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JIROの独断的日記
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2004年09月10日(金) 「4―6月実質GDP改定値、年率1.3%増に下方修正」 どうするの?竹中さん?

◆記事1:4―6月実質GDP改定値、年率1.3%増に下方修正(本日の記事。日経)

内閣府が10日発表した2004年4―6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.3%増となり、8月に発表した速報値(0.4%増)を下回った。年率換算では1.3%増と速報値(1.7%増)から下方修正。また、名目GDPの改定値は前期比0.5%減(速報値は0.3%減)、年率換算で2.1%減(同1.3%減)となった。


◆記事2:8月の銀行貸し出し、3.1%減=80カ月連続で前年割れ−日銀

 日銀が8日発表した8月の貸出・資金吸収動向(速報)によると、都市銀行や地方銀行の貸出金の月中平均残高は、前年同月比3.1%減の386兆6792億円だった。前年割れは80カ月連続。

 業態別では、都銀(信託銀などを含む)が4.9%減、地銀が0.9%減、第二地銀が0.4%減。銀行と信用金庫を合わせた貸出額は2.8%減となった。


◆コメント:どう見ても景気が回復しているとは言い難い。

 

8月16日に今年の4−6月期のGDP速報値がでました。そのときの数字が既に悪かったのです。

経済指標というのは最初に速報値が出て、その後、季節調整とか念入りに計算して、改定値を出す、という習慣になっていて、今日、今年のり4月から6月のGDP改定値が発表されました。

そうしたら、速報値の時よりも、もっと悪くなっていました。それでも「景気は回復している」と、今日の閣議後の記者会見で竹中さんはムキになって、言っていましたが、同意出来ません。


8月16日に詳しく書きましたが簡単に繰り返すと、竹中さんの理論というのは、「不況の原因は、銀行が不良債権が足かせになって、新規の貸出をしないことにある」と言うことです。このため、企業はカネを借りて、設備投資をして、生産を増やすことができない。それが不況の原因なのだ。生産が増えなければ、需要、つまりモノやサービスを買う人が増えない。という考え方なのです。


このような、「供給が増えれば需要が増えるのだ」という経済学の立場をサプライサイドエコノミックスというのですね。この正反対に位置するのがケインズ経済学というものです。ケインズは需要を増やさなくてはいけない、と考えました。不況の時は、だから、需要を増やすために、政府がどんどん資金を使って、公共事業をおこなったりするのが大切なのだ。という立場です。



◆ケインズ理論も欠点があるのですが、いま、サプライサイドの政策を日本で行っても効果が無いことは明らかです。

 

ケインズ理論でやると、需要が供給を上回る状態がつづくので、価格が上がり、インフレをもたらすという弊害があります。レーガン大統領の時のアメリカ経済がそれをやってしまいました。

 しかし、竹中さんの供給重視の理論はやはり間違っているといわざるをえないでしょう。結果が何よりも雄弁にそれを物語っている。

 銀行の不良債権は、ピーク時の半分以下に減っているのに、記事2に書かれているとおり、銀行貸出残高は、なんと80ヶ月(6年8ヶ月)の長期にわたって、減り続けています。

 つまり、不況の最中なので、いくら銀行が貸しますよと言ったって、企業が資金を必要としていないのです。国民も所得が減っているから、モノの値段が下がり続けていて、本来なら、買えるモノも買い控えている。そういうときに、年に4回も銀行に検査に行って、不良債権ばかりをチェックしていても効果は、期待できません。


 

竹中金融相は、GDPや銀行貸出残高、消費者物価を見ているはずですから、今の政策を続けていても駄目で、総需要を刺激する方向に転換しなければいけないという決断をして欲しいです。兎に角今のままでは、だめ。まだ、日本はデフレ不況にあり、政府はそれに対して適切な策を講じているとは言えません。


2003年09月10日(水) アメリカ人は全員、自国の歴史を正確に知る必要がある。

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