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JIROの独断的日記
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2004年01月12日(月) 大量破壊兵器は無かった。何故、米国はフセインを拘束できるのか?何故、小泉首相は米国を支持し続けることができるのか?

◆記事1:大量破壊兵器の証拠なし?イラク戦争で前財務長官<

【ワシントン11日共同】米国のオニール前財務長官は米誌タイム最新号(12日発売)のインタビューで、長官在任中に「イラクの大量破壊兵器に関する証拠を一度も見たことはなかった」と述べ、ブッシュ政権は具体的な証拠に欠けたままイラク戦争に突入したとの見方を示した。
国家安全保障会議(NSC)にも参加した長官は「仮説や主張などはあったが、本当の証拠ではなかった」と指摘。政権側は「長官はすべての資料を見る立場にいたわけではない」と反論しているが、主要閣僚だった前長官の発言に戸惑いを隠せない様子だ。(共同通信)[1月12日9時2分更新]


◆記事2:米政権、組織的にわい曲 イラク大量破壊兵器で報告

【ワシントン8日共同】米有力シンクタンクのカーネギー平和研究所は8日、イラクの大量破壊兵器に関する調査報告を公表、米国や世界の安全保障に差し迫った脅威はなかったと結論づけた上で、「ブッシュ米政権は組織ぐるみで誤った脅威を伝えていた」と組織的な情報操作があったと政権を厳しく批判した。


報告書によると、1991年の湾岸戦争後、国連査察や経済制裁が効果的に機能し、イラクが保持していた神経ガスなど化学兵器の生産施設は破壊された。

 また生物兵器については、軍事転用が可能な技術を維持していたが、兵器そのものは製造していなかったとし、旧フセイン政権が大量の生物・化学兵器を隠し持っていたり、国外に持ち出すことはほとんどあり得ないとした。(共同通信)[1月9日9時36分更新]


◆記事3:大量破壊兵器捜索隊の一部、ひそかにイラク撤収…米紙

【ワシントン支局】8日付の米ニューヨーク・タイムズ紙は、米政府高官の話として、イラクで大量破壊兵器の捜索をしていた米軍兵士400人が、ひそかに任務を終了し、撤収していたと報じた。

 昨年3月の対イラク開戦の理由とされた、旧フセイン政権の保有する生物・化学兵器が発見される可能性が低くなったためという。
 イラクではこれまで、米中央情報局(CIA)のデビッド・ケイ特別顧問率いる調査団1400人が大量破壊兵器の捜索に当たってきた。撤収した400人はこの調査団の一部で、主に兵器貯蔵庫やミサイル発射装置の捜索を担当していたという。

ホワイトハウスのマクレラン報道官は8日の会見で、報道の当否については直接答えず、「調査団による捜索は今後も続けられる」と述べた。


◆コメント:アメリカを支持する理由はない。

アメリカが2003年3月20日、イラクに対して武力攻撃を開始したのは、「イラクが大量破壊兵器を所有、開発しており、これがアルカイダなどのテロリストの手に渡って、明日にもアメリカが攻撃を受けるかもしれない」と理由によるものだった。

上の記事を読めばわかるとおり、イラクの大量破壊兵器は存在しなかったし、アメリカはそれを知っていた。アメリカは嘘をついて、戦争を始めたということである。

その結果、多くの死ななくてもよい、イラク国民、米国兵士、国連職員、イタリア、ポーランド、スペイン、などから「イラク復興」のために現地へ赴いた人々などが死んだ。日本人外交官2人も犠牲者である。

いいがかりをつけて、戦争を仕掛けて、散々人を殺したのである。大国ならば人を殺してよいという論理は存在しない。イラク戦争はアメリカの国家的犯罪であり、国際的な制裁を受けるべきだ。

更にアメリカはフセインを先月13日に捕らえ、身柄を拘束しているが、イラクは、昨年3月20日にアメリカが攻めてくる前にアメリカを攻撃した事はなかったし、大量破壊兵器も保有していなかった。一体、如何なる権限があって、フセインを拘束、尋問できるのか。米国防総省は1月9日に、フセインをジュネーブ条約に基づく「戦争捕虜」として認定した。戦争捕虜に対しては、暴力を振るったり、拷問を行ったりすることが、ジュネーブ条約で禁じられているので、当初はフセインを戦争捕虜とはみなさない、と言っていた時に比べれば、米国が態度を軟化させたことになるが、そもそも、戦争捕虜に認定することが、アメリカに許されるのか、疑問である。ジュネーブ条約では紛争当事国の軍隊の構成員が敵に拘束されたときに戦争捕虜にあたるとしている。フセインがそれに該当するのか、アメリカが単独で決定してよいのか。

一方、我が日本国の対応を振り返ると、確たる根拠もなく、真っ先にアメリカを支持したのが、小泉首相である。彼がアメリカを支持したのは、「大量破壊兵器を除去するために、アメリカが武力攻撃に踏み切ったのは当然である」と理由によるものだった。

いつまでたっても大量破壊兵器が見つからないのに、まだ、アメリカを支持するのかと国会で訊かれたときに、小泉首相は、「私は大量破壊兵器はあると思う」と全然、答弁になっていない答弁をしていた(小泉首相個人が「思う」、「思わない」というのは、完全に主観であって、そんな発言をしても何の意味をももたらさない)。

自衛隊のイラク派遣も、イラク復興資金の供与も全ては小泉内閣総理大臣がアメリカのイラク攻撃を支持する、と云った瞬間に始まった。その瞬間から日本の針路が狂い始めたのである。

小泉首相が、アメリカを支持する理由としていた、大量破壊兵器は存在しないことが明らかになった。論理的に考えれば、もはやアメリカを支持すべきではない。したがって、自衛隊を派遣する根拠も無いことは明らかである。自衛隊がイラク領内に入れば、日本は本当に、テロリストの標的になる可能性がある。地下鉄サリンの惨劇が再び起きるかもしれないし、新幹線、公共施設が爆破されるかもしれない。それも、これも、小泉内閣総理大臣が安易にアメリカを支持したから生じたリスクである。

小泉内閣総理大臣。この責任をどう取るつもりなのか。


2003年01月12日(日) ウィーンフィルのホルンとリヒテルのピアノ どちらも、日本製です。

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