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JIROの独断的日記
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2005年04月26日(火) 「鉄道事故」は無論悲惨だが、航空業界も心配だ。正確な日本人の仕事はどうした。英語Blog開設。

◆「運転士」

 

 読んだ人、覚えている人は少ないかも知れないが、平成4年上半期の芥川賞の受賞作品は藤原智美氏の「運転士」という小説だった。

 主人公は地下鉄の運転士である。半ば、運転士の現実を描き、その中に幻想的な場面を組み込んだ独特の作風である。

 ストーリーはあらかた忘れてしまったのだが、一つ非常に印象に残っていたのは、主人公の「運転士」が毎日、理想的な停止(駅に停止すること)を求めてブレーキングの感触を懸命に探ることである。

 彼にとって理想的なのは、「いつ止まったのか、乗客が気がつかないような停止」である。つまり、如何にして乗客に負の加速度を感じさせないようにするか、ということをひたすら追求するのであった。

 それは、小説という架空の出来事の上でも、思わず感動してしまうほどの、「自分の仕事を極める」人間の姿であった。

 当時、芥川賞の選考委員の一人であった、故・吉行淳之介氏が、選評の中で「彼(運転士)はこの仕事が好きなのだ」と非常に確信して書いていたのが、また、印象的であった。

 話が本論から逸れるが、これは、小説家が作り出した架空の人間が生命感、実在感がある証拠で、優れた作品の条件の一つといえよう。


◆こういう、「道」の追求が段々おろそかになりつつあるのかも知れない。

 

 日本人は、茶道や華道、書道。剣道、柔道、と何でも「道」にするのが好きである。

 こういうコンテクストで使われる「道」に相当する欧米語は存在しない。だから、柔道はそのまま「Judo」なのである。

 「道」は堅苦しさは否定できないが、何かを極める、という日本人の精緻な精神活動の表れであった。

 いかなる職業でも、それに従事する人々の中に、それなりの「道」を極めようとする人がいた。先に書いた「運転士」も同様である。



 それが、最近の日本人には欠けて来たのではないかと思う。

 至る所で、以前ならば考えられないような、ケアレスミスが多い。要するに「たるんでいる」という印象をぬぐい去ることが出来ない。


◆特に航空機が危ない気がする。

 

 何しろ、特にここ数ヶ月、日本航空を初めとして、幸い大事故にならないで済んでいるものの、小事故が異常に多い。

 次のとおりである。


  • 新千歳空港で1月、管制官の許可が出る前に日航機が離陸滑走を始め、管制官の指示で停止し離陸をやり直すトラブルがあったことが3月1日、分かった。日航はこのトラブルを国土交通省に約1カ月報告せず、同省は日航に厳重注意した。
  • 3月2日午後7時ごろ、青森空港で、札幌行きの日航2808便MD81(乗客乗員46人)が誘導路を走行中、除雪した雪だまりに右翼先端をぶつけライトを破損した。乗客らにけがはなかったが、同機は欠航した。
  • 3月3日 羽田空港で3月3日に、女満別から到着した日航1184便エアバスA300(乗客乗員150人)が、管制官から指示された誘導路を通り過ぎるトラブルがあったことが4日、分かった。 日航は「管制指示違反に当たる可能性がある」として国土交通省に報告したが、同省は「報告義務が生じる状況ではなかった」としている。
  • 3月11日 韓国・ソウル近郊の仁川空港で3月11日、日航機が管制官の意図に反して滑走路に入り、この滑走路に向け降下中だった韓国機を管制官が回避させていたことが12日、分かった。日航が同日、国土交通省に報告した。
  • 3月16日 羽田発札幌行きの日航機が16日、緊急時に作動する脱出用スライドのスイッチの切り替えをせずに運航していたことが17日、分かった。客室乗務員の確認ミスとみられ、日航は国土交通省に報告した。
  • 3月22日午前9時すぎ、広島発羽田行き日航1600便エアバス300−600(乗客乗員136人)の機長から「操縦室内で煙のにおいがする」と羽田の管制塔に連絡があった。 同機は午前9時半、羽田空港に緊急着陸したが、機体に異常はなく、けが人もいなかった。日航などがにおいの原因などを調べている。 羽田空港には緊急着陸に備え、消防車が待機した。
  • 3月22日 福島空港でJAL機尻もち 滑走路灯破損
  • 3月22日午後8時40分ごろ、オーストラリアのブリスベーン発成田行き日航762便のジャンボ機が、成田空港に到着後の機体点検でエンジン付近のパネルの一部が脱落していることが分かった。
  • 3月27日午前8時すぎ、ジャカルタから成田空港に到着した日航726便ボーイング777の左翼からゴム製部品が脱落しているのを整備士が発見した。空港は2本の滑走路のうち1本を午前8時16分から7分間閉鎖して調べたが、部品は見つからなかった。発着便に影響はなかった。
  • 3月30日午前1時15分ごろ羽田空港で、けん引車で誘導路を移動中の日航ジャンボ機の左翼が、空港外周のフェンス監視用カメラの支柱に接触し損傷した。ジャンボ機には誰も乗っておらず、けん引車の作業員2人にもけがはなかった。
  • 4月5日 日航機の部品の一部が欠損 全日空機も部品脱落
  • 4月7日 高松空港に7日夜到着した羽田発の日航1411便エアバスA300で、エンジン付属部品のボルト1本が脱落しているのを整備士が発見した。羽田、高松両空港で8日朝、滑走路を点検したが見つからなかった。
  • 4月12日 日航は12日、社内規定で資格を満たしていない副操縦士が、計3便で離着陸をしたことを明らかにした。 日航によると、6カ月以上の経験がない副操縦士は、教官資格がない機長と乗務した場合、離着陸時に操縦することが禁じられている。この副操縦士は発令後5カ月余りで資格外だった。
  • 4月14日 成田空港に14日午後、到着したホノルル発の日航73便ジャンボ機の翼にある部品の一部が欠けていたことが、到着後の機体点検で分かった。
  • 4月17日 17日午後6時ごろ、成田発香港行き日航735便DC10(乗客乗員約200人)が離陸のため誘導路を移動中、操縦装置などを動かす油圧系統の一つが異常を示した。 同機は駐機場に引き返し、点検のため滑走路が約8分間閉鎖された。乗客は代替機に乗り換えて、約3時間遅れで出発した。
  • 4月22日 全日空便が無許可滑走 機長、管制指示を「失念」 小松空港


◆あまりにも多くありませんか?

 

航空専門家ではないから、各々のケースの重大性がどれぐらいのものであるか、判断しかねるが、航空管制官の許可を待たずに離陸してしまった、などというのは、明らかに重大事であるし、部品の脱落にしても、航行の安全に支障を来さない程度のものであったから、無事に着陸できたのだろうが、同様の出来事が機体の離着陸・飛行に致命的な危険を及ぼす部品に及ばないという保証はない。いずれにせよ、整備不良を疑わざるを得ない。

 要するに、管制官も、パイロットも、整備士も、運転士も、道を極めるというと厳しけれども要するにかつての日本人よりたるんできているのだとしたら、問題だ。

 何故そういうことが起きるのかは、大がかりな調査が必要であるが、私が極めて簡単な仮説を立てるとすれば、「寝不足」である。

 日本人の睡眠時間が10年前、20年前に比べて短くなっているのは、色々な調査で明らかである。テレビは1週間24時間放送している。

 朝のニュースは4時台に始まる。昔は、NHKの一番早いニュースは6時から20分間。その後は7時まで「明るい農村」という番組を全国ネットで放送していたのである。

 そして、何と言っても寝不足の最大の元凶はインターネットだろう。ネットは夜が盛況で、寝不足のまま働いている人が多いことが容易に伺える。

 と、調子に乗って書いてみたが、日航の不祥事が今年になって急に増えたのは、単に隠しきれなくなったのか、それとも本当に今年になってからの特殊要因があったのか、分からぬ。

 1985年8月12日の123便以来、日本の飛行機は、20年間墜落していない。それだけに、恐ろしい。


◆お知らせ:英語のblog始めました。

 

 先週1週間、中国に関する海外メディアの中で、日本に理解を示してくれるものを翻訳してきましたが、アメリカ人やイギリス人にとって、日本などは文字通り"Far East"=極東であり、地の果ての出来事。一般人は関心がない。

 ごく一部のアジア専門家などが、事情を承知しているだけです。

 日本政府は、中国だって歴史を歪曲しているではないかという、ネガティブキャンペーンを張っても良いような気がしますが、あまりやる気を見せない。

 海外に住んでおられる邦人が、うっかり中国人や、欧米人を批判すると危険かも知れない。

 それでは、というわけで、私は、及ばずながら、どれぐらいの頻度で、どれぐらい長く続けられるか分からないし、英語もヘタクソですが、

 書かないよりは、書いた方が良いだろうと思い、JIRO's words from Tokyoという、英語のblogを開設してみました。

 まだ、どうなるか分かりません。試しに、という感覚なのです。

 今日は、日本人ばかり謝るのはおかしい。胡錦濤は、日本に「謝罪は行動が伴わなければ」と言ったが、日本が中国に3兆円も援助したのは忘れたか?と。

 それから、日本が謝罪するなら、中国はチベット人や、ベトナム人に謝罪すべきだ。

 アメリカ人は、原爆を2発も日本に投下して、24万人もの非戦闘員を殺すという、国際法上許されないことをしたが、何故謝らないのだ?と書いておきました。

 反応が有るかどうか分かりませんけどね。一応お知らせしておきます。


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