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JIROの独断的日記
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2005年07月15日(金) 「台湾海峡紛争に介入なら核使用も=中国軍当局者、米国に警告−英紙」英字紙の引用は正確に行うべし。

◆記事1(時事通信社):台湾海峡紛争に介入なら核使用も=中国軍当局者、米国に警告−英紙

 

 15日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)によると、中国人民解放軍国防大学の朱成虎教授(少将)は外国人記者との会見で、台湾海峡での武力紛争に米国が介入し、中国を攻撃するなら、中国は対米核攻撃に踏み切る用意があると警告した。

 同教授は「もし米軍が中国領土の標的に対してミサイルや精密誘導弾を発射すれば、われわれは核兵器で対抗しなければならないだろう」と語った。この「領土」には中国の艦船や航空機も含まれるという。 (時事通信) - 7月15日11時1分更新


◆記事2:FT原文から私が訳したもの。

 

 中国、軍高官が米国に対する攻撃の可能性を警告。

 中国人民解放軍の高官は、中国は、中国と台湾の間に武力紛争が生じたときに、もしも、米国が中国(中華人民共和国)領域内の目標を狙って攻撃することがあれば、中国は米国に対して核兵器を使用する用意がある、と14日、述べた。

 これは、中国国立防衛大学教授、朱成虎(Gen Zhu)氏の、4人の外国人ジャーナリストとの会合--それは、いくらか中国政府により意図的にセッティングされた席だったが--における発言であった。

 同教授はまた、中国政府の認識では、「中国の領域」には、軍艦や、航空機も含まれる、と述べた。

 朱成虎教授は自ら「タカ派」を以て任じており、以前から、中国の軍事力をもってすれば、長距離ミサイルで米国本土を攻撃することすら可能である、などと、威嚇的発言が目立つ人物である。

 しかしながら、米国の中国問題専門家は、朱氏の思想・発言は、中国人民解放軍の主流派のそれを代表するものではない、と、注意を促している。

 朱成虎教授の発言は、米国防総省が来週月曜日に発表する予定の「中国の軍事力に関するアニュアル・レポート」を意識して牽制をかけたものと思われる。

 米国の今年のレポートの内容は昨年よりも強硬路線に傾いているものと予想される。ペンタゴン(国防総省)もまた、議会に反中国感情を植え付けたいのである。

 また、ここ数ヶ月、米政府首脳の一部(ラムズフェルド国防長官を含む)は、確かに中国が軍事的に台頭しようとする気配に懸念を抱いている。

 それでも、木曜日の「核攻撃」発言は、「仮定上の話だ。」と本気にしていない。



 米国中枢部に近い、中国軍事問題に関する専門家、リック・フィッシャーは、「1964年以来、中国共産党の基本綱領では、『核先制攻撃は避ける』ことが大前提とされてきた。朱成虎氏は台湾有事における中国の核先制攻撃の可能性を示唆した初めての要人であることは確かだ」と言っている。

 朱成虎氏は、最後に、彼の意見は中国政府の公式見解ではなく、彼自身、中国と米国との武力衝突が起きる可能性は低いと考えている、と断った。


◆コメント:センセーショナリズムに走らないこと。一部分だけ訳さないこと。

 

 この中国要人発言を取り上げた日本のメディアは、私がざっと見たところ、記事1で引用した時事通信の他、ロイター・ジャパン。朝日新聞などであるが、いずれも今日付のFinancial Timesアジア版の記事を訳しているだけである。

 訳すのは良いのだが、こういう引用の仕方は良くない。物議を醸すような部分だけを載せているからだ。



 一般人がネットのBBSで揉め事になったりする場合も、大抵これである。

 つまり、相手の発言の全部を読み、相手の「本当に言わんとするところ」を理解しようとせず、故意に無視して、自分が相手を「攻撃」するのに都合がよいような部分だけを強調、或いは誇大化して引用する。

 相手がちょっと言い過ぎた(会話になぞらえれば、「舌が滑った」という所でしょうか)り、普段冷静な人がちょっと感情的に刺激的なことをかいたりすると、鬼の首を取ったように得意になって揚げ足を取って喜んでいる。というケースを何回も目にした。

 ネットのBBSはどうと言うこともないけれども、日中関係が悪化し、両国民が互いに他に対するマイナスの感情を募らせているときに、FTの記事の一部だけを取り上げて、「核戦争といったぞ!」と大衆を扇情するべきではない。

 私が訳したのを読んで下さいよ。最後に朱成虎教授自身、ま、そういうことには、まずならないと思いますがね、と言う調子の発言をしている

 それならば、FTにも、こんな記事を載せる価値があったのか?と問いただしたくなる。


 ◆米国国防総省のアニュアル・レポート(アニュアル=年刊)が発表されるので、その前にちょっと国際社会の関心を惹きつけよう、という程度のことだ。

  

 だから、この手の記事はマスコミなどは無視して欲しい。FTの記事だからといって何でも有り難がって載せるべきではない。

 こういう記事を載せるから、また世論は、「中国は、日本を『軍国主義的だ』と非難する資格があるのか!」などと、騒ぎ出す。

 大人なんだから、感情だけで行動してはいけないですね。

 日本にとって中国は、貿易の相手国として大事なのだから、絶交するわけにはいかないのです。

 日本は貿易をしないで、鎖国しては生きていけないのですからね。

 そしてそれは、中国も同じだ。

 日本と中国が国交断絶したら、、どちらも、最大のお客を失うことになる。

 中国共産党幹部は命の危険に晒されますよ。中国人は「金儲けのチャンスを失った」ときの怒り方がすごいからね。

 両国の政府首脳とマスコミと、国民はもう少し大人の行動を取って下さい。


2004年07月15日(木) 「逆風の中、よく頑張った」(小泉首相)←久々に笑ったよ。ありがとう。
2003年07月15日(火) 「嫌な事があったら、何か人に親切なことをしなさい」(小学校の担任の先生)

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