!」。顔を紅潮させながら、岡田監督は会見場に姿を現した。李の一発で連敗ストップも貯金1も全部すっ飛んだ。

怒りの原因は、アーチ直前の1球だ。カウント2―1から久保田のスライダーを井野球審が「ボール」と判定。

ストライクなら見逃し三振で、試合が続いていた。報道陣に不満をぶちまけると驚きの行動に出た。
渡真利球審が体調不良で倒れるアクシデントがあり、交代で球審を務めたのが井野審判。審判控室の前でその説明を報道陣に行っていたところを見つけると「あれをボール言うとったら野球にならんで!コースか高さか、どっちなんや」と詰め寄った。「コースで」という井野審判に「コース!ビデオ編集して持ってくるから、分かってるやろな。あした行ったるわ!」と激怒。

「(井野球審は)一緒のことばっかりやっとんのやから。見え見えや。人気なくなるわ、巨人も」とまくし立てた。

4連敗というチームの苦境が、怒りに拍車をかけたのかもしれない。「ど真ん中や。ええ試合しとんのに…」 - 4月22日6時2分更新


◆コメント:審判が亡くなっても誰のお悔やみの言葉も載せないのか?

私は野球に限らず、スポーツは嫌いだ。スポーツ選手のアホ面を見ていると腹が立つ。

しかし、子供の頃一時期野球に興味を持ったことがある。

野球に興味を持つ子供は普通、「プロ野球の選手になりたい」といったものだ(少なくとも私が子供の頃は)。

ところが私は選手などになりたいと思ったことは一度もないが、審判員になりたいと思ったことがある。

そのいきさつと、今日、私が云いたいこと、「野球選手も観客も審判員の労をねぎらうものはいない」ことに関しては、

かつて書いた2003年10月01日(水) プロ野球選手・監督を称えても、審判員の労をねぎらう人は、いない。をお読みいただきたい。



審判がいなければ、野球の試合は始められない。

選手は攻撃のイニングで、打順が回ってきそうにないときは、ベンチで座って休めるが、審判員には試合時間ただの一度も休憩がない。

審判には高度な集中力と判断力、決断力が要求される。



かつて、有るテレビのクイズ番組(何処の局の何という番組だったか全く覚えていない)にプロの審判員がゲストとして呼ばれた。

その審判に質問したのが作家の故・遠藤周作氏だったことは明瞭に記憶している。

何処の塁でも同様だが、特に一塁塁審は、一塁手の捕球と、打者の着塁のごく僅かな差を判断しなければならない。遠藤さんが訊いた。

「捕球と着塁が同時のとき、判定はアウトですか、セーフですか?」

その審判は、きっぱりと答えた。

「『同時』ということは、無い、と思います」

私は子供心に「これぞ、『プロ』だ」と感動した。


◆選手も観客も審判員の世話になっているのに、労をねぎらわない。

これほどの「名人芸」をいつも披露しているが、審判員を褒め称える者は全くいない。

そのくせ、「誤審ではないか?」というときは、聴くに堪えない罵詈雑言が選手や満場の観客から飛んでくる。

審判員はそれに動揺していては務まらない。すぐに気持ちを鎮めて、次の判定に備える。

ものすごい精神力であるが、同時にものすごいストレスを抱えていることは想像に難くない。



記事2と記事3に載せたが、丁度2週間前に、セ・リーグの渡真利 克則(とまり・かつのり)審判員が試合中に倒れた

渡真利さんは、幸い大事に至らず、すぐに退院したが、暫く自宅静養すると書いてある。


◆亡くなった上本孝一さんも渡真利さんも心臓だった。

記事をよく読めば分かるが、二人とも大変高齢なわけではない。

同じ43歳で、心臓が原因で上本さんはなくなられ、渡真利さんは試合中に倒れた。



医者に訊かなくても、極度のストレスと無関係ではなかったことは、容易に推察出来る。

審判員は選手と同様に一年契約だ。

渡真利さんも休みが長引くとファームに落ちるかも知れないので、いてもたってもいられない心境かも知れないが、ここはゆっくり休んでいただきたい。


◆岡田は渡真利審判員とかつて同僚だったのに、体調を心配する様子が全くなかった。

4月21日の阪神-巨人戦では、渡真利球審が倒れたので、三塁塁審の井野審判が急遽球審になった。

ところが、井野審判のボール判定で負けたということに、岡田監督は激怒した。

勝負に拘るのは当然としても、倒れた渡真利球審はかつて、阪神の選手で岡田監督の同僚だった人だ。

セリーグ全審判員がここに経歴も含めて載っているので、見れば分かる。

岡田にはその渡真利さんの体調を気遣う言葉が全くなかった。

試合中に球審が心臓に異変を生じて、立っておられず、キャッチャーに覆い被さるように倒れたのだ。大変なことだ。生命の問題である。

野球の世界に限らず、こう言うときには、まず、病人を気遣うのが常識なのだ。

岡田は、「勝負より大切なことが世の中にはある」、ということすら、分からない。

新聞(と言ってもスポーツ新聞だがね)もそれを咎めない。

どいつもこいつも、バカだ。


◆「お陰様」という言葉

世の中には華やかなスポットライトを浴びて、晴れがましい思いを味わえる人がいる。

しかし、彼らがそうしていられるのは、光の陰で「オモテ」を支えているのに、世間には全く知られず、或いは何のねぎらいも受けない人がその何倍、何十倍もいるからだ。

だから、日本人はそういう「陰」の人々に「様」を付けて「お陰様で」という言葉で感謝の気持ちを表すのだ。

この気持ちを忘れた者は、「オモテ」にいる資格がない、と私は思う。

上本孝一審判員のご冥福を祈る。


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