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JIROの独断的日記
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2005年05月20日(金) にんげんドキュメント 「N響チューバ奏者38年ぶり交代の舞台裏・若き挑戦者」 ←涙が出てしまった。再放送25日深夜

◆テレビ番組:NHK今晩23時。にんげんドキュメント 「N響チューバ奏者38年ぶり交代の舞台裏・若き挑戦者」

 

 にんげんドキュメント◇80年近い歴史を持つNHK交響楽団の一員になろうと夢見るチューバ奏者の池田幸広さんにスポットを当てる。昨年4月、池田さんは37年ぶりに行われたN響のチューバ部門のオーディションを突破し、仮入団を許された。正式入団を果たすには1年間の試用期間を経て、全楽団員の3分の2以上の支持を集めなければならない。大阪での仕事を辞め、家族とともに東京に引っ越してきた池田さんの収入は半減した。彼の挑戦の陰には、ベテラン奏者の多戸幾久三さんの引退があった。38年にわたってチューバ奏者を務めてきた多戸さんは、池田さんにそのすべてを伝えようとしている。(Yahoo!のテレビ番組紹介ページより引用)


◆コメント:オーケストラ・プレイヤーになる、ということ。(放送前執筆分)

 

 私も当然のことながら、まだ見ていないから、この番組が面白いかどうか分からないが、書かずにはいられなかった。

 自分が興味の有ることが、他人にとって興味が有るとは限らないことなどは、百も承知である。

 しかしながら、世の中の人々に「本当の」音楽家になるということが、如何に大変であるか、を知って頂きたくて(それが、「大きなお世話」で有ることも分かっている)、この文章を書いている。

 今日のような番組は恐らく、もう、一生、見られない。

 テューバ奏者のオーケストラ・オーディションから、試用期間(これが精神的に厳しいのだ。オーディションに受かっても、1年後に「やっぱり、君は、うちのオーケストラに要らない、と言われたら、その場で失業なのだ)を経て正式採用のドキュメンタリーなんて。

 今日も、NHK職員の不祥事が報道されたが、こういうのは、やはり、NHKしか放送できない(視聴率を考えたら、民放では絶対に企画段階でつぶされるだろう)。



 クラシックの音楽家は音楽大学または、その付属高校に入学するときに実技試験(その他に、ピアノ、聴音、ソルフェージュ、学科)を受け、受かったら、毎年実技試験を何度も受け、卒業試験を受け(卒業演奏で失敗したら、卒業できない)、それに合格しても、一般の職業に比べれば、雇用機会はゼロに等しい。

 管楽器奏者は、日本のどこかのオーケストラで欠員が生じなければ、新しい団員を募集しない。

 滅多にないから、オーディションがある、といえば、日本中から音楽家が殺到する。

 フルートやオーボエ、クラリネットだって、滅多にチャンスがないのだ。つまり、オーディションが無いのだ。

 ましてや、テューバ。

 テューバという金管楽器の最低音部を受け持つ楽器は、オーケストラのコンサートでは、ステージに出ることの方が少ない。

 モーツァルト、ベートーベンでは使われない。

 ワーグナー、ブルックナー、マーラーなど後期ロマン派の大編成の曲にのみ使われる。

 非常に例外的に、ベルリオーズの「幻想交響曲」では、二本のテューバが使われる。

 ドボルザークの新世界に出番があることはあるが、第2楽章で最初の4小節と終わりの4小節に音を出すだけなのだ。



 そんな「脇役」なら、別に上手くなくても良いか?

 とんでもない話である。低音を英語でベースという。ベースには「基礎」「土台」という意味もある。

 そう。低音は音楽の「土台」なのだ。

 「ド・ミ・ソ・ド」という和音は、一番低い「ド」を聴いて、その上に積み上げる。

 低音部の責任は、想像以上に重い。

 だから、テューバの出番が少ないからと言って、これを軽視するようなオーケストラは、それがプロのオーケストラであるらば、あり得ない。

 と言うわけで、見ていない番組だけど、終わってからでは遅いので、書いた。

 文章を推敲している暇がない。今日はこれにて、アップします。

 乱文、ご容赦のほど。


◆番組視聴後追記:全楽団員満場一致による、正式採用

 

 池田さんは、すごい。

 N響で、1年間試用期間後、全ての楽員による投票で、正式採用になるか否かが決まる。

 結果は、全員一致による「合格」だった。

 N響で全員一致なんて、聴いたことがない。

 見ていて、涙が出た。

 N響の正式団員になるまでの、池田さんの研鑽。

 38年間N響の低音を支え続けた、多戸幾久三さんのテューバの響き(一体、私は何十回聴いただろう・・・)

 芸術の厳しさ・・・。色々な思いが私の中で交錯した。

 胸がいっぱいになった。


◆【追記】再放送予定判明。
 

NHKの「にんげんドキュメント」のサイトに再放送予定が載っている。

  チューバ 一吹きにかける〜38年ぶりの奏者交代〜

  総合テレビ:5月26日(木)午前1時05分〜(25日・水曜深夜)

  とのこと。興味をお持ちになった方は是非ご覧になることをお奨めします(深夜ですから、録画なさる方が多いでしょうが)。


2004年05月20日(木) やんごとなき人々のご苦労。昭和天皇、美智子さま。
2003年05月20日(火) 「校長が「ドはどくろのド」 授業で替え歌、注意処分」公立小中学校の教師のレベルは確実に低下している。

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