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JIROの独断的日記
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2003年06月22日(日) ウィンブルドン・パーク・ロード

 今年もテニスのウィンブルドンが始まる。私はテニスには全く関心が無いが、ウィンブルドンという地名を聞くと懐かしさを禁じ得ない。そこに住んでいたからである。367 Wimbledon Park Road, London,UKというのが正式な住所で、ウィンブルドンのコートと同じ道沿いであった。

 イギリスの住所は「何とか通り何番地」という形式で表記される。全ての道に名前がついている。ロンドンのタクシー運転手になるためには、何千という通りの名前と位置を全て暗記しなくてはならない。

 先頭の数字が番地で、通り沿いに端から規則正しく各建物に付けられている。イギリスの首相官邸の住所が、10 Downing Streetであることは有名である。「ダウニング街10番地」などと訳すことが多いが、Downing Streetはあくまで1本の道である。

 ウィンブルドンといえば、日本ではテニスを想像しない人はいないだろうが、別に、街中が一年中テニス、テニスで盛り上がっているわけではない。普段は単なる閑静な住宅地である(もしも、ウィンブルドンが日本にあったら、さぞやにぎやかな事になるだろう。駅前には「テニスの街、ウィンブルドンへようこそ!」などという看板やら横断幕があふれ、土産屋が建ち並び、「ウィンブルドン饅頭」や「ウィンブルドン煎餅」が店頭に並ぶ・・・)。

 ウィンブルドンのテニスコートへ行く最寄駅は地下鉄District LineのSouthfields(サウスフィールズ)である。ウィンブルドン駅という駅は勿論存在するが、ここから、テニスコートへ辿り着こうとすると、かなり長い距離をあるかなければならないことになる。しかし、Southfieldsという駅がまた、何の変哲も無い、というか、むしろ、小さい、薄汚い駅である。「テニスの聖地」ウィンブルドンに相応しい駅や街並みを想像してやってきた人々は、かなり驚くのではないか。

 普段は殆ど人通りがないウィンブルドン・パーク・ロードだが、年に一度のトーナメントの期間だけは人であふれる。毎朝、出勤するために我が家を出ると、駅からテニスコートに向かう人々が途切れることなく歩いている。私は出勤するためにサウスフィールズ駅へ向かうわけであるから、人の流れに逆行することになる。向うから歩いてくる人の中には、当然、日本人もいる。

 異国で暮らして日本に帰っていなかった私は、そうした日本の人を見つけると、何ともいえない懐かしさを覚えた。こちらは通勤途中だし、向うは早くテニス場に行きたいだろうから、無言ですれ違うだけだったが、「どこからいらっしゃたのですか?」「日本はどんな様子ですか」(と、訊かれても答えようがなかっただろうが)と声をかけたい衝動に駆られた。

 今は、当時の自分が抱いた、そのような気持ちが、逆に懐かしい。


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