再生するタワゴトver.5
りばいぶ



 「キネマの神様」朝日新聞掲載

人と人がつながる場所の大切さ 「キネマの神様」演出・藤井ごう

原田マハの小説「キネマの神様」を元にした同名の舞台を青年劇場が上演する。閉館の危機に陥った名画座と、そこに集う老若男女の奮闘を綴(つづ)った温かな話。演出の藤井ごうは「人と人が生でつながり合う場所の大切さを描ければ」。
 過去の傑作などを流す名画座。かつて様々な場所でにぎわいを見せたが、今は少なくなった。作中の「テアトル銀幕」も消えていこうとする一つ。だがここではある奇跡が起こる――。
 俳優養成所などで講師を多く務める藤井は、時々若手に問う。「人の人生を数時間、劇場の暗闇に軟禁することの重大さが分かっているか」。同じ空間に集まるからこそ、演じ手も観客も真剣になる。真剣ゆえに生まれる何かがある。演劇人としての確信だ。
 「作品と客席が結びついて、ものすごい空気になることがある。映画館にも劇場にも、神様はいる」
 14〜23日、東京・紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYA。03・3352・7200(同劇場)。(山本悠理)

2018年09月07日(金)
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