スカーレットの心のつぶやき
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以前にも書いたことがあるが
私の子供の頃の夏の思い出の中の一つにいちじくがある。
当時住んでいた長屋の裏の庭に一本のいちじくの木があった。
背が低いこともあって
小さな私でも木に登っていちじくの実を取ることが出来た。
いちじくにも種類があり
我が家の裏庭にあったいちじくは小粒だが甘みの強いいちじくだった。
雨上がりは水っぽくなるので
取るのは晴れ間が続いた日が良い。
学校から帰ってランドセルを下し
裏庭に回っていちじくの木をぐるっと見まわし
食べられそうに熟したものを見つけると
やった!と急いで捥いだものだ。
今思うと衛生的ではなかったが
洗わずに薄皮を剥き口に入れたものだ。
ねっとりした感触の甘みの強いいちじくは
私の大好物だった。
腹薬になると母も言っていた。
いちじくは買って食べるものではないという思いが強いが
その後、引っ越して思い出深い家もなくなった。
今、私の住む家の近くに農家から産地直送されるマーケットがある。
そこで一パック4個入りで200円余りで売られている。
懐かしい思い出の味なので買い求め食べてみるが
昔のあの味とは違う気がする。
戦争後のあまりもののない時代と比べ
今は飽食の時代となったから
同じいちじくでも美味しいと思わなくなったのかもしれない。
考えればもののない不自由な時代だったからこそ
裏庭のいちじくがとても愛しく思えたのだろう。
もう一度あの頃に戻ってもぎたてのいちじくにかぶりつきたい。
スカーレット
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