再生するタワゴトver.5
りばいぶ



 『チムドンドン』そして。

劇団銅鑼さんとの初取組『チムドンドン』。
なんの因果か、東京でも沖縄を舞台にした作品を手掛けることに。
去年の正に今頃、『島口説』東京公演の作り直し稽古と共に、
珊瑚舎スコーレさんに卒業式を取材させてもらって、
ホッシーこと星野さんと、勝手知ったる栄町で盃を交わし(てこれではまるで、任侠映画だが)、作家山谷さんとの打ち合わせリライトを重ねながら、
ここまできた。

学びとは、なんだろう。
沖縄とはなんだろう。
今の僕らはどこにいるのだろう。

実際の稽古に入るも、
モノづくりの壁は高く、
互いを理解するまでの道のりは長く、
あーでもないに殊更に時間をかけた。
世界の創り出し方の共有には、かなりの労力を費やした。

学びを作ってもいない演劇人が、
教育について蘊蓄やら、こうでなければならない的な優等生的意見に陥るのではなく、
教育本を借りてきてなんとなくわかった顔をして並べるのではなく、
その元ネタをアツい思いでゴウさんの演出でと制作さんが持ち込んでくれ、
そのアツさを共有し得る作家さんと、いかに絵空事でない物語に、人物たちに現すことが出来るのか探求し、もちろん、ここ数年の沖縄でのモノづくりや、その縁にも思いっきり力を借りて、
でもタタカウ相手の大きさに『ヤバそうだから』と『逃げ出さず』、
わからないところ、足りないところの総仕上げは『現場』の人力で凌駕し、
人同士がちゃんとぶつかり、気づきを得、変化するーそして集団の歴史の蓄積も借りつつ、辛辣な意見をぶつけ合いつつ、覚悟を持つことで、なんとか生み出された作品だ。
お陰様でいい評判をいただいている。(もちろん、その先からもっともっとの思いは強くなるのだけれど)事前に取材した方や、お知恵を拝借した方々が嬉しそうに帰っていかれることに、客席の強い拍手に勇気づけられ、ようやく実体を為す。

同じような題材でいずこへかの忖度だらけで検証もされず、責任も果たさず消えていったものへの違和感の正体がここにはあった。身体に入れた宿題を無下に奪われ昇華されない思いはどこにいくのだろう。約束した僕の周りへのちゃんとした説明、はいつになったら果たされるのだろう。スコーレを材にとった(芝居中レナード)作品と向き合いながら、『場所』というものについて考える。生きやすい世界は、生きられる世界は今いるここだけではないのだ。それも、ひとつの、身をていした『学び』であったのだ。随分と永い時間がかかったけれど。(まあもう二度とこんな体験はごめんだけれど)

コロナ禍、客席数も限られながら、
29日まで、上板橋は劇団銅鑼アトリエで。
ほぼ完売状況ではあるようですが、お問い合わせください。

そして30日からは、
神楽坂の小さな小さなアトリエで
キレキレたぬきとトコトコきつねvol.2
朗読と芝居やります。
よく僕の作品の演出助手をしてくれる佐藤萌子のユニット、これも縁あって、タイミング合って。頼りになる人たちと、はじめましての人たちと。
4月4日まで。



2021年03月21日(日)
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