外国為替証拠金取引
JIROの独断的日記
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2003年05月28日(水) 不良債権を抱えた銀行だけが悪いのか? 債務者(お金を借りた人)には全然責任が無いの?

 りそな銀行は、公的資金が注入された事により、実質国有化された。りそな銀行の行員には、今年の夏も冬もボーナスが出ない上、給料を3割減らされるという。これに対して、世間はどう反応するか、殆ど、火を見るよりも明らかだったけれども、念のために、いろいろと、ネット上の掲示板などをのぞいてみた。

 案の定、「りそなに限らず、銀行員は無給料で働け!」とか、「銀行だけ、税金を使って救済するのはおかしい」とか、ありとあらゆる罵詈雑言が並んでいた。

 私は金融業界の人間ではないけれども、こういう感情的な世論には反発を覚える。

 まず、今のデフレ不況は、銀行の不良債権を処理しさえすれば、無くなるのか?という点が疑問である。不良債権があろうがなかろうが、本当に資金需要があれば、貸出金利はどんどん上昇していくはずである。

 そして、なにより、素朴な疑問として私の頭に浮かぶのは、不良「債権」といって、債権者である銀行だけが、悪者にされているが、「不良債務者」の責任は何故、問われないのか?ということである。

 不良債権とは銀行側から見た表現である。全ては相対的だ。反対から見れば、「銀行からおカネを借りているのに、返済しない人がいる」ということだろう。銀行がおカネを顧客に貸し出すのは、まぎれもなく金銭消費貸借契約であって、借りた人は期日に元金と金利を合わせた金額を返済する債務があるのだ。

 不良債権の金額が40兆円とかいわれている。それだけ、借りたおカネを返さない人(会社)がある。ということである。

 銀行は貸したおカネを回収できなくなれば、貸倒引当金を取り崩す。それが多額になったから、資本として積み立ててきたカネにも手をつけなければならなくなる。そして、自己資本比率が減少する。

 銀行が債権を顧客から強引に取り立てていれば、不良債権の金額は減っただろうが、その分、つぶれてしまう会社も多くなったはずだ。銀行からの借金を踏み倒したおかげで、今もつぶれないで済んでいる会社も沢山あるわけで、そんな会社の社員の中にも、きっと、理屈が良く分かっていなくて、「銀行は、けしからん」などと、平気で口にしている人もいるはずだ。それは、ひどいんじゃないか?

 とにかく、不況が長引いているので、誰か(銀行)を悪者に仕立てて、そいつに怒りをぶつけてしまおう、というのは、いかにも起こり得る大衆心理だけれども、物事を一面的に見てはいけない。いろいろな角度から考えなければいけない。


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