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JIROの独断的日記
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2003年06月11日(水) 「金融庁、監査法人の査定に介入か」小泉首相も知らぬフリをしてはいけない。

◆記事1:
 民主党の大塚耕平参院議員らは4日、記者会見し、りそなグループが公的資金注入に追い込まれた契機となった「繰り延べ税金資産」の査定について、金融庁担当者とりそな幹部のやりとりを記録したとされる「面談メモ」を公表した。大塚議員らは、このメモの記述が本当なら、金融庁が繰り延べ税金資産の自己資本参入をめぐるりそなと監査法人の協議に関与していたことになる、と説明している。 

◆記事2:
りそな監査への金融庁の介入、監督局係長以上になかったこと確認=金融相

 竹中金融・経財相は4日の衆院財務金融委員会でりそなグループの2003年3月期決算の監査過程について「金融庁の監督局の係長以上全員に介入がなかったことを確認している」と関与を否定した。ただ、「一般論として金融庁が『監査の内容がおかしい』ということがあってはならない」と述べた。仙谷由人氏(民主党)への答弁。

◆所感:(介入が)あったことは、みなわかっているのに・・・。
 この記事は、1週間も前のものなのだが、いまだに真相をはっきり究明できていない。

 金融庁の役人は勿論、竹中金融相もそんなことをしたと認めたら、大変なことになるから、一切、そういうことをなかったことにしようと、決めたのだろう。マスコミもこういう大スキャンダルになると、圧力をかけられるのだろう。もっと大々的に問題にされてもおかしくない話なのに、いまひとつ、逃げ腰である。

 しかし、最初に民主党議員が証拠となるメモを国会で公表した時点で、みんな、金融庁が監査法人に圧力をかけたことは本当だろうと分かっている。なのに、気がつかないフリをしている。まるで、裸の王様だ。滑稽な事、この上ない。

 この件についても、いずれは真相が暴露されて、金融庁は「すいません、良く調べたら、内部でそういうことをしていた者がいたことが分かりました」といって、下っ端に責任をおっつけて、逃げ切ろうとするのであろう。

 こうした一連の動きは全て小泉首相の耳に入っているわけだが、彼は、この件について全然コメントをしない。金融庁の不祥事も、当然、最終的には内閣総理大臣の責任になるのに、「竹中君に任せてありますから」とか何とかいうんだろう。

 任せたこと自体が、小泉君の責任においてやっていることなのに、厄介そうなことには、知らぬふりをする。そういうところが、この首相のずるいところだ。
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【追加】
◆記事:金融庁の介入否定、衆院委でりそな2監査法人理事長
衆院財務金融委員会は11日、経営悪化で1兆9600億円の公的資金注入が決まった、りそなホールディングス(HD)の問題で、勝田泰久・前りそなHD社長(前りそな銀行頭取を兼務)など5人を参考人招致した。

 りそな銀行の監査を担当した新日本監査法人の竹山健二理事長は、不良債権処理で前払いした税金が将来戻ることを前提に資本に算入する繰り延べ税金資産の算入額について、「5年(分の算入を)認めるのはこういう経済状況では難しく、総合判断で3年(分)とした」と述べた。

 一方、りそな銀行に対する共同監査を4月末に辞退した朝日監査法人の岩本繁理事長は「りそな銀行は繰り延べ税金資産を除くと非常に過小資本の状況にあった。将来の収益力で資本充実するには時間がかかり過ぎ、短期の増資計画もないため、繰り延べ税金資産の計上を非常に厳しく見ざるを得なかった」と述べた。りそなが債務超過状態だったかどうかについて、竹山理事長が「債務超過であったことはない」としたのに対し、岩本理事長は「監査をしていないので答える立場にない」とした。

 監査を巡って金融庁と相談したかどうかについては、両理事長とも「全くない」と述べ、金融庁の介入疑惑を否定した。

◆所感:
 まあねえ・・・。こういう場所で、「金融庁から圧力を受けました」とはいえないよなあ・・。それぞれの監査法人は、大勢の社員を抱えている。うっかり、本当の事を言って、大口顧客を失いたくない。

 この辺が監査法人の難しいところで、監査というものは本来利害関係のない者がやらなきゃいけない。しかし、監査法人は、監査をする対象から手数料を貰って、それで食っている。だから、癒着が起き易い。

 それはさておき、新日本と朝日というのは、日本で一番大きい監査法人であるが、まったく対照的な結論を出しているわけだ。

 問題となっているのは繰延税金資産というもので、要するに先払いした税金が一定の条件を満たすと将来戻ってくる(還付される)「可能性がある」それを自己資本に組み入れるかどうかということなのだが、朝日の方は全額否認している。そして、りそなは債務超過だったか?と訊かれて、途中で監査を降りたから何ともいえないといっているが、朝日がりそなは本当は債務超過だとみなしていることは、ほぼ明らか。

 金融庁、やばいんじゃないの?こういうことしては。銀行(だけではないが)の自己資本の査定なんて、厳格な方を採用するのが常識というもの。それを甘い方の査定をとって、必死に「債務超過じゃない」と言っている。ダメだよ。こういうことをするから、金融機関の信用が怪しげになるのです。

 ここ数日、株が急激に値を戻しているが、そうなる根拠は全く無い。福田官房長官は「自然な値動きだ」なんて、例によって悠長な事を言っているが。こんなの、売っていたヘッジファンドの買戻しか何かだろう。テクニカルな戻しだ。いずれ、ドスーンと下がるだろう。


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