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JIROの独断的日記
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2005年09月04日(日) 世論調査による、世論誘導。 過去の世論調査と実際の得票率。他

◆コメント:全国紙が投票日1週間前に同時に世論調査結果を掲載、しかも、全て「自民過半数確保」。

 

 全国紙(朝日、読売、毎日、日経)は本日付朝刊トップに、いずれも世論調査結果を掲載している。

 そして、申し合わせたように、「自民、単独過半数の勢い」というたぐいの見出しを付けている。まあ、見てくださいよ。


◆記事1:自民、単独過半数の勢い 衆院選情勢全国調査       (共同通信)

  

 http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2005090401000063

 共同通信社は第44回衆院選について1−3日の3日間、全国の有権者約15万3600人を対象に電話世論調査を実施、取材を加味した上で現時点での情勢を探った。

 300小選挙区、全国11ブロックの比例代表(定数180)ともに自民党が優勢で、同党は単独で過半数の241議席を確保する勢い。
 公明党も堅調で解散時勢力の34議席を維持する可能性が高い。
 これに対し、民主党は比例代表や東京など大都市部の小選挙区で振るわず、解散時勢力の175議席を下回る公算が大きい。
 「郵政民営化への賛否」を争点化させた小泉純一郎首相の戦術が功を奏している格好だ。

  郵政民営化法案に反対した前議員らが結成した2新党は苦戦を強いられている。

 ただ、大都市部以外では民主党が健闘している小選挙区もある上、35・9%の人が投票態度を「決めていない」と回答しており、今後情勢が大きく変化する可能性もある。(了)


◆記事2:自民優勢、過半数の勢い 与党安定多数も 本社情勢調査     (朝日新聞)

 

 http://www.asahi.com/politics/update/0904/002.html

 朝日新聞社は総選挙公示翌日の8月31日から9月3日にかけて、全国の有権者を対象に電話調査を実施し、全国取材網の情報も加えて選挙戦序盤の情勢を探った。

その結果、

(1)自民は優勢で単独過半数(241議席)の勢い

(2)公明は公示前より議席を減らす見通し

(3)民主は後退し、170議席を大きく割り込む可能性がある

(4)共産、社民はともに1ケタの議席にとどまる見込み――などの情勢が分かった。連立与党は安定多数(252議席)を確保する見通しだ。[2005年09月04日03時18分]


◆記事3:自公、過半数超す勢い…読売調査                   (読売新聞)

 

 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050904it01.htm

 読売新聞社は、11日投票の第44回衆院選を前に、8月31日から9月3日までの4日間、全国の有権者約15万5000人を対象に世論調査を行い、全国総支局などの取材を加味して終盤の選挙情勢を探った。

 与党の自民、公明両党の合計獲得議席は241の過半数を超す勢いだ。特に、郵政民営化実現を訴えた自民党は、全国的に支持を広げており、単独過半数に迫っている。

 民主党は、強みを見せてきた都市部で伸び悩んでいる。郵政民営化反対を掲げる無所属候補らも苦戦している。

 ただ、小選挙区選では3割、比例選で2割が投票する候補者や政党を挙げておらず、情勢は残り1週間で変わる可能性がある。


◆記事4:衆院選世論調査:自民党、単独過半数の勢い 中盤情勢     (毎日新聞)

 

 http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050904k0000m010141000c.html

 毎日新聞は、11日に投票を迎える第44回衆院選について1日から3日にかけて、特別世論調査(電話)を実施するとともに全国の取材網を通じて中盤情勢を探った。

 自民党は前回の03年衆院選で苦戦した東京や埼玉など首都圏で大きく巻き返し、単独過半数(241議席以上)を確保する勢いだ。

 逆に民主党は地盤にしてきた都市部で振るわず、公示前議席を割り込みそうだ。

 郵政民営化反対派の無所属や新党も苦戦が目立つ。

 ただ、投票態度を明らかにしなかった人が小選挙区で約3割、比例代表で約2割いることから、終盤で情勢が変わる可能性もある。


◆記事5:(9/4)与党が安定多数の勢い、民主は苦戦・本社調査        (日経)

 

 http://www.nikkei.co.jp/senkyo/200509/elecnews/20050903d1e0300g03.html

 日本経済新聞社は11日に投票日を迎える第44回衆院選を前に全国世論調査を実施し、情勢を探った。

 全480議席のうち自民は小選挙区で強みを発揮し、比例代表を合わせて単独過半数をうかがっている。

 公明も堅調で、与党で安定多数の252議席を超える勢いだ。

 民主は苦戦する選挙区が目立ち、選挙前勢力の177議席の確保は微妙な状況だ。


◆コメント:全国紙は与党の御用新聞か?

 

 毎回、選挙となると、投票日のちょうど一週間前に、全国紙が申し合わせたように、最新世論調査結果を発表し、多くの場合、「与党優勢」と書く。

 今回の世論調査が行われた時期も、ほぼ各社同じで8月31日〜9月3日である。つまり、先週の水曜日から土曜日(昨日)である。

 水曜日〜金曜日の昼間に、一般家庭に電話したところで、答えられるのは、主婦か学生か、お年寄りであろう。

 サラリーマンには、殆ど聴けていないはずだ。土曜日に休みのサラリーマンもいるが、全体としては前サンプル数における、サラリーマンの比率はさほど高くない、と容易に推察できる。

 郵政民営化とは何か。年金改革とは何か。自民党はサラリーマン増税を直前になって引っ込めたが信用できるか。任期が後1年しかない総理大臣が4年間の政策について公約を述べるのは、無責任ではないか。

 こうしたことについて、明確な概念を持った上で、世論調査に回答した人が果たしてどれぐらいいるか。

 また、何故、複数の新聞社が同時に世論調査を行い、投票日一週間前の今日、同時に1面トップに載せ、同じコメント「自民、単独過半数」と書くのか?偶然とは思えない。世論操作の意図が窺える。


◆記事2:<衆院選>元レバノン大使の天木氏、首相地元から出馬

 

 03年3月のイラク戦争開戦を支持した日本政府を批判し外務省を退職した元レバノン大使、天木直人氏(58)が、30日公示の衆院選に小泉純一郎首相の地元、神奈川11区(横須賀、三浦市)で無所属での出馬を決めた。

 26日に表明予定で、天木氏は「会見して決意を明らかにしたい」と話している。

 郵政民営化を争点にしたい首相に、イラク戦争での責任を追及する構えだ。

 天木氏は69年外務省に入省。01年にレバノン大使に就任した。開戦前後に2回、川口順子外相(当時)あてに「戦争回避のため最後まで外交努力をすべきだ」などと訴えた公電を打電、全在外公館にも転送した。

 その後外務省から勇退を求められ、03年8月退職した。同省は「意見具申と退職は無関係」としている。

 天木氏は退職後、外交評論家として自衛隊派遣など米国寄りの外交政策を批判する講演活動や執筆活動などを続けている。「さらば小泉純一郎!」などの著書もある。

 同選挙区には民主党の斎藤勁(つよし)参院議員(60)、共産党の瀬戸和弘氏(53)が出馬を表明している。(毎日新聞) - 8月25日15時6分更新


◆コメント;全国紙が一斉に無視している事実。小泉さんの選挙区で立候補した、元外交官の天木氏。

 

 今回は、郵政法案に反対した自民党候補に対して小泉首相が放った「刺客」が選挙戦前半の話題となった。

 しかし、最もセンセーショナルな刺客といえば、小泉首相の選挙区に自ら対抗して立候補した天木直人氏であろう

 天木直人氏は、元レバノン駐在の日本大使であり、イラク戦争開戦前に、小泉首相に対して、米国を支持しないよう直接電報を打って、その後外務省に呼び戻されてクビにされた人だ。

 天木氏の著書、 さらば外務省や、さらば小泉純一郎!等を読まれるが良い。政財界の腐敗ぶりに気が遠くなりそうだ。

 天木氏は、しばらくココログで、「マスメディアの裏を読む」というブログを綴っていたが、今は、止めている。

 それを本にしたのがウラ読みニッポン―新聞ではわからないことがわかる本である。

 最後の本についてのカスタマーレビューには、「批判に感情がこもりすぎている」と書いている人がいるが、私にはそう思えない。

 正しいことを主張してクビになって何の感情も湧かなかったら、人間としてはむしろ異常だろう。

 ブログで「マスメディアの裏を読む」を書いていた頃から、氏の文章は、しばしば感情にあふれていたが、それは決して不合理なものではなく、正義感に由来する怒り、これを日本語で、「義憤」というが、正に、義憤に満ちていたのであり、異常なものとは言えない。

 たとえ、「義憤」に駆られて書いたような場合でも、氏の文章から論理性が損なわれていることは無かった。

 それどころか、一般紙で報道される普通の情報、オープン・インフォメーション(誰でも入手できる公開された情報)から、ここまで、事実を読み取れるものか、と、毎回感心して読んでいたのを覚えている。

 今回、天木氏が小泉純一郎の選挙区に立候補したことを、「感情的になりやすい外交官が、イラク戦争反対を総理大臣に直訴して、外務省をクビになった恨みからくる嫌がらせ」としか考えないのは、あまりにも表層的である。

 それは、天木直人氏のホームページをご覧になればわかるだろう。

 というわけで、天木氏が小泉首相の地元から立候補を決めたという事実は、非常に注目されるべきニュースだと思うのだが、各紙は記事2のように、ベタ記事でなるべく目立たないように、小さく取り上げただけで、後は黙殺した。だらしがない。

 ホリエモンなど取材する暇があったら、天木さんの主張を取材するべきだったと思う。


◆参考資料:過去2回の世論調査と、選挙における得票率の比較。

 マスコミ全社と比較したい所だが、そこまで調べられなかったが、NHKの世論調査と実際の選挙における得票率は、以下の通り。

・2003年11月衆議院議員選挙

 (NHKの世論調査)


  • 2003年 8月   NHK世論調査   自民31%  民主06%(小泉内閣支持率53%)

  • 2003年 9月   NHK世論調査  自民32%  民主09%(小泉内閣支持率61%)

  • 2003年 10月  NHK世論調査   自民36%  民主10%(小泉内閣支持率62%)


 (選挙結果)

2003年衆院選   得票率       自民 35%    民主37%



・2004年7月参議院議員選挙

 (NHKの世論調査)


  • 2004年 4月  NHK世論調査  自民34%  民主11%(小泉内閣支持率53%)

  • 2004年 5月  NHK世論調査  自民34%  民主10%(小泉内閣支持率53%)

  • 2004年 6月  NHK世論調査  自民34%  民主12%(小泉内閣支持率54%)


 (選挙結果)

2004年7月参院選  得票率      自民30%     民主38%

 つまり、全国紙の直前世論調査といえども、存外当てにならない、ということだ。要するに浮動票が読めないのである。


◆参考資料2:インターネット世論調査結果は全国紙のそれと全く異なる。

 

 既にご存じの方も多いだろうが選挙情報専門サイト「ELECTION」というWebサイトがあり、やはり世論調査を実施している。

 最新の結果は第44回世論調査というところに載っているから、ご覧になることをお奨めする。

 どういう団体が運営しているのかと思ったが、政府広報オンラインが、わざわざ現政権に不利な情報が載るのにリンクを認めているぐらいだから、そうデタラメではないはずである。

 ここに掲載してある事が事実だとすると、調査のサンプル数は全国紙には遠く及ばないが、40代から60代の男性の比率が高い。

 彼らは社会の主軸となって働いている人々だから、大新聞の世論調査よりも、「民意」を正しく反映している可能性が高い。


◆結論

 

 要するに、世論調査は「他人の過去のある時点における選択」を数値化した、というだけのものである。

 そこで多数を占める意見が、必ずしも「正しい」とは言えない。

 選挙における投票行動は各有権者が、情報を収集して、自らの能力の限りをつくして分析判断して、自由意思に基づき、自ら決定すべきである。

 蛇足ながら付け加えるが、国家は新聞を使って世論を誘導しようとするべきではない。


2004年09月04日(土) 「ロシア学校占拠、制圧 死者322人・病院搬送704人 」 ロシア大使館にメールを送った。
2003年09月04日(木) 食わず嫌い、物はためし・・・今日はブルックナーの誕生日。
2002年09月04日(水) アメリカの馬鹿

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