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JIROの独断的日記
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2003年06月18日(水) 「米成人の16%にうつ病の恐れ、米研究グループ試算」 それぐらいありふれた病気だということだ。


◆記事:
 米国の成人の約6人に1人が生涯に一度は重いうつ病になる恐れがあるとする調査結果を、米国の研究グループが17日公表した。従業員のうつ病による欠勤や作業能率の低下などによって、米企業は毎年310億ドル(約3兆6000億円)程度の経済的損失を強いられているとする試算も示した。

 米国立精神衛生研究所(NIMH)のメリカンガス博士らは全米の9090人の18歳以上の男女を対象にアンケート調査を実施。3260万―3510万人の成人が重いうつ病になる可能性が高いと分かった。米国の成人人口の16%強に相当する。

 過去1年間には同6.6%の1310万―1420万人が重いうつ病を患ったとみている。これらの人の多くが、自分の症状が薬やカウンセリングによって改善することを知らずに悩んでいたと指摘。米国は日本に比べて不安・悩みへのカウンセリングが普及しているが、研究グループは「うつ病の治療については、もっと啓もう活動の強化が必要だ」と強調した。(本日付日本経済新聞より)

◆所感:驚くには及ばない。
 日本も似たような割合である。国立精神・神経センターが2000年1月に発表した調査結果によれば、日本人の約7人に1人が生涯に少なくとも一度はうつ病エピソードを持つ。しかも、24歳から33歳の女性に関しては有病率が実に約30%だということであった。

 うつ病は、特殊な病気ではなくて、「そこら中にころがっているありふれた病気」であるということだ。しかし、ありふれた病気ではあるけれども、簡単な病気ではない。

 それは、正しい治療を受ければ、少なくともこの程度の文章を書く気力、能力、を取り戻す事ができるところまで回復することは、私が実証している。うつ病は放っておいて治る場合が無いわけではないけれども、ストレス反応性のうつ病(そうではなくて、特にこれといったうつ病の原因となるような出来事がないのに発病したものを「内因性」のうつ病という。要するに誰でもうつ病になる可能性はあるのだ)で、ストレスの源が例えば職場の人間関係にあるような場合は、治療を受けなければ、症状が悪化する可能性の方が高い。

 うつ病は、その程度が軽くても希死念慮(自殺願望)を伴い、最悪の場合は本当に自殺するので、あまり軽く考えない方がよい。また、うつ病の患者は「頑張りたい、頑張らなければならない、と思っているのに、どうしても頑張れない」という状態、言い換えれば、身体のエネルギーが極度に低下した状態にある。どんな病気でも罹ったことのある人でなければ、その辛さは分からないが、うつ病も例外ではなく、この「頑張りたいのに、頑張れない」辛さは、体験者しか分かるまい。

 ところが、社会にうつ病の認識がないと、こういう状態の病人を「だらしが無い」、「根性が無い」「病気だといって、責任から逃れようとしている」などといって、責めたり、あるいは「頑張れ」と励ましたりする。これは、うつ病を悪化させる最も効果的な方法で、相手を自殺に追い込みつつあるといってもいい。

 うつ病は国際的には「気分障害」(Mood disorder)という分類にあたるが、要するに、気分とは脳で起きている化学反応によってもたらされるものであり、うつ病は脳内の科学反応に異変が生じた事に他ならない。何故そうなるかは完全には解明されていないが、うつ病になる人は、傾向的には、もともと真面目で勤勉な人、周囲と協調性がある(ありすぎる)人、完璧主義の人などが多いとされている。逆にいえば、もともと怠け者、いい加減な人はうつ病になりにくいということである。

 何故、このようにくどくどと書くかというと、いまだに、このありふれた疾患に対する社会的な認識が足りないと感ずるからである。

 もしかして、自分がうつ病かもしれないとおもったら、医者へ行くのが一番良いが、とりあえず、UTU-NETという啓蒙用のサイトがあるから、ここを御覧になられるとよい。より専門的な記事が欲しいという場合は、メルクマニュアルという医学事典(本来、アメリカの医学生のための教科書。これは、家庭版。)でうつ病なり、気分障害という言葉で検索してみるといいだろう。


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