外国為替証拠金取引
JIROの独断的日記
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2003年08月08日(金) 竹中金融相ってダメですな。

◆記事:公的資金注入の8銀行、中小企業向け融資減少
 金融庁は7日、公的資金の注入を受けている大手銀行・金融グループ、地方銀行など23行について、2003年3月期の経営健全化計画の達成状況を発表した。中小企業向けの貸し出しは、みずほフィナンシャルグループが5兆6340億円の大幅減となるなど8行が前年同期実績を下回り、計画を達成できなかった。

 銀行側は、景気低迷による資金需要の伸び悩みが原因としているが、貸し渋りなどの指摘もあるため、金融庁は11日にも、8行に減少した原因を報告するよう求め、報告内容によっては、業務改善命令を出すことも検討する。

 中小企業向けの貸し出しが減ったのは、健全化計画の対象となっている大手銀行・金融グループ6行のうち、みずほと三井住友フィナンシャルグループ(7297億円減)の2行で、増えた4行を含めた全体でも5兆6563億円減った。みずほは1月の段階で大幅減が確実だったため、金融庁からすでに業務改善命令を受けている。

 また、税引き後利益は13行が赤字で、金融庁は、計画を大幅に下回った15行(一部黒字行を含む)に対し、すでに収益向上を求める業務改善命令を発動している。この15行は29日までに業務改善計画を提出する。

◆所感:相反する命令出す金融庁は何を考えているの?

 小泉政権になってから、とにかく、銀行は不良債権処理を急げ、といわれてきたわけです。そのためには、自己資本を取り崩すしかなかったのです。当然、利益は上がりません。それから、今年の3月期には株が下がっていたから、株式の含み損も膨らんでいたわけです。だから、銀行の収益が十分にあがらなかったのも、止むを得ない。

 金融庁、というか竹中金融相はそんなことは、よくわかっているくせに、先週、銀行はもっと収益を出せ、という「業務改善命令」を出した。これは、ポーズです。この前、りそな銀行に公的資金を注入したけど、厳密に監査すれば、りそなは債務超過だったのではないか、と世間の批判を浴びた。だから、いや、金融庁は決して銀行に甘くしてはいないぞ、という姿勢を見せつける必要があった。

 で、今度は、中小企業向け融資が足りない。もっと増やせという命令を出すつもりらしいのですが、これはおかしいなあ。

 だって、不良債権を急ぐために、銀行は自己資本を取り崩す。しかし、国際決済銀行(BIS)というところが、国際業務を営む銀行は自己資本比率8%を維持しなければならないと決めているのです。自己資本比率を出すときに分子に来るのが、自己資本、分母にくるのは企業への貸付金などのリスクアセットです。

 不良債権処理のために自己資本が減っちゃった。分子が減っちゃったから、自己資本比率を維持するためには、分母も減らすしかない。つまり、企業への貸し出しを抑制するしかないのです。これが、貸し渋りが起きる原因です。

 なのに、金融庁はそんなことは全部分かっているのに、今度は、分母を増やせという。小泉政権というか、竹中大臣の要求は無茶です。

 不良債権処理を急がせたのがそもそもの発端なのに、全部、銀行が悪いんだ、といわんばかりですが、これは、あまりに銀行が気の毒だなあ。


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