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JIROの独断的日記
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2004年03月05日(金) 「イラク戦争は違法 ブリクス前委員長」←違法な戦争を即座に支持した小泉氏の説明を求む。

◆記事:イラク戦争は違法 ブリクス前委員長 (共同通信)

5日付の英紙インディペンデントによると、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス前委員長は同紙とのインタビューで、イラク戦争は違法だったとの見解を表明した。
前委員長は、開戦3日前の昨年3月17日に開かれた英政府の臨時閣議でゴールドスミス法務長官が、1990年の湾岸危機の際の国連安全保障理事会決議を援用してイラク攻撃は合法であるとの「法的見解」を示したことについて、「その見解にはくみしない」と述べた。

その上で決議違反かどうかを決めるのは安保理であり、個々の国が決めるのは危険との見方を示した。
前委員長はこれまでにも、英米両国がイラクの大量破壊兵器の脅威を「でっちあげた」などと批判している。(共同通信)[3月5日10時46分更新]


◆解説&コメント:違法性を認識できなかった日本政府。

インディペンデントはイギリスの新聞であり、これは英国がイラク攻撃に参加したことの正当性に関する議論です。

アメリカは、主に「大量破壊兵器」の脅威をイラク戦争の正当化事由にしようとしていた(そして、結局、大量破壊兵器は見つからなかった。)のですが、イギリスでは、上に載せた記事にあるように、イラク戦争が始まる3日前の閣議で、1990年の湾岸危機の際の国連安全保障理事会決議を援用してイラク攻撃は合法であるとの『法的見解』を示した」がそれは間違いだ、とブリクス氏が述べているのです。

ブリクス氏とは誰かというと、国連国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)からイラク調査団の団長として、実際にイラクに行って、核兵器やその他の大量破壊兵器が無いか査察を担当した人物です。

核軍縮が実際に行われているかどうか、調べることを検証(verification)といいます。
検証には、人工衛星など外部からの手段による、自国の検証技術手段(NTM=Natiional Technical Terms)と、現地において検証する現地査察(Inspection)がある。ブリスク氏は後者のInspectionを行い、イラク戦争が始まる、少し前、昨年3月7日の国連安保理で、「不十分ではあるが、査察は進んでおり、更に数ヶ月を要する」と、報告した人物です。

ところが、イギリスは(アメリカもこの論理を用いていたと記憶しているけれども)イラクは国連安保理決議1441に違反しているから、武力を用いて制裁を加えてよいのだ、と主張したのです。

国連安保理決議1441というのは、2002年11月8日に全会一致で採択された決議であり、イラクの武装解除に関するもので、


  • イラクが大量破壊兵器を破棄しなければならないこと
  • そのための武器査察に全面的に協力しなければならないこと
  • それ以前の決議(国連決議1154)で査察の対象外とされていた大統領施設についても、他の場所と同じように査察を認めること
  • この決議に違反する行動をイラクがとった場合には、安全保障理事会は、それがイラクに対して重大な帰結をもたらしうるものだと再三警告したことを想起すること

を謳っています。

同決議はイラクによって11月13日に受け入れられ、1998年以来退去していた国連の武器査察団が同月27日に査察を再開することになった。 で、ブリクス氏らが査察を始めたのです。そして、ブリクス氏がいうとおり、査察は、すべて順調に、では無いけれども、着実に進行していたのです。

ここで、大事なのは、


  • イラクは国連査察団を拒否していたわけではない。
  • 仮にイラクが査察に非協力的であり、イラクに対して武力を行使するのがやむを得ないということになったとしても、それは、ブリクス氏の査察報告と、それに基づいて国連安保理が決議した場合に限られる。

ということです。つまり、国連安保理決議1441は、特定の国が国連イラク査察団の報告と安保理の判断とは別に、大量破壊兵器の存在を勝手に断定して、其れを根拠に武力行使を行うことを容認していないのです。冒頭の記事で、ブリクス氏が「決議違反かどうかを決めるのは安保理であり、個々の国が決めるのは危険との見方を示した。」というのは、きわめて正しい考え方なのです。

国際法上の議論ではありますが、おわかりのとおり、常識で判断すればわかる範囲内のものです。特別高度な知能を必要としません。

にもかかわらず、小泉首相はアメリカが武力攻撃を始めた2003年3月20日、その日のうちにアメリカを支持する、と言ってしまったのです。これによって、世界は「日本は、アメリカの機嫌を取るために、必死だな」と思ったことでしょう。

現在まで、イラクに派遣された自衛官たちは無事のようですが、自衛隊をイラクに派遣するのが違憲であることに、何の変化もありません。もちろん、自衛官が悪いのではなくて、小泉純一郎内閣総理大臣が悪いのです。その、そもそもの発端は、昨年3月20日に「アメリカを支持する」と言ってしまったことに始まるのです。


2003年03月05日(水) 世論調査:イラク攻撃反対84% 小泉内閣支持率は45% 日本政府はそれでも米国を支持するの?

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