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JIROの独断的日記
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2005年03月23日(水) フジテレビvsライブドアに関する東京高裁の決定は、やんわりとライブドアにも警鐘を鳴らしています。

◆要点:東京高裁の決定要旨はこういうことです。

 

 会社の経営支配権について、現実に争いが起こっていることは分かっているけれども、現時点では、ライブドアがニッポン放送の株を買い占めて株価をつり上げて、他社に売ろうとしているとか、そういう悪いたくらみを持っているということを、ニッポン放送が立証しているとは言えない。

そういう状態で、ただ、ニッポン放送の現在の経営陣や、それを支配している特定の株主(フジテレビ)の経営支配権を維持し、ライブドアが取得した株の価値を低下させるためだけに、新株予約権の発行をするのは、商法でいう「著しく不公正な方法」による新株予約権の発行に該当するから、やってはいけません。


◆但し、次のようなことをすると、ライブドアも保護に値する株主とは見なされなくなる。

 今は、ライブドアが、このようなことをしているという証拠は無いけれども、



  1. 本当にその会社(ニッポン放送)の経営に真面目に参加するつもりはないのに、株を大量に買い占めて株価をつり上げて、高値で売って儲けるだけが目的である場合。

  2. ニッポン放送の経営を一時的に支配して、ニッポン放送の事業経営上の知的財産権、ノウハウ、企業秘密情報、ニッポン放送の主要取引先や顧客を、みんなかっさらっていくのだけが目的のいわゆる「焦土化」経営、つまりニッポン放送の美味しいところだけをつまみ食いするのが目的で株式の買い占めを行ったと認められる場合。

  3. ニッポン放送を一時的に支配して、ニッポン放送の事業にとりあえず、関係していない資産、つまり、不動産や、有価証券、高額資産を売らせて、その売った金で、一時的に高配当をすると宣言して、そうすれば、株価は高騰するから、そこで、ライブドアが自分が持っているニッポン放送の株を高値で売って儲けることが、真の目的で有る場合。

 

 など。つまり、ライブドアが、ニッポン放送を食い物にしようとしている場合には、ライブドアは濫用目的で株式を取得した、「敵対的買収者」となり、株主として保護するにあたらない。

 こういうときは、ライブドアの行為により、他の株主の利益が損なわれることが明らかなので、ニッポン放送の取締役会は、支配権を維持するために新株予約権を発行するのは正当です。ただし、繰り返すけれども、今回はそのいずれにも該当しない。

と東京高裁の「決定」は書いているのです。


◆残念ながら、立証するのが難しいのです。

 

仮にライブドアが「濫用目的」でニッポン放送の株を買い占めたのだとしても(そして、そうなのではないか?と疑っている人は多いし、私もその一人だが)、そんな本音を漏らすわけが無いでしょう。

 だから、ニッポン放送側から、ライブドアが濫用目的で株を買い占めたのだ、ということを立証するのが、難しい。ここがアキレス腱でした。

今日、東京高裁の決定が出た後、堀江氏は記者会見で、この前までとはうってかわって、「自分は、放送では素人だから、(ニッポン放送の)教えを請いたい」などと殊勝なことを云って、随分低姿勢でした。

 ずっと、「会社は株主のもので、経営者や従業員の者ではない」と、言い切っていたのですから、今日の東京高裁の決定が影響して「すこし、下手に出ないとまずい」と考えたのかもしれません。急に態度が変わるのは怪しい。

西武鉄道の堤義明がつかまったのは、内部告発者がいたからです。

 もし、ライブドアの取締役の誰かが、西武鉄道の時と同じように、社長を快く思っていなければ、同じようなことが起きるかもしれません。

一昨日、テレビがライブドア本社に取材に行ったら、勿論、アポイントメント(会う約束)は取っておいたのに、1時間半も待たされ、取締役会では、堀江氏の怒鳴り声が聞こえてました。こういうワンマン社長は恨みを買いやすい。

しかも、ニッポン放送を買収するに当たって、リーマンブラザーズから随分カネを借りて、資金繰りが厳しい可能性が十分にあります。

  会社というのは、どんなに資産があっても、キャッシュ・フローが乱れて、資金繰りにちょっとでも間違いがあると、不渡りを出しておしまいなのです。資産がいくらあっても、流動性資金(すぐに使えるお金)は、絶えず、資金繰りを見て調節しなければならないのです。

資金繰りがつかなくなるというのは、人間で云えば心肺停止状態ですから。

無論、私はライブドアの資金繰りを実際に見ているわけでは、ありませんから、これは仮定上の話です。

 しかし、そういう可能性はどこの会社にもありますから、一般論として書いています。

と、云うわけで、これで、全てニッポン放送の負け、ライブドアの勝ち、と決めつけるのは、まだ早いと思われます。


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