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JIROの独断的日記
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2004年03月30日(火) 「コミック本に貸与権を 首相に里中さんらが陳情」マンガ家の陳情はすぐに聞くのですね。

◆記事:コミック本に貸与権を 首相に里中さんらが陳情

漫画家の藤子不二雄☆さんや里中満智子さんらでつくる「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」が30日、首相官邸に小泉純一郎首相を訪ね、コミック本など出版物にも音楽CDなどと同様に著作権料を徴収できる「貸与権」を認める著作権法改正案の今国会での成立を求め、陳情書を提出した。

この日午前、同会の理事を務める藤子さん、里中さんのほか、弘兼憲史さん、ちばてつやさん、さいとう・たかをさんらが訪問。藤子さんが「貸与権を成立させてほしい」と要望。

小泉首相は「鉄腕アトムや少年ケニヤを楽しく読んでいた。(この問題は)知的財産の一環として非常に大事だ」と答え、理解を示した。

陳情書では、出版物に貸与権がない状態が続けば、コミック本の購入者は貸本へ流れ、販売市場が成立しなくなると危ぐ。今後、貸本店の急増が予測されるため、今国会で改正案を成立させるよう訴えている。☆=マルの中にA(共同通信)


◆コメント:貸与権とは、報酬請求権ではない、ということなのですが・・・。

これは、著作権とか、特許権とか、私が学生の頃は「無体財産権法」といっていた。今では、知的財産権法というらしいですね。ちなみに、私の大学の先生は無体財産権法を「むていざいさんけんほう」と読むのが正しいと言っていたけど、本当はどうなのか知りません。

いずれにせよ、法律でも憲法、民法、刑法、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法、といったメジャーな法律に比べると知的財産権法はマイナーな分野で、必修科目ではありません。私は選択科目でも採りませんでした。つまり、完全な素人なので、勉強しました。

貸与権とはなにか。簡単に定義を見つけられるだろうと思ったのですが、意外なことにオンライン版の世界大百科(ネットで百科というサービス)を引いても、同じくオンラインの「イミダス」を引いても、明確な定義が記されていない。本当に分かっている人が少ない証拠です。

いろいろと調べて、ようやく分かったのは、「貸与権は報酬請求権ではない」ということ。だとすると、冒頭の記事、「著作権料を徴収できる『貸与権』を認める著作権法改正案の今国会での成立を求め」という記述は正確ではないのです。

貸与権とは報酬請求権ではなく、「権利者が他者の貸与を禁止できる権利」なのだそうです。貸与権が適用されたら、レンタル業者は著作権者(漫画家)の許可を得る必要が生ずるだけで、著作権料が入るかどうかは、著作権者がそれを要求するか否かによるわけです。漫画家がすごく高い、著作権料をふっかけることも可能なのです。

今日、官邸に行ったマンガ家も首相も、そのことを知らないような気がしますね。


◆漫画家とか有名人の陳情はすぐに総理大臣に聞いてもらえて、いいね。

日本では、知的財産権という概念を一般人が意識することは殆ど無いので、そういう注意を喚起する意味では、今日の漫画家の先生たちの行動は有意義です。しかし、錚々たる顔ぶれですね。今日、首相を訪ねた漫画家の「先生」たちは。

小泉首相もこういう人たちがくるとすぐに会ってくれるのですね。ニコニコして。以前、自殺遺児(親が自殺したので、進学などに困っている子供たち)の代表が首相官邸を訪れたときのテレビ映像を、私ははっきり覚えています。小泉首相はろくに、子供たちの顔を見なかった。いかにも仕方なく「会ってやっている」という態度でした。

漫画家の知的財産権はどうでも良いとはいいませんけどね。既に、大金持ちですよね。センセーたちは。自殺遺児の方が困っている人達だとおもうんですけどね。

しかし、小泉さんからすれば、マンガ家に会っているところがテレビに映ると、大衆心理は首相に有利に働くのです。だからニコニコして会っているのですね。計算が働いている。そして、漫画家のセンセーたちも、誰がお膳立てしたのか知らないけれども、首相に会いたいといえば、会ってもらえることが分かっていたでしょう。こちらも、計算が働いている。

あまり、私は、このニュースに良い印象を抱きません。本当に困っている人を先に助けるのが、正しい政治ではないでしょうか。


2003年03月30日(日) 重症急性呼吸器症候群感染拡がる。 日本のマスコミは無関心すぎる

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